初めて会社員になる君へ#10-1取引先

配属される部署によっては社外との関わりがほとんど無いということもありますが、大抵の場合は、取引先との関係が出てきます。

取引先は大きく分けて2種類です。

一つは仕入先(自分の会社がお金を払う場合。簡単に言うとこっちがお客さん)で、もう一方は納品先(自分の会社がお金を受け取る場合。相手がお客さん)となります。取引先によっては仕入先であり、納品先でもある場合もあります。

一般的なモノやサービスであれば、買う側に圧倒的選択権があります。牛肉はここで買おう、野菜はこっちで、と自由に選べます。

しかし会社の場合は、話は単純ではありません。例えばある原材料を購入したいと思って、簡単には買えません。

まず、メーカー指定の商社や販売店を通すことになります。その商社・販売店と取引ができるのか?(口座があるか/信頼があるか)、購入したい量は確保できるのか?(生産キャパ)、注文してから何日で入手できるのか?(L/T-リードタイム)、仕入れ価格(単価)、輸送費、保管場所、購入できる最低単位(MOQ-Minimum Order Quantity)、要求性能など、これらをすべてクリアーにしていく必要があります。そういう事を突き詰めていくと、結局のところ「選択肢が無い」という場合も多いのです。

買うのはこちら(お客さんはこちら)だけど、ここでしか買えないとなると、買う側の優位性は崩壊です。

もちろんほとんどの商社や販売店は「売ってやるよ」的な態度は見せませんが、仕入先が圧倒的に優位にたっている状況も実際にあるのです。

お互いの会社の規模や仕入れ量によってもパワーバランスは大きく変わります。例えばコカ・コーラは特定の経由でしか仕入れ出来ませんが、もしセブンイレブンのような買い手であれば、メーカー側に色々な要望をしても通ることでしょう。言わなくても分かるよね的な企業対企業のバチバチのやつです。

逆にどこからでも仕入れできるようなものであれば、買う側が圧倒的優位になります。例えば文房具、食品、車、PC、工事、保守点検などです。担当者は相見積もりをとって、仕入先を選定することが出来ます。金額が大きくなれば、営業マンが頻繁に来社するでしょうし、接待のお誘いもあるかもしれません。

仕事が見えてくるようになると、「なぜこんな仕入先から買ってるの?」と思うような事があるかもしれませんが、性急な言動は要注意です。これまでの経緯で色々な事情やしがらみがあるからです。

「うちの部長と仕入先の部長が大学の同期なんだ」とか「5年前にうちがピンチになった時にあの仕入先が大口客を紹介してくれた」とか「社長からここから仕入れるように厳命されている」とか「私も前に仕入先の変更を進言したけど、課長に怒られた」とか、いい話もあれば、臭う話もあるわけです。

とりあえず新人のうちは、そういう事情が見えてくるまで、静かにしているのが良いかもしれません。(もちろん法令に反するような事を黙っているという訳にはいきませんが、その場合でも絶対に破られないエビデンスが必要です)

仕入先との付き合い方ですが、やはり「お互い様」の心が双方に必要です。要求ばかりする相手は誰からも好かれません。譲れる時は譲る、取引関係に感謝する、それでも言うべき事はしっかり伝える。

自分の業務・役割をしっかり自覚し、親切で礼儀正しく、一生懸命でひたむきな人であれば、取引先からも信頼されます。媚びへつらう必要はありません。

長くなったので続きは次の記事で。納品先(顧客)との関係について書きたいと思います。

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