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【声劇台本】冥闇のダーカー


「悪い夢から覚めるよう、闇の夜へと運び逝こう」

現世とは離れた世界「魔界」
悪魔である「ダーカー=ナイトメア」は、狂った笑いをあげる悪魔たちを倒していた

悪魔の青年が主人公の、ダークバトルファンタジー
女1:不問4
60分
軽微な言い換え可
シナリオ展開が大きく崩れないアドリブならOK
タイトル表紙、キャラクターイメージ画像はNovel AIで作成

※もしダーカー役を女性でやる場合、下記の言い換えが必要
・ダーカー…俺→私
・ミサラ…兄さん→姉さん
・バイオラ…兄→姉、兄妹→姉妹


キャラクター

ダーカー

ダーカー=ナイトメア
「冥闇(めいあん)のダーカー」と呼ばれる、悪魔の青年
黒服白髪、第一印象はクールだが、戦闘狂なところがある
黒い剣を使って戦う。たまに鎌へと変形させる
兼ね役で「ロシュ」役をお願いします

ミサラ

ミサラ=ウィシュホープ
魔界で迷った魔女…らしい
緑の魔女帽子を被った10代くらいの少女
魔法を使ってたたかう
人のペースを狂わせる健気さがある

ヘル

ヘルファイア=ヴォルガ
「業炎の修羅(ごうえんのしゅら)」という異名がある
鎖に黒コート。口が悪い。俺様系
悪魔だが、真っ当な部分もあり、憎めない奴
炎の斧と、たまに鎖を使う

ゼロ

ゼロ=ノーザード
天界の拠点にいる天使
水色の髪に青系の身軽なローブを着てる
楽観的な面倒くさがり君、たまにサボり癖発揮
氷の力を使って戦う

バイオラ

バイオライト=レリジン
天界の拠点のいる天使
言葉遣いが丁寧な優しいイメージ
金髪で、黄系の聖教者っぽい服を着てる
光の力を使って戦う

ヒデじい様の声劇台本置き場にも置いてあります

https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/1218

シナリオ本文

0:ここは魔界。悪魔たちの狂った笑いが響くこの場所で、1人の”闇”があらわれり
 
0:
 
ダーカー:闇の夜(よる)へようこそ
 
ダーカー:悪夢の居心地はどうだ?
 
ダーカー:狂った笑い、狂った叫び、狂楽に飽きぬ者たちよ
 
ダーカー:今日の狂いを思い出に刻み、己の邪悪に乾杯し、
 
ダーカー:黒の狭間へ葬(ほうむ)り去れ
 
0:ダーカーは手から黒い剣を生成する
 
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
 
ダーカー:悪食の狂正論(あくじきのきょうせいろん)
 
ダーカー:悪い夢から覚めるよう、闇の夜(よる)へと運び逝(ゆ)こう
 
0:ダーカーは悪食の狂正論をふるい、目の前の悪魔を斬っていく
 
ミサラ:……すごい
 
ダーカー:隠れているんだろう、出てこい
 
ミサラ:あ、はい
 
ダーカー:……何者だ? 女
 
ミサラ:えっと、魔女です
 
ダーカー:魔女?
 
ミサラ:いつの間にか、ここにいて……
 
ダーカー:どういうことだ?
 
ミサラ:記憶が、なくて
 
ダーカー:何……?
 
ミサラ:なので、そのー
 
ミサラ:もしよければ……手助けをしてくれると、嬉しいんですけど……
 
ダーカー:喜んで断ろう
 
0:
 
バイオラ:…やはり
 
ゼロ:どうしたの? 
 
バイオラ:少し調べものをしていましてね
 
ゼロ:へぇ
 
バイオラ:いつも通りの監視事。毎日のルーティン
 
バイオラ:迷惑な魔界の害はなく、いつも通り平和です
 
ゼロ:平和なら本でも読んだら?
 
ゼロ:これ、人間界の話がかいてあるやつ
 
バイオラ:物好きですね、天使が書いたものなのに
 
ゼロ:いつか人間界の本も読んでみたいよねー
 
バイオラ:自分がサボり魔であることを、自覚していらっしゃると
 
ゼロ:い、いやぁ……
 
バイオラ:ところが、ゼロ。これを
 
ゼロ:魂の観測レーダー……朝見た時は変な反応なかったはず…だけど
 
ゼロ:……あー、これって
 
バイオラ:そう「迷子の魂」
 
ゼロ:……はぁ
 
バイオラ:今日の仕事がやってきましたよ
 
ゼロ:……つらいな
 
バイオラ:そのための天使拠点です、ここは
 
ゼロ:あ、そういえば……あいつがいるんだっけ。ダーカー=ナイトメア
 
バイオラ:「冥闇(めいあん)のダーカー」……最近、頭角を現し始めた悪魔
 
バイオラ:初めてこの魔界で観測してから数か月でしたか。強力な悪魔とききます
 
ゼロ:でも、悪魔を倒してるんでしょ? 
 
バイオラ:戦いに興(きょう)じているだけでしょう。我々の仕事を妨害するようであれば、話は別です
 
ゼロ:ま、それもそっか
 
ゼロ:……ん? あれ?
 
バイオラ:何ですか?
 
ゼロ:これ見て、もう一つ反応がある
 
バイオラ:別の悪魔の反応……大きいですね
 
ゼロ:ややこしいことになりそう……できればバイオラも来てくれるとラクかなぁって思うんだけど~
 
バイオラ:分かりました。念のため、私も向かいましょう。
 
0:
 
0:魔界
 
ミサラ:待ってくださいよ~
 
ダーカー:言われて待つ悪魔がいるか
 
ミサラ:そういわれたら……そうですけど
 
ダーカー:なんでついてくる?
 
ミサラ:ダーカーさんのような悪魔、レアですから
 
ダーカー:どこが?
 
