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頭をよぎる口に出せない思い

11月に大腸カメラ&胃カメラ検査が控えている。
これは、大腸潜血検査が陽性であったことを元とする。当初大腸のみだった検査に、我が母が胃癌を患ったことを知った医師が、胃カメラも追加した。友人によれば、全身麻酔下、セットでやることは珍しくないらしい。

検査結果のことは考えなくもないが、何があっても、それはそれ、甘んじて受け入れようと思っている。

なんなら…。

数年前に、ばね指の手術をした。部分麻酔で行われたが、その際、とても苦しい思いをした。本気で、もうダメだと思った。オーバードーズと言うのだろうか、麻酔がきれていく過程で、血圧は下がるし、心拍数は上がるし、とても起き上がれる状態ではなく、お昼に退院の予定が、夜を待たなくては動けなかった。

今度の麻酔は全身麻酔だ。眠っている間に事は済む。「麻酔から目覚めないというのもアリかな」
これが頭をよぎる言葉だ。

渡辺淳一原作で、ドラマ化された「麻酔」という作品があった。子宮筋腫の手術を受けた女性が、術後眠りから目覚めないという話だ。
20年も前に見たドラマなのに、折に触れ思い出す。麻酔に対する恐れをこの時から持っているのかもしれない。

自分がどういう最後を迎えるかは、わからない。自ら最後を決めようとも思わない。
ただ、苦しみの中でそれを受けるのは避けたい。悲しみを抱えて、そこへ辿り着くのもいやだ。

他人から見たら、たいした人生ではないだろうが、私は今、それなりに幸せだ。上を見たらキリがないし、これ以上の生活レベルを望んでもいない。
そんな穏やかで、温かい心持ちのまま、永遠の眠りにつくのは、理想じゃないかと思っている。

ただ、思っているだけ。

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