創作人魚姫 

人魚姫は若い王子に恋をし、王子と同じ魂を持ちたいと思い
海の底に住む魔女にお願いをしました。
魔女は人魚姫の愚かな考えを心の中で嘆きましたが
その本心は伝えず、人魚姫に人間と同じ脚を与える代わりに
王子の愛を勝ち取り王子と同じ魂を得ないと
人魚姫の肉体は泡粒となって消えてしまうというルールを
伝えました。

人魚姫は全ての条件を受け入れ、王子のいる場所へ
向かいました。その日は大嵐でした。翌朝嵐がおさまり
海岸に出て様子を見に来た王子は人魚姫を見つけました。
可愛らしい少女がずぶ濡れで砂辺に横たわっています。
この少女に声をかけましたが、どうやら彼女は口が効けないようです。
体を支えて歩かせましたが足も不自由なようで足元もおぼつかない様子です。

王子は、この可愛らしい少女を守ろうと決めました。
口が効けず足も不自由ですが美しく可憐な少女です。
妹のように可愛がっていました。

人魚姫は、王子が自分に抱いた幻想
「口が効けなくてかわいそうでちょっと頭も弱そう」
をそのまま受け入れました。
王子は自分を可愛がってくれましたし
それ以外に方法があったとは思えませんでした。
自分が弱いから、何もできないと思われているから
その代償として王子の愛を受け取れると思い込もうとしました。

実際の人魚姫は勇敢で賢くどんな人魚もしようとしない
恐ろしいチャレンジに果敢に挑んだのですが。
その勇敢さを持っている人魚姫でしたが
愛する王子の思いを裏切ってはいけない
それが愛の表現だと思いました。
それで、自分は何もできず未熟だと思い込もうとしました。

そのまま月日が流れ、ある日王子は人魚姫に話しました。
「喜んでくれ。隣国の王女と結婚するんだ。」
王子の結婚は、もうずっと前から
父王が隣国の王と取り決めていたものでした。
王子は、自分で結婚相手を決めませんが
それに特段違和感は感じていませんでした。
生まれた時から不自由なく暮らし
全てのものをあてがわれ、結婚相手も決めてもらう
そんな人生に何の違和感も持っていませんでした。

人魚姫は目の前が真っ暗になりました。
王子の期待通り、弱くて1人では何もできなくて
頭がちょっと弱い人物像を演じていたのに
演じていたはずなのに、今となっては自分は
本当にそんな人間に成り果てているように思いました。

その晩、深い後悔と絶望の中に突き落とされた人魚姫に
天からエネルギーが降り注ぎ
その強大な圧を持ったエネルギーによって
時空感が変わり人魚姫はパラレルを移行できました。

タイムラインが切り替わり
王子が砂浜で人魚姫を見つけた
その当時に戻りました。

嵐の後、王子は砂浜に来て
打ち上げられた人魚姫を見つけます。

その人魚姫は妖艶で大人の魅力を讃え
乳房は豊満で手足が長く魅力的です。
王子は人魚姫を一目見て一瞬で心奪われました。
本来の魅力を受け入れ、その魅力を讃えた人魚姫に
王子は完全に恋をしました。

王子はすぐに人魚姫を城に連れて行きました。
人魚姫は美しい肢体を恥じずに優雅に歩いていました。
このパラレルでは人魚姫の脚はガラスで刺されるような
痛みはなく(自己犠牲的代償からの解放)
自分の美しさを最大に表現すると切り替わっていました。
そして人魚姫は言葉は分かりませんでしたが
その表情には聡明さが現れていました。

王子はすぐに人魚姫との結婚を決めました。
もう、ペットのように何もできない姫を
可愛がっていた王子ではありません。
結婚相手を父王に決めてもらう王子ではありません。
王子は男としての決断力と生きる力が湧き出ていると
実感しました。
本来の能力と魅力を受け入れた人魚姫に出会い
王子のパラレルも完全に切り替わり
今や王子は男性としての責任感や能力が
最大に発揮されていました。

本来の魅力を発揮した人魚姫と
本来の男性の能力の自覚を持つことができた王子は
末長く幸せに暮らしました。







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