ミサラ:さっきの悪魔みたいに、襲ってこないじゃないですか
 
ダーカー:悪魔が全員、襲うわけではない
 
ダーカー:とっとと失せろ
 
ミサラ:いやでも、自分の身を守れても、その……帰れなかったら意味がないんです!
 
ダーカー:しらん
 
ミサラ:嫌です! せっかく見つけた良い人なのに!
 
ダーカー:人じゃなくて悪魔だ
 
ミサラ:見た目は人です!
 
ダーカー:…変な奴だ
 
ヘル:楽しそうじゃねえか、オイ
 
ミサラ:だ、誰ですか?
 
ヘル:見つけたぜ、冥闇(めいあん)のダーカー
 
ダーカー:黒いコートに鎖に、牙のような歯、いかにも闇の者……悪魔らしい
 
ダーカー:俺といい勝負だ
 
ヘル:ははは! その度胸も一人前だ
 
ヘル:全身からびりびりと感じるぜ
 
ダーカー:それはご光栄だ、悪魔
 
ヘル:オレはヘル。ヘルファイア=ヴォルガ様だ
 
ダーカー:……業炎(ごうえん)の修羅(しゅら)か
 
ヘル:その通り
 
ヘル:オレ様は基本的に「強い」
 
ヘル:つまり、他は弱い
 
ダーカー:自分こそが強いと豪語する……面白い
 
ダーカー:葬りがいがあるじゃないか
 
ヘル:葬られるかどうかなんざ、勝手に決めんなよ、ダーカー
 
ヘル:決めるのは誰でもねえ。オレだ
 
ヘル:オレ様こそが、魔界の頂点に立つにふさわしい
 
ヘル:だからとっとと、焼かれろや! ダーカー=ナイトメア!
 
ミサラ:わぁ、辺りに炎が!
 
ダーカー:ヘルファイア=ヴォルガ。俺の闇を染めてみせろ
 
ヘル:へへ……いいぜ、いいぜ
 
へル:頭のネジをぶっ飛ばしたやりがいは、悪魔にしか与えられないボーナスポイントだ……楽しもうや
 
0:ヘルはそう言って、手から鎖を生成した
 
ヘル:炎羅体現(えんらたいげん)
 
ヘル:裁獄(さいごく)の炎鎖(えんさ)
 
ダーカー:炎の鎖……と……曲者だな
 
ヘル:いい逃げっぷりだな、ダーカー。ビビって反撃も出来ねえか!?
 
ダーカー:そう焦るな。じっくりと燃やしていけ
 
ヘル:はっ! その減らず口に乾杯だ! 
 
ヘル:第1撃(げき) 壊除(かいじょ)!
 
ヘル:炎縛の破滅(カタスト・ファイグリマ)!
 
ミサラ:炎の鎖が伸びて……!
 
ヘル:ほら! そこだ!
 
ヘル:そのまま受けやがれ!
 
ダーカー:……はは
 
ミサラ:……笑った?
 
ダーカー:第1夜(や)、開放
 
ダーカー:怪異夢精(ミステリー・ウェット)
 
ヘル:黒い霧になった!?
 
ダーカー:ここだ
 
0:ヘルの後ろに、ダーカーが現れる
 
ヘル:なに!?
 
ダーカー:第2夜、開放
 
ダーカー:十字架の裏切り(クロス・ビトレイヤル)
 
0:ダーカーは十字を作るように剣をふるって、ヘルを斬る
 
ヘル:ぐ……っ……あ
 
ミサラ:黒い……十字架
 
ヘル:……はは、おもしれえ! おもしれえなぁ! ダーカー=ナイトメア!
 
ミサラ:炎が集まっていく……?
 
ヘル:炎羅体現(えんらたいげん)!
 
ヘル:業羅(ごうら)の大壊斧(だいかいふ)
 
ミサラ:お、おっきな斧が!
 
ヘル:ゴミ箱にブチ込まれる準備はいいか?
 
ヘル:リサイクルもままならねえくらいに、未来永劫、焦がし潰してやる!
 
ダーカー:焦がすのではなく、染めろと、俺は言っているのだがな
 
ヘル:んなこといってられるか?
 
ヘル:第2撃(げき) 壊徐(かいじょ)
 
ヘル:業獄の炎天崩し(アクシィード・ヘルガ)
 
ヘル:おっっるるぁあああああああああああ!
 
ダーカー:ほう! 少しでも当たれば大けがだな
 
ヘル:焼く! 燃やす! 灰にしてやらああああああ!!
 
ミサラ:魔法発動!
 
ミサラ:ロック・オン・ドロップ!
 
ヘル:なに!?
 
ダーカー:あいつ……
 
ミサラ:助けてくれた恩返しです!
 
ヘル:上から岩!?
 
ミサラ:まだ、行きます!
 
ヘル:邪魔くせえな、畜生!
 
ミサラ:さらに、魔法発動!
 
ミサラ:ウォーター・ウェイバ!
 
ヘル:な!? 今度は波かよ!
 
ミサラ:消火します!
 
ヘル:ぐっ……ぐぬぅうう!
 
ミサラ:……あれ、全然消えないんですけど
 
ヘル:蒸発させてやらあ!
 
ダーカー:残念だったな
 
ヘル:っ! 後ろにっ……!
 
0:ダーカーはヘルの首元に黒剣「悪食の狂正論」を付きつけた
 
ダーカー:狂楽(きょうらく)の宴(うたげ)はここまでだ
 
ヘル:チッ
 
ミサラ:こ、降参してください、ヘルさん
 
ヘル:……動けねえか
 
ダーカー:愉快だったぞ、ヘルファイア=ヴォルガ
 
ダーカー:その業火(ごうか)で、灰へと返すことはできなかったがな
 
ヘル:それでこそ悪魔……文句ねえ…ダーカー=ナイトメア
 
ヘル:そこのお前も、俺のいっぱい喰わせるとは、強火なクソガキじゃねえか
 
ミサラ:ほ、褒めてくれてるんですかね…それ
 
ダーカー:さぁ、冥(めい)の狭間へ葬るとしよう
 
ミサラ:ま、待ってください、これ、トドメを刺す流れですか!?
 
