どうしたらもっと多くの観客が劇場に行くのか

シアターエンタテイメントNEWSという媒体に掲載された記事がツイッターのタイムラインに流れてきたので読んだ。

演劇業界 覆面座談会「もっと多くのお客様に劇場に足を運んでもらいたい」
https://theatertainment.jp/japanese-play/111526/

演劇のプロデューサー・演出家が集まって上記テーマに沿った座談会をしたという記事。
話者が全員A氏の表記のため話の流れが掴みづらいものの、ちゃんとテーマのことを考えよう派と自分がどれだけ苦労しているか知ってくれ派がいるなあという気がする。

わたしは芸人のオタクをする前は舞台役者のオタクで、2.5次元もストレートもミュージカルも数年間通っていた。
そんな程度の立場であってもこうしてくれればもっとお客さんが増えそうなのになあと思うことはたくさんあるので述べる。
勿論、そんなことは既に考えてるし多くの理由があって出来ないことがあるのも理解しているが出来ない理由がよくわからないものもあるので。

想定としてはいわゆる小劇団ではなく制作会社が付いているキャパ700以上くらいの演劇を考えています。

チケット買えない問題の解決

急に時間空いたからとか、今日はマチソワWキャストだからマチネしか観ないけど夜時間勿体ないなあとか、そういう突然のときに少し興味のある作品のチケット取れないのは心底どうにかしてほしい。
前売りは全て売り切れ、当日券のために開場60分も前から並ぶ労力はかけたくない(しかも負けるし)。
フラッと寄ってフラッとチケット買って観られる状況を作ってほしい。
テレビや配信で特定の役者が気になる!となったときにその役者が現在出演している舞台のチケット取れないのは機会損失すぎる。一番近くて3ヶ月後の舞台のチケット前売りに申し込むしかないとか、そのまま興味が薄れるだけでしかない。
特定の舞台にハマったときにこの舞台を周りの人に勧めたい!と思ったときに買えるチケットがないという状況も多い。オタクの布教欲は割とすごくてチケット買うから観て!と言ってくれるんだけど、オタクにも買えない状況だと布教のしようがない。

チケット金額の見直し

これは2点あって、ひとつは席ランクを細分化。
あの席とこの席、同じS席として扱われたくないが………というケースが多い。
最前席や客降り有作品の通路席はオークション方式にしたら良いのではという話も聞いた。
ふたつめは、前段の当日券必ず確保と重なるけど安い当日券席の設定。
席ランクを細分化することで上げた利益を相殺できる安い座席。
エンジェルシートみたいなの、まだあるのかな、一番後ろの席だけど1500円で見られますよっていうやつ。わたしは割と舞台芸術の生のパワーを信じているので、最後列でも初めて観た人には鮮烈に刺さるものがあると思う。金額も映画と同程度。

グッズ等の収益多角化


お金がないという割に多角的な収益化を考えていないイメージがある。
ブロマイドやアクスタの他にももっと売り出せる要素があるはず。
わたしはグッズとしてムック本作ってほしい。
重厚なパンフレットも嬉しいけれどそれはあくまで開演前に作成されたものでしかない。
ニチアサ特撮では1年間の本編放送が終わった後にムック本が大量に出版されて、そこには初回放送とは顔付きが全く変わったキャスト陣のインタビューとかスタッフのインタビューが盛りだくさん。
そういうものがロングラン公演の後には読みたいんですよ。出版社と伝がないならキンドルで自費出版して。
あとコラボカフェじゃないけど衣装展示してほしいです。穴が開いてても汚れていてもその作品を生き抜いた証を見たい。
小道具のレプリカを売るとか、スタッフインタビューを有料配信するとかでもいい。

短編動画公開


記事中でも冒頭5分を公開できないか?とあったようにフリーで見られる動画が必要。
あいつこそがテニスの王子様でテニミュがバズり倒して集客が上がったこと。ミュージカルは前後がわからなくても一曲あればキャッチアップできる。
vtuberが60分の生配信に集客するために切り抜き動画の作成を推進しているのもそう。
だから再演ものとかは過去作の切り抜き動画を作るのもいいのでは。
(わたしの好きな役者の好きな舞台作品の映像が一切残っていない――再演は映像化しているのに!――という悔しさもある)

配信、映像化、サブスク

劇場で生の勢いを浴びる快感もあれば自宅でぬくぬくした環境で見る快感もある。
配信はこの時代必須で、加えて映像化とサブスク化、例えばネトフリで見られるとか必要だと思う。
とにかく劇場という箱のなかに閉じコン化するのを避けるために裾野を広げて触れることができる人を増やしていく必要がある。
お笑いのよしもとが去年BSよしもとを開局していて、今までだったら消えものだったライブを放送しており録画できるのが非常に嬉しい。無料で見られるBSよしもと、どうやって収益化しているのか謎。だけどその謎にヒントがあるような気がする。
任天堂はニンテンドーオンラインに加入してもらうためにファミコン・スーファミ・64の名作をフリーで配信したりしている。
再演ものの最新版が好きになったら過去のキャストの作品も見たくなるのでアーカイブ化、サブスク化が必要。



関係者にとっては鼻で笑うような内容だと思うけども、覆面座談会の内容を見ると集客のことほんとに考えてる?と思うような人もいるように思う。
コロナ禍になってチケット代金が高くなってただでさえ高い舞台芸術へのハードルが更に高くなった。
舞台という総合芸術の美しさ、劇場で触れる生のエネルギーは他の何にも替えがたいと信じているが、このままだと先細りしていくように見える。
せめてもう少し裾野を広くしてハードルが低くなればいいと思う。

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