見出し画像

『NEEDY GIRL OVERDOSE』をVTuberたちはどうプレイしたか

というわけで、今日も今日とて『NEEDY GIRL OVERDOSE』

の話をしていきます。

前回の記事

ではブロガーやニュースサイトの『NEEDY GIRL OVERDOSE』評を紹介しましたが、今回の記事では、実際にYouTubeで配信している配信者がこのゲームをプレイする、所謂実況配信を紹介していきたいと思います。

といっても、僕はあまり普通のYouTuberに詳しくなく、VTuber、それも結構メジャーなVTuberぐらいしか見ていないので、紹介できるのもその観測範囲に限定されます。

傍観者としてのツッコミー本間ひまわり

まず始めに紹介したいのは、本間ひまわりさんの配信です。

本間ひまわりさんの実況配信の面白い所は、極めて常識ある立場から、NEEDY GIRL OVERDOSEでの配信者像・インターネット像に的確にツッコミを入れていく点です。

その点から言うと「NEEDY GIRL OVERDOSE、なんか流行ってるけど正直よくわからんのだよなー」と思っている人に第一におすすめしたいのはこの配信ですね。

ひまちゃん(本間ひまわりの愛称)は、あめちゃんのようにメンヘラではないですし、NEEDY GIRL OVERDOSEに描かれているような悪いインターネットに毒されてもいません。そういう立場からすると、もうゲームの全てが「これおかしいだろー」というツッコミどころになるんです。

だから、もしこの記事を読んでいるあなたがひまちゃん(本間ひまわりの愛称)のように、常識的な感性を持っていればひまちゃんのツッコミに共感すること然りですし、逆に悪いインターネットに毒されている身からすると、「あ、そうかそれって普通はおかしいよな」ということに気づくことができるわけです。

ちなみにもちろん僕は後者でした。

特に好きな場面は1万人記念での容赦ないツッコミですね。

「大人ってなんかキモい」というコメントに「漠然としすぎている」とツッコミ、「『えっち』ってもう一回言って!」というコメントに、ただただ「キモいw」と言い、エモくなるあめちゃんに対しても「泣きそうだわー、全然涙出ないけど」と容赦なく言う。

それでいい。ひまちゃんはずっと悪いインターネットに毒されず、常識的にツッコミ続けてくれ……と思わずにいられません。

配信者として共感ー西園チグサ

一方でVTuberの中には、あめちゃんに共感する人も居ます。その中でも特に好きなのが、西園チグサさんです。

ちぐちゃん(西園チグサさんの愛称)は、同じ配信者として、アンチやキモいコメントにストレスをためる超てんちゃんにとにかく共感します。それを見てると、あーやっぱNEEDY GIRL OVERDOSEで描かれるインターネットの悪意ってリアルなんだなぁと思わざるを得ません。

ちぐちゃんは、「普段は『ヘラってる』って言葉NGワードにしている」と配信で語っている通り、普段はあんまり落ち込んでいる姿を表に出したくないと思っている配信者です。しかしこのゲームをプレイするにあたり、わざわざそのNGワードを解除して、インターネットの悪意がどうやって配信者を傷つけるか、ゲームになぞらえて赤裸々に語ってくれます。その赤裸々さは、ちぐちゃんだからこそできることだよなあと思うと同時に、赤裸々に語ることを覚悟した勇気に敬服せざるを得ません。

もっと配信者に優しくならきゃならないとなと、改めて思わされます。

メンヘラとして理解ーえま★おうがすと

あめちゃんの配信者としての側面に共感する一方で、メンヘラとしての側面に共感する人も居ます。えま★おうがすとさんの配信なんかはまさにその代表例でしょう。

えま様の配信の面白いところは、自分もヘラって暴走したことがある経験から、「なんであめちゃんはこんな風に思って行動しちゃうのか」ということを的確に解説してくれる点です。「なるほど、ヘラってる人から見ると、このコメントはこういう風に受け取られるんだな」と、あめちゃんの心理に対してより理解が深くなるわけです。

そして、あめちゃんへの共感が深いからこそ、あめちゃんがひどいことに遭うとより傷つくわけで、視聴者として面白いのと同時に「そこまでシンクロしたらあまちゃんと一緒に壊れてしまうよ!」というスリルもあったりするわけです。