ヘル:オイオイ……見てわかるだろ
 
ヘル:俺は負けた。それ以上にいうことはねえ
 
ミサラ:悪魔なのに……そんなにあっさり認めるんですか?
 
ヘル:悪魔以前に、オレは、業炎(ごうえん)の修羅(しゅら)、ヘルファイア様だ
 
ヘル:最後までオレの主義にのっとる。その幕締めは決めてんだ……それは、最後まで笑うってな! はははははは!
 
ミサラ:……悪魔とは思えない、まるで人間みたいな……
 
ダーカー:お喋りは終わったか?
 
ミサラ:ちょ、ちょっと! ダーカーさん!
 
0:ミサラが、ヘルとダーカーの間に割り込む
 
ダーカー:どけ、お前も葬るぞ
 
ミサラ:どきません!
 
ミサラ:ヘルさんは、極悪人ではないと思います!
 
ヘル:……あ?
 
ミサラ:同種で争いをする必要はないと思います!
 
ヘル:いや、待てよ
 
ダーカー:俺たちは闇であり、悪魔だ。それを何だと思ってる?
 
ミサラ:私にはダーカーさんの常識は通用しません。ヘルさんが極悪人だとしたら、私の命を優先的に狙ってくるでしょう
 
ミサラ:なので、これ以上の争いは不要だと、私は思います
 
ダーカー:ばかばかしい…
 
ミサラ:とにかく! 無惨な殺し合いは、みたくないんです!
 
ダーカー:(……っ? なんだ? こいつを見ていると……頭の隅で、何かが疼きだすような……)
 
ヘル:……なんだか、変わったガキ連れてやがるな、ダーカー
 
ヘル:お守までやってるとは
 
ダーカー:……勝手にこいつが、ついてきているだけだ
 
ミサラ:勝負は、ここまで、ですよ!
 
ダーカー:…興が覚めたな
 
ヘル:ガキ、名前は?
 
ミサラ:ミサラです
 
ダーカー:……ミサラ? 
 
ミサラ:? どうかしましたか?
 
ダーカー:……いや、なんでも
 
ダーカー:(小さい声で)……どこかで、聞き覚えが……
 
ヘル:なんでお前みたいな奴が、こんなところにいんだよ
 
ミサラ:いや、私、記憶がないんですよ……
 
ヘル:へぇ
 
ミサラ:で、それを知りたいから、今こうやって優しい悪魔さんについていってるんです
 
ヘル:優しい悪魔……? ブッ! ハハハハハハ!
 
ダーカー:笑うな悪魔
 
ヘル:ダーカー=ナイトメアが優しい! デビルジョークもいいところだぜ!
 
ミサラ:冗談じゃなくて本当です!
 
ミサラ:ヘルさんも優しいでしょうに!
 
ダーカー:言われてるぞ
 
ヘル:……。気に入らねえ
 
ミサラ:あれ? 顔赤いですよ?
 
ヘル:燃やすぞクソガキ!
 
ゼロ:楽しそうにお話してるね、悪魔さん
 
0:3人のもとに、ゼロとバイオラがやってきた
 
バイオラ:良かった、まだ魂は無事のようですね
 
ヘル:おいおい、ついにお迎えきましたってか? 天使さんよ?
 
バイオラ:お迎えといえば、間違ってはいませんね……。あぁ失礼。私はバイオライト=レリジン。バイオラとお呼びください
 
ゼロ:僕はゼロ。ゼロ=ノーザード
 
ミサラ:て、天使さんなんですか? 
 
ゼロ:あまり信用されてないみたい
 
バイオラ:もしかすれば、悪魔にたぶらかされた可能性がありますね
 
ヘル:疑心暗鬼は良くないな、天使さん?
 
バイオラ:ではなぜ、そちらの少女を、お二人が囲っているのです?
 
ダーカー:囲うなどとばかばかしい。すぐにでも引き離そうと思っていたさ
 
バイオラ:……ほう
 
ゼロ:こんな状況で言える?
 
ミサラ:ダ、ダーカーさんは私を助けてくれました!
 
バイオラ:ご厚意をすでに悪魔から受けたと
 
ゼロ:どうかな? もしかしたら、いい所を見せただけで、後から食べちゃうかも?
 
ミサラ:た、食べる!?
 
バイオラ:悪魔の常套手段ですね。だますのは当たり前
 
ヘル:オレ達のこと、理解してくれてるようで頭がありませんなぁ。流石だぜ
 
ゼロ:それ褒めてないでしょ?
 
ダーカー:いいや、悪魔なりの敬意だ
 
バイオラ:ご冗談を
 
ゼロ:じゃ、君。こっちおいで
 
ミサラ:お断りします!
 
バイオラ:おやおや
 
ミサラ:いきなり人さらいする方を、信用できません!
 
ゼロ:ひ、人さらいって……
 
バイオラ:なら、強行手段で行きましょう
 
ゼロ:そうだね
 
ダーカー:ふっ……光の存在とあれば、闇などたやすく染めてしまいそうだ
 
ゼロ:染めずとも、もろもろ消し去ってあげるさ、冥闇(めいあん)のダーカーさん
 
ダーカー:是非ともやってみせろ
 
ヘル:来いよ、天使ども!
 
ミサラ:え? ま、また戦いですかぁ!?
 
