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組みやすいプラモってなんだ

主観だけど…。
接着剤で組み立てるプラモより、スナップフィットモデルのほうが組みやすい気がする。
塗装して仕上げるプラモより、成型色で色分けされている方が組みやすい気がする。

そんか漠然とした僕の認識に、「果たしてそうかな?」と疑問符を叩きつけてきたのがこちらのキットでした。

フジミの車NEXTシリーズ、FJクルーザーです。
「NO GLUE NO PAINT」って書いてあるのに、さらに「接着剤不要!! 塗装不要!!」と追い打ちをかけているのがすごい。ハイここ!「筆者の言いたいこと」はここなんですよ!って現国の先生がラインを引かせそう。

さっきの僕の認識に対する結論を先に言ってしまうと、「スナップフィットが偉いわけじゃないし、凄まじい色分けが組みやすさを生むわけじゃない」という、どっちつかずの答え。


そう、どっちつかずなんですよ。
言い換えれば、組み立てる僕達が「ここは接着したほうがいいな」とか「ここはうまいこと塗り分けたほうがいいな」というふうに柔軟な対応が大事なんだな、ということを再確認した次第。

例えば、足回りのパーツ。細っそいですね。

接着で良ければ、それこそ「置く感じ」で固定できるんですが、このキットはスナップフィットなので、こんな繊細なパーツを「押し込まないと」ダメなんです。当然、その際はパーツにそれなりのテンションがかかるわけで、そこには「破損」のリスクがつきまとうわけです。

サスペンションを組んだところ。
金型の精度なのかプラのヒケなのか、はめ込みは「キツイ」か「ゆるゆる」の二択しかなくて、結局ゆるいところは接着しました。

ここまで組んだところで、気づき始めます。
「スナップフィットだからサクサク組めるかと思ってたけど、どうやらそうでもないらしいぞ」と。

ちなみにこちらはシートのパーツ。矢印状のダボで「パチン」と固定するタイプ。
この方式に限ったことではないですが、スナップフィットって「ハメたらそれっきり」なので、スケールモデル的にパーツのすり合わせのつもりで、うっかりハメ込むと後悔します。

こちらは内装の手元レバー類。ここもスナップフィットなんですが、ピンセットレベルの小さい部品を押し込むのがめちゃくちゃ大変で、結局受け側の穴をピンバイスでほんの少し拡張して流し込み接着剤で固定しました。

成型色がプラ感丸出しなのと、パネル系がシールなのでややチープに見えちゃうのがアレかな。ツヤ消しを軽く吹いたら良かったかも知んない。

あと、びっくりしたのがこれ。

コレ窓枠なんですよ。
クルマのプラモデルで、一番マスキングが面倒くさい(と思ってる)窓枠が別パーツ化されています。ここにクリアの窓パーツをはめてボディに取り付けるんですよ。スゴイ!!

こんな感じで一切のスキマなくボディに収まります。

ただ幅にして1ミリあるかないかのパーツを、何箇所も丁寧にゲート処理するのは神経使います。だって折れたら余計な手間になるわけだし…。じゃあここがもし塗装だったら? それはそれで面倒だけれど、マスキングさえなんとかなれば…というところで、「あ、そうか、プラモデルってそういう遊びなんだな」と。
「あちらを立てればこちらが立たず」のジレンマをどうやって乗り越えるかが面白いんだな、と。スナップフィットか接着かのどっちかじゃない。色分けか塗装かのどっちかじゃない。どっちでもいいんですよ。完成しちゃえばこっちのもんなんだぜ。

このウインドウ。クリアパーツがグンバツにきれい。周りの黒は、シール。
そしてまたこのシールがクセモノで、静電気でフラフラするからまず位置決めがムズい。さらにフィルム材質で伸縮するので、ピンと貼ると伸びちゃって端が余る。結局4辺全部切り離してバラバラに貼りました。

さーて、いよいよ大詰めです。

正味2時間強で完成です。

完成してみたらやっぱりカッコよいね。
ボディは成型色のまんまだけど、表面がツヤッツヤに仕上げられてて見栄えは良好。塗膜剥がれを気にせず触れるのはいいよね。そしてあんだけスナップフィットにこだわっておきながら、ルーフラックは「接着しろ」と来たのには笑っちゃいました。

そんなこんなで、ステータスをスナップフィットに全フリしたスケールモデル、といった感じのこのキット。
組みやすいか組みづらいかで言えば組みづらかった。ただそれはカーモデルだからなのかもしれないし、事実スナップフィットのガンプラなんかは組みやすいのでもしかしたら嵌め込みの調整の問題なのかもしれない。
それはよくわからないけれど、どんなキットであれ完璧なものってそうそうないわけで、組みにくいところを楽しめるようになれれば、もっともっとプラモを好きになれるんじゃないかなあ、といったところでお開き。
 
最後はへし折ってしまったリアワイパーとともにお別れです。じゃーねい。

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