しかしえま様も、この配信で行き着いたラストにはさすがに唖然としていました。その顛末も含めて、おすすめできる配信です。

ヘラる配信者とそれをケアする側のどつき合い―神楽めあ&犬山たまき

今までの実況配信は一人で行われるものでした。まあ一人用ゲームだから当たり前と言えば当たり前なのですが、しかし実はこのNEEDYGIRL OVERDOSEゲーム、実況においてはむしろ複数人でやったほうが、それぞれの配信観が対話形式で語られ、より鮮明になるということがあったりします。そのことが一番よく分かるのが、神楽めあさんと犬山たまきさんの配信です。

神楽めあさんは、実はあめちゃんの元ネタの一人で、「あめ」は「めあ」を反転させたものなんじゃないかと噂されるぐらい、あめちゃん/超てんちゃんとよく似た配信者だったりします。そして実際、あめちゃんが一体どんあことが嫌で、どんなことをしたいのかということを、解像度高く代弁してくれるわけです。

それだけでもとても面白いんですが、そこに犬山たまきさんの立場からツッコミが入ることが、実はこの実況配信をさらに面白くしているわけです。

たまきくんは一人のVTuberであると同時に、「のりプロ」というVTuber事務所の代表として、VTuberを管理する立場だったりするんですね。いうなれば、このゲームにおける「ピ」の立場でもあるわけです。

そしてそういう立場からすると、あめちゃんのやる事に我慢ならないわけです。お前少しはマネージングする方の苦労も考えろよと、何勝手にエゴサやら掲示板書き込みやらしてヘラってるんだと、そう言いたくなるわけです。その質感こもった愚痴は、「管理する側も色々苦労があるんだなぁ……」と思わざるを得ません。

そして、その二つの立場のどつき合いが最高潮になるのが、この実況配信のラストです。さんざん振り回してきたあめちゃんの、この実況動画でのラストはまさに絶叫ものなわけで……

あめちゃんにいかに寄り添うか―魔界ノりりむ&卯月コウ

最期に紹介するのは、魔界ノりりむ&卯月コウのいわゆる「おりコウ」コンビによる配信です。

この配信については、もう御託は良いから見て欲しいという一言に尽きる訳ですが、それだけじゃ紹介にならないので……

まず、魔界ノりりむと卯月コウについてですが、まず両者はそれぞれ一人でNEEDY GIRL OVERDOSEを実況配信しました。

この二つの配信も、あめちゃんを二人それぞれの形で思いやったとても素晴らしい配信なので是非見て欲しいのですが、しかし両者とも、納得のいくエンドに到達することはありませんでした。

その反省を元に、二人で「あめちゃんが幸せになるエンドに行こう」というのが、おりコウでの配信だったわけです。

そしてそれは、単なるゲーム実況の動画の枠を超えて、「インターネットはどうあるべきか」「配信って何が楽しいのか」「『幸せ』って一体何?」ということについて、真剣にりりむちゃんとコウくんが語り合う、そんな濃厚な配信となるわけです。

その語り合いは、良い意味で青臭く、両者とも本当に本気で語り合ってるんだなということが分かるものです。僕はここまで、相手をリスペクトしながらしかし本気で自分の意見を言う語り合いを、インターネットで見たことはありません。というか現実社会ですら見たことがないかもしれない。

ただ、そうやって必死で考えても、ゲームのシナリオは無慈悲だったりします。その無慈悲さに対する二人の絶望は、ほんと見ている視聴者の胸にもぐっと来るわけです。

そして様々なエンドを見た後に到着するラスト。それに対する二人の反応を見てると、まるで一本の映画を見終わったような、そんな感動が訪れるわけです。

約8時間という長丁場なため、二の足を踏む人も居るかもしれません。でも、決して後悔はさせません。見るのに8時間費やす、そんな価値のある実況配信と言えるでしょう。

以上、5個のNEEDY GIRL OVERDOSE実況配信を紹介しました。

ですが、多分、ぼくが紹介した配信以外にも、面白いNEEDY GIRL OVERDOSE実況は山のようにあると思うので、そういうのを知っている方は、この記事をきっかけに是非紹介していただきたいと思ったりします。

そして、もっともっと、このNEEDY GIRL OVERDOSEというゲームに対する「語り」を読みたいし聞きたいし見たいと、僕は思います。

お寄せいただいたおゼゼは手数料を除いた全額だらけるために使われます。