ゼロ:零氷体現(れいひょうたいげん)
 
バイオラ:光聖体現(こうせいたいげん)
 
ダーカー:いきなり遠距離……それも広範囲の技か?
 
ヘル:ぶっとんだスタートダッシュだなぁ!
 
ゼロ:第1節(せつ) 執了(しゅうりょう)
 
バイオラ:第1章 開幕
 
ミサラ:氷と光が……!
 
ゼロ:平穏の吹雪(クライエット・ブリザード)
 
バイオラ:到来の世光(フォーエバスト・ライタル)
 
ダーカー:成程……光の追尾弾と、吹雪を混ぜた連携とは……
 
ヘル:ド派手にきやがるぜ、畜生!
 
ミサラ:魔法発動!
 
ミサラ:ウィンドワンダー!
 
ヘル:うおっ!? 
 
バイオラ:ほう、これはこれは。魔法で浮かせて、悪魔たちを守りましたか
 
ゼロ:あの子の仕業? 厄介だね、もう
 
ミサラ:大丈夫ですか!? 
 
ヘル:…た、助かったぜ
 
ダーカー:なら、こちらのターンといこう
 
ヘル:そうだな! 悪魔の返礼を、たっぷりとシてやるぜ!
 
バイオラ:これは、二人同時に来ますか……!
 
ヘル:オレは空中から、炎のクソッタレ鉄槌(てっつい)を
 
ダーカー:地上から暗黒の響きを、その耳にしかと、お魅(み)せしよう
 
ダーカー:第3夜(や) 開放(かいほう)
 
ヘル:第3撃(げき) 壊除(かいじょ)
 
ダーカー:悪恐たる怖鳴(デモンズ・スケアルター)!
 
ヘル:螺旋の焼獄落とし(スパイラル・ヘルダウン)!
 
バイオラ:そうやすやすと、受けはしませんよ
 
バイオラ:第2章 開幕
 
バイオラ:守敵光円(ガーディファクト)!
 
ヘル:チィ! 防がれるか!
 
バイオラ:やはり、凄腕の悪魔たち。ガーディファクトもやぶれそうです
 
ミサラ:もらいます!魔法発動!
 
ミサラ:サンダー・バード!
 
バイオラ:おお、雷鳥(らいちょう)とは、芸の多い子だ
 
ミサラ:ぬぬ……防がれた……
 
ゼロ:その間に、ひょいっと失礼
 
ミサラ:あっ!
 
ゼロ:ちょーっと冷たいけど、腕を氷で縛らせてもらったよ
 
バイオラ:お手柄です、ゼロ
 
ゼロ:ありがと
 
ゼロ:じゃ、この辺りで退散するね。お先、バイオラ
 
ヘル:なんだよ、もう終わりか? 
 
バイオラ:本命はあの魂でしたので。……それと
 
ヘル:あ? 
 
バイオラ:警告です。
 
バイオラ:貴方達は、この件に関わらないでいただきたい
 
ダーカー:……ずいぶん鋭い声音(こわね)だな、バイオラ
 
ヘル:殺気満々だぜ、天使! 悪魔に見せられたら恥ずかしい隠し事でもあるのか?
 
バイオラ:馬鹿なことを言わないで頂きたい。それだけ警戒しているのですよ。今更何を言っていますか
 
バイオラ:では、これで
 
0:バイオラは姿を消した
 
ダーカー:……消えたか
 
ヘル:でも残念ながら
 
ヘル:やられっぱなしで終わるヘルファイア様じゃねえんだよ
 
ダーカー:突然つよがってどうした
 
ヘル:強がってんじゃなくて、強いんだよ! オレは
 
ヘル:……このまま天界の拠点に乗り込みたい。タダじゃ終わらせねえ
 
ダーカー:ほう
 
ヘル:だから手を貸せ、ダーカー
 
ダーカー:悪魔の威厳をみせつけると?
 
ヘル:そうだ。乗り込んで潰す
 
ヘル:あの世で喧嘩うっちゃいけねえのは誰か、教えてやる
 
ダーカー:天使の慈愛に溢れた宴(うたげ)の会場、一度入ってみたかったところだ
 
ダーカー:光と闇が手をあわせ、戦という名の社交をかわす……いいだろう、面白い
 
ヘル:……あと、それに
 
ダーカー:ん?
 
ヘル:その、あれだ、あれ
 
ダーカー:あれ?
 
ヘル:あのクソガキからは、助けられたからな
 
ヘル:敵だった野郎をかばうなんざ、見どころがあるしな
 
ヘル:それも、返してやらねえと
 
ダーカー:……そっちが本命か
 
ヘル:うるせえ、燃やすぞ
 
ダーカー:……まぁいい、ついていこうじゃないか
 
ダーカー:静観(せいかん)もつまらない
 
ヘル:デビルテンション全開でいこうや!
 
ダーカー:今日の闇夜(やみよ)は、長くなりそうだ……クク
 
ヘル:天使共に意地をみせつけ、あの女を手にし、オレ様の欲望パラダイスを築き上げてやる
 
ヘル:さぁ、このまま奴らの根城を火の海だ! 
 
ダーカー:ふふふっ……
 
ヘル:はぁーっはっはっはっは!!
 
0:しばらくダーカーとヘルが二人で笑う。(ダーカーは静かに笑う。ヘルは高笑い)
 
ダーカー:(……と、笑ったものの、今だに引っかかる)
 
ダーカー:(ヘルとは違うが、あの女のことが、どうにも気になってしまう……なぜだ)
 
ダーカー:(この気持ち悪さを晴らすためにも……行けば分かるか)
 
0:
 
0:
 
ゼロ:ほい、もう少しだよ~
 
ミサラ:は、はなしてくださいよ~!
 
ゼロ:変な事しませんよ~
 
ミサラ:なら……
 
ゼロ:ん?
 
