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誰かを思い出す

何かの行動が
誰かを思い出させることがある。

そんなことを考えたのは
爪を切っている時だった。

「夜爪を切ると親の死に目にあえない」
そうよく言っていたのは、母だった。
私が暮らすフランスと日本の時差は
今度の土曜日までは8時間。
仏時間+8=日本時間
うっかりこちらで夜爪を切り始めると
「時差があるから、日本は夜じゃないよ」と
自分に言い訳をしたりしていた。
それでも、両親の最期には立ち会えなかったけど。

ティラミスやシュケットを作る度に、
それが好きだった、昨年亡くなった友人を思い出す。
そう言えば、楽しみにしてくれていた友人が
いなくなってしまってから、
フルーツケーキを作らなくなってしまった。
焼いてから、一ヶ月寝かす、
その期間を楽しみに待っていてくれたな。

家族や友人と行った場所、一緒に過ごした時間、
その時に見た笑顔さえ、目に浮かぶことがある。
花の香り、水のせせらぎ、ほんの些細なことでさえ、
誰かへとつながることがある。

最近読み終えた現天皇陛下の
『テムズとともに』の中のお言葉。
「思い出は、自分で作る部分も多いが、
人に作ってもらう思い出も多い」

まさに、そうなんだと感じた。
誰かと一緒に作った思い出だからこそ、
忘れがたく、尊く、大切な宝物となる。
そして、多くの人たちの支え、導きがあって
今の自分がいるのだと思わずにいられない。

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