ミサラ:魔法発動!
 
ミサラ:ウインド・ブレイディッター!
 
ゼロ:痛ったぁぁぁっ! こいつ……
 
ミサラ:今のうちに逃げる!
 
ゼロ:あ、待て!
 
ミサラ:えーっとえーっと…まずい……迷った
 
ゼロ:あぁ~、どこいったぁ?
 
ミサラ:…あ
 
ゼロ:見つけた! ストップそこまで! 
 
ミサラ:むむっ!とっさに魔法発動!
 
ゼロ:ちょ、早いって撃つの!
 
ミサラ:うるさい! バーニングシュート!
 
ゼロ:ったくもう……!
 
ゼロ:第2節(せつ) 執了(しゅうりょう)
 
ゼロ:零鎖された凍界壁(アイシティ・ウォールド)
 
ミサラ:むっ……防がれた…! やりますわね!
 
ゼロ:なんでナメられてるんだろう、僕
 
ミサラ:敬意を表してます! 人さらいとして!
 
ゼロ:全然嬉しくないんだけど……もう、仕方がない……
 
ミサラ:く、くる! またあの吹雪が!
 
ゼロ:第1節(せつ) 執了(しゅうりょう)
 
ゼロ:平穏の吹雪(クライエット・ブリザード)
 
ミサラ:うぅぅぅ、さ、寒ぃぃぃ!
 
ゼロ:さてさて、耐えれられるかねぇ
 
ミサラ:むむむ!
 
ゼロ:お、粘るね……でも諦めたほうがいいよ~
 
ミサラ:魔法発動!サンダーバード!
 
ゼロ:おっと!
 
ミサラ:う、外したぁ……
 
バイオラ:何をしていますか
 
ミサラ:ひぃ! 後ろに!
 
ゼロ:ごめん、その子。思った以上にクレイジーで
 
ミサラ:誰がくれいじーですか!
 
バイオラ:ひどく疲れていますね、ゼロ
 
ゼロ:追いかけっこでね…
 
バイオラ:では、拠点に戻りましょう
 
0:天界拠点
 
ミサラ:こ、ここは……?
 
ゼロ:天界拠点。魔界を管理している、天界の仕事場だよ
 
ミサラ:なんだろう、不思議と落ち着く
 
バイオラ:魂がゆるんできましたか。いい傾向です
 
ゼロ:少しは警戒心、薄くなったかい?
 
ミサラ:あの悪魔さんたちも、いい人ですけど……
 
ミサラ:そっか、天使さんだもんね……
 
バイオラ:それで、ミサラさん。どうしてあなたは魔界に?
 
ミサラ:気づいたら、迷ってて……何処から来たのか記憶がないんです
 
バイオラ:……ふむ
 
ミサラ:だから、記憶を取り戻したいし、元居たところに帰りたいんです
 
ゼロ:……あぁ……ミサラ、その。ごめん
 
ミサラ:はい?
 
ゼロ:いきなりこんな事言っても信じられないと思うけど……君は、この世にいない存在なんだ
 
ミサラ:……え?
 
バイオラ:人間界で死んだあと、魂の善悪を区別されて、良い魂は天界に行き、悪い魂は魔界に行く
 
ゼロ:ただ、死後の魂が魔界へと迷い込んでしまうこともあってね
 
バイオラ:すると、魔界の影響で、少しずつ穢(けが)れがつきはじめ、そのせいで記憶があやふやになる魂が出てくるのです
 
ミサラ:じゃ、じゃあ、ここは、死後の世界で
 
ミサラ:私は……死んでる?
 
ゼロ:…残念だけど
 
ミサラ:そ……そうなんですね
 
バイオラ:ミサラさんのように驚く魂は、珍しくありません
 
ミサラ:……
 
ゼロ:急にごめんね。でも、自分の状態を知っておかないと、魂として正しく導けないから
 
バイオラ:これから別室へ行って、魂の穢(けが)れを一度、洗い落としましょう。そうすれば、自然と記憶がよみがえってくるはずです
 
ミサラ:……分かりました。お願いします
 
ゼロ:……これで落ち着きそう、かな。あとは、天界への報告を
 
バイオラ:いいえ、ゼロ
 
ゼロ:ん?
 
バイオラ:この件は、まだ報告をしないでください
 
ゼロ:え? う、うん
 
バイオラ:それでは、ここは任せます、ゼロ。……さぁ、ミサラさん、こちらへ
 
ミサラ:はい
 
0:
 
ゼロ:報告をしなくていいって……あの人がそんなこというなんて、珍しい
 
ゼロ:……っ? なんだ、騒がしいな?
 
ゼロ:あーあ、そういうことね。……最悪
 
0:
 
0:拠点地下室
 
バイオラ:着きました
 
ミサラ:こんな場所があるんですね
 
バイオラ:では、ミサラさん
 
ミサラ:はい……
 
バイオラ:……
 
ミサラ:な、なんですか?
 
バイオラ:……いえ
 
ミサラ:?
 
バイオラ:…準備はよろしいですか?
 
ミサラ:はい……
 
バイオラ:では……失礼します
 
0:バイオラが手を光らせ、ミサラの頭部あたりにあてる
 
ミサラ:……っ、あ……あぁ………ぁ
 
バイオラ:…!
 
0:
 
0:天界拠点 大広間
 
ヘル:お邪魔するぜ、ゼロ
 
ゼロ:その様子だと、入口の天使兵はやられたかな。全く
 
ダーカー:悪魔にはまぶしすぎる場所だな、ここは
 
ゼロ:君たちってさぁ、戦うしか脳がないわけ? もっと静かに読書とか、できないの?
 
ヘル:つまらねえ。ビリビリ焼いちまいそうだ
 
ゼロ:破るのか焼くのか、どっちだよ…っ!
 
0:ゼロが目然に巨大な氷を生成していく
 
ヘル:……なんだ? 氷がでかくなっていきやがる……?
 
ゼロ:第3節(せつ) 執了(しゅうりょう)
 
ゼロ:覇氷の巨人(ドミナ・タイタロス)
 
ダーカー:ほう、氷の巨人とな
 
ヘル:天使のキレイな翼くらい、つけてやりゃあいいのに
 
ゼロ:攻撃できれば十分。行け!
 
ダーカー:ずしり、ずしりと……自信と余裕が混ざりあった足音だ
 
ヘル:おもしれえ……悪魔ってものを豪快に見せつけて、その自信を、オレ様の燃料にしてやるよ。ゼロ=ノーザード!
 
ゼロ:へぇ?
 
ヘル:『炎(えん)へ焦がれろ
 
ヘル:修羅(しゅら)の業(ごう)を壊し、その名を、炎(ほのお)の王へ返還せん』
 
ヘル:第4撃(げき) 壊除(かいじょ)
 
ヘル:修羅の火遊び(ボルケイノ・タイファー)!
 
ゼロ:炎の竜巻……あーあー、削ってくるねぇ
 
ヘル:さっさと解けちまえや!
 
ゼロ:解ける前に凍るほうが先かもね?
 
ダーカー:なら、その氷を染めてみるか?
 
ゼロ:っ!?
 
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
 
ダーカー:狂者刈り(きょうしゃがり)
 
ゼロ:ダーカーの剣が、鎌に?
 
ダーカー;愚かな氷よ、死へと蒸(む)せろ
 
ダーカー:第4夜(や) 開放
 
ダーカー:黒者がもたらし破滅亡(ブラッカー・デイライト)!
 
ゼロ:へぇ、闇で一気に「狩る」と……。でも悪いけど、僕、化物じゃないから
 
ゼロ:第2節(せつ) 執了(しゅうりょう)
 
ゼロ:零鎖された凍界壁(アイシティ・ウォールド)
 
ダーカー:…防がれるか、簡単にはいかないな
 
ヘル:なら、この拠点ごと燃やしちまうか!? ははは!
 
ダーカー:さぁ、ゼロ=ノーザード。その神々(こうごう)しい氷の力で、俺の闇を染めて見せろ!!
 
ゼロ:……だからさ
 
ゼロ:うるさいから、黙れって
 
0:突然、氷の巨人が叫び、巨人の体が砕け、氷がゆっくりと飛び散る
 
ダーカー:…巨人が、割れた?
 
ゼロ:悪魔って、本当に愚かで、めんどくさい
 
ゼロ:教育がなさすぎるのも、ここまできたら笑いものだよ
 
ヘル:割れた氷が、辺り一面に……?
 
ダーカー:……これは?
 
ゼロ:『氷(ひょう)へ静まれ
 
ゼロ:愚鳴(ぐめい)の魔を閉ざし、その悔(かい)を、氷(こおり)の王へ返還せん』
 
ゼロ:第4節(せつ) 執了(しゅうりょう)
 
ゼロ:氷静された罵声(シャウト・クラザルド)
 
0:瞬間、散らばった氷が爆散し、ダーカーとヘルに襲い掛かった
 
ダーカー:ちっ……!
 
ヘル:ぐ…おおっ!
 
ゼロ:……魂には統率がいる。しっかりと目をもった統率が。それがあるから静寂があり、静寂があるから、本を読める
 
ゼロ:君ら悪魔が偉そうにとなえる「自由」なんてのは、ただの害なのさ。重要なのはその馬鹿共を従える統率だ
 
ゼロ:だから、自由を捨てて、さっさと天にかえれよ
 
ヘル:はっ! いい顔つきになってきたなぁ……ゼロ! 悪魔的だぜ!
 
バイオラ:第3章 開幕
 
バイオラ:遵守されるべき道徳(モラル・ライアンス)
 
ダーカー:っ! 床から、光の針? 
 
ヘル:この攻撃はっ!
 
ゼロ:バイオラ……
 
バイオラ:加勢をしますよ、ゼロ
 
ダーカー:……ミサラはどうした?
 
ヘル:一緒にいたんじゃねえのかよ?
 
ゼロ:もしかして返したの? それともこれから?
 
バイオラ:いえ、どちらでも
 
ゼロ:え?
 
バイオラ:あの子は、ここに残します
 
ゼロ:……ど、どういうこと?
 
バイオラ:はっきり言うと、ミサラは死後の魂ではありません。……生きている人間です
 
ヘル:はぁ?
 
ゼロ:ミサラが、生きている……人間? ……じゃ、じゃあ、生きている人間が、魔界に来てたってこと?
 
バイオラ:……ええ
 
バイオラ:数十年前、「生きた人間」がそのまま魔界に迷い込んだ記録が残っていました
 
バイオラ:その記録と照らし合わせた結果、今回の観測と一緒だったのです
 
バイオラ:さらに記録の中でかかれていたのは、死への意識が強くなった人間が迷い込んだそうです
 
ゼロ:死への意識が強くなった人間が…迷いこむ……
 
バイオラ:それと、話をするにあたって、必要なことがもう一つ
 
バイオラ:……ダーカー=ナイトメア。あなたは、すでにこの事を知っているはずだ
 
ダーカー:…っ?
 
ヘル:ダーカーが知ってるだと?
 
ゼロ:生きて迷い込んだミサラと……ダーカーに、関係がある?
 
バイオラ:そうです。というのも
 
バイオラ:そこにいる冥闇(めいあん)のダーカーは
 
バイオラ:悪魔へ転生したミサラの兄です
 
ヘル:…おいおい、次から次へと…マジの話してんのか
 
バイオラ:天使は嘘をつきませんよ。事実です
 
ゼロ:ダーカーが、転生した…人間 
 
バイオラ:人間界に、仕事で降りたことがありましてね。私が行ったのはある村でした
 
バイオラ:そこには、とある家族が居て、その家族の娘は、不思議と魔法を使えていたとききます
 
ヘル:それが、ミサラか
 
バイオラ:そう。ただ、その村で迫害があったのです
 
ダーカー:……っ!
 
バイオラ:その場所では、1人の村人の勝手な迷信が広がり、とある家族が「悪魔の末裔(まつえい)だ」と呼ばれ、虐殺にあいました
 
バイオラ:しかし、家族の1人が……最後まで村人に抵抗し、戦い……生き残りました
 
バイオラ:生き残ったのは、妹のミサラと
 
バイオラ:彼女の兄、「ロシュ」…そこにいるダーカー=ナイトメアです
 
ゼロ:…つまり、ダーカーは彼女を守って死んで…そのミサラは、生き残った…と…
 
バイオラ:まさか、貴方が悪魔になり、その妹が魔界に迷い込んでいるという事態になっているとは、思いもしませんでしたが
 
バイオラ:全く持って、目をつぶったら心が腐ってしまう、残酷な悲劇です
 
ゼロ:で、でもまって……バイオラ
 
バイオラ:……なんです?
 
ゼロ:人間界へ戻さないって、それは、ミサラを”死んだ”ことにするんじゃ……?
 
バイオラ:ええ。彼女を肉体から切り離し、死後の魂として取り扱います
 
ゼロ:それは……! それは許されることじゃないよ、バイオラ!
 
ゼロ:僕達天使が、人間の魂を意図的に操作するってことじゃないか!
 
ゼロ:天界の決まりごとを、破るつもりかい!?
 
バイオラ:それが必要なんですよ!!!
 
0:少しの間
 
バイオラ:救いがルールによって潰されるなら、無い方がよっぽどいい
 
ゼロ:バイオラ……
 
バイオラ:…ゼロ=ノーザード。…そこの二人は帰る気がないようです
 
バイオラ:悪魔は、ここで始末しましょう
 
ゼロ:……っ
 
バイオラ:これは仕事ですよ、ゼロ
 
ダーカー:…ヘル
 
ヘル:なんだよ?
 
ダーカー:バイオラは俺がやる
 
ヘル:……分かった
 
ダーカー:頼む
 
ヘル:悪魔がシリアスになるなって
 
0:
 
バイオラ:……ミサラさんは、必ず
 
0:
 
0:数分前 天界拠点 地下室
 
バイオラ:準備はいいですか、ミサラさん
 
ミサラ:はい…… 
 
ミサラ:っ、ぁぁああああ……ぁ!
 
バイオラ:ミサラさん! 大丈夫ですか! 
 
ミサラ:……夜、あの夜だ
 
バイオラ:っ…!
 
ミサラ:思い出した……全部
 
ミサラ:家族がみんな、殺されて
 
バイオラ:やはり……貴方は、あの村の……
 
ミサラ:……村の人たちから、追ってきて…
 
バイオラ:落ち着いてください、ミサラさん!
 
ミサラ:怖くて夜も眠れなくて……
 
ミサラ:……そうだ、兄さん、兄さんが……
 
ミサラ:…ぁ……ぁぁ
 
バイオラ:……っ、人間へと干渉することは禁じられている。
 
バイオラ:ただ、そのようなルールがどうだ? それを守ったところで、天使と呼べるのか? 守れば天使なのか? ……まるで、悪魔のような残酷さではないか
 
バイオラ:天使が、残酷であるものか……!!
 
バイオラ:ミサラさん……私が、私があなたを……救いますから!
 
0:
 
0:天界拠点 大広間
 
ゼロ:くっ……!
 
ヘル:さっきまでの勢いはどうした、ゼロ
 
ヘル:自分が従ってきた上司様の発言に、動揺してんのか?
 
ゼロ:誰が……!
 
ヘル:信用が崩れる音が、よーく聞こえるぜ?
 
ヘル:そんな宙ぶらりんな状態で、オレを倒せるかよ!
 
ゼロ:僕は、どうあっても……天使として使命を全うするだけ……!
 
ゼロ:その行いから出来る世界は、綺麗な空気を感じれるほどの、平穏でなければならない……!
 
ヘル:そう言いながら、ふるえてんじゃねえよ、天使!
 
ゼロ:黙れ! 悪魔ごときが……!
 
ヘル:氷でピキっと黙らせますってかぁ!? やってみろ!
 
ヘル:第5撃(げき) 壊除(かいじょ)!
 
ヘル:羅爆業炎牙(らばく ごうえんが)!
 
ゼロ:斧を、でかい炎に牙に…この、馬鹿力が!
 
ヘル:灰にしてやらあああ!
 
ゼロ:零氷体現(れいひょうたいげん)……
 
ゼロ:無零(むれい)の氷連槍(ひょうれんそう)
 
0:ゼロはヘルの攻撃をとめた
 
ヘル:っ!? 氷の槍!?
 
ゼロ:第5節(せつ) 執了(しゅうりょう)
 
ゼロ:黙圧の氷連突(シャット・アイトラスト)
 
ヘル:いいぜ! その氷で、俺の業火(ごうか)を黙らせてみろ! ゼロ=ノーザード!
 
ゼロ:炎だけじゃなく、その口ごと凍らせてやる……!
 
0:
 
0:
 
バイオラ:冥闇(めいあん)のダーカー……、転生してからの貴方は、めきめきと力をつけていたそうですね。元人間だというのに、恐ろしいものです
 
ダーカー:目覚めたら、俺の魂は、魔界に来ていた
 
ダーカー:ロシュを終えた、悪魔として
 
バイオラ:それで?
 
ダーカー:俺は、記憶が混乱している中でも、無意識に戦っていた……。迫害した連中に似たような悪魔たち相手に、な
 
バイオラ:……あなたも記憶がなかったと
 
ダーカー:ミサラの名前を聞いてから、頭の中で何かが引っかかる感覚が続いた。そこで、お前に言われて、バラバラだったピースが一つの絵になったさ
 
ダーカー:ただ、完成したパズルは、闇に染まっていたがな
 
バイオラ:ダーカー、貴方の行いは、天使に近い
 
バイオラ:悪魔の羽根を捨て、こちら側に来てはどうですか?
 
ダーカー:喜んで断ろう
 
ダーカー:……ミサラは人間だ
 
ダーカー:彼女を人間界に戻す気がないなら、俺がやる
 
バイオラ:残念ですね
 
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
 
ダーカー:悪食(あくじき)の狂正論(きょうせいろん)
 
0:ダーカーは、鎌から剣へと構える
 
バイオラ:ずいぶんと暗く染まった剣ですね
 
ダーカー:ああ。最初から染まっている、俺の心も、この剣も
 
バイオラ:……暗さは闇を産み、苦しみを産む。同じものは繋がって、共鳴しあう
 
バイオラ:その愚かな連鎖が目の前でおころうとしているのに、それを笑顔でみつめる。暖かい顔で「加護がある」などと、ほざきながら見守る
 
バイオラ:それは天使ではなく、悪魔のすることです
 
バイオラ:救わずに笑っていられるほど、私は甘くありませんよ
 
バイオラ:光聖体現(こうせいたいげん)
 
バイオラ:守護執行(しゅごしっこう)
 
0:バイオラの手の甲が光、そこから鉤爪が生成される
 
ダーカー:っ……光の鉤爪(かぎつめ)……!
 
バイオラ:さぁ、光の懺悔(ざんげ)を宿しなさい
 
ダーカー:勢いが……早いっ!
 
バイオラ:どうしましたか? 表情に余裕がありませんよ
 
ダーカー:っ…がはっ!
 
バイオラ:闇に染められたいんでしたっけ? なら、白く、明るく、染めてあげましょう!
 
バイオラ:第4章 開幕
 
バイオラ:消失当然の悪(ライト・デリスティング)!
 
ダーカー:突進攻撃……っ。だが、やすやすとやらせん!
 
ダーカー:第5夜(や) 開放
 
ダーカー:狂楽開宴の達観(マッド・フェスタ)!
 
バイオラ:ほう、黒い衝撃波を辺り一帯に放ち、上に飛びますか
 
バイオラ:しかし……
 
ダーカー:構えを変えた…? 
 
バイオラ:第5章 開幕!
 
バイオラ:正義の大嘘(ジャスティ・ライア)!
 
ダーカー:光の刃を飛ばしてくるか…
 
ダーカー:なら、空中から、闇を堕(お)とす!!
 
バイオラ:っ!!
 
ダーカー:第6夜(や) 開放
 
ダーカー:奈落車(ならくぐるま)
 
バイオラ:空中で、闇を纏(まと)いながら降下をっ!
 
ダーカー:堕ちろ、バイオライト=レリジン!
 
バイオラ:その過ちの闇、全て還(かえ)してあげますよ!
 
0:
 
0:大広間の出口付近、ゆっくりと歩いて姿を現す人影があった
 
ミサラ:あれは……
 
ミサラ:ヘルさんが、ゼロさんと戦ってる……
 
ミサラ:…あとは、バイオラさんと
 
ミサラ:……兄さん
 
0:
 
0:森の中の小さな洞窟。布にくるまっているミサラ
 
ロシュ:……ただいま
 
0:ロシュは血まみれで、剣を引きずりながら帰ってきた
 
ミサラ:兄さん、その傷は!
 
ロシュ:もう、終わった
 
ロシュ:追ってきた奴らは、全員、息の根をとめた
 
ロシュ:もう大丈夫だ
 
ミサラ:でも、兄さんが…兄さんが!
 
ロシュ:ごめんな、ミサラ
 
ロシュ:お前を……おいていくことになって
 
ロシュ:……長い長い夜だった気がするな
 
ミサラ:嫌だ……おいていかないで
 
ミサラ:兄さんが居なくなったら、私は、ずっと一人で……
 
ロシュ:ミサラ…
 
0:ロシュはミサラの頭をなでた
 
ミサラ:っ
 
ロシュ:怖いものはない
 
ロシュ:あの村は、狂気を抱いて死んだ。暗い夜は、終わったんだ
 
ミサラ:っ……っぁ…
 
ロシュ:いいか、ミサラ。朝は必ず来る
 
ロシュ:お前が望めば、光は向こうからやってくる
 
ミサラ:いやだ、いやだ兄さん……!
 
ロシュ:……光へ向かって、歩いて、歩いて
 
ロシュ:希望をもって、歩いていけ、ミサラ
 
0:ロシュの目から光が消え、息絶えた
 
ミサラ:兄さん……兄さん!
 
ミサラ:うわ……ぁ……ぁあああっ
 
0:
 
ダーカー:…っ…はぁ…っ
 
バイオラ:……ダーカー
 
バイオラ:自分は、どこまでも闇だと、そう言いたいのですね
 
ダーカー:そうだ
 
バイオラ:ミサラは、人間界に戻りたくないと思っている
 
バイオラ:狂った夜を思い出して、毎日、怖がっている
 
バイオラ:また、同じ目にあったらどうしようと……
 
バイオラ:それがミサラの本音なんですよ
 
バイオラ:そこから解き放つことこそ、彼女の幸せだ
 
バイオラ:兄であるあなたに、なぜそれがわからない?
 
ダーカー:ロシュはここにいない、過去となった
 
ダーカー:ここにいるのは、ダーカー=ナイトメアだ
 
バイオラ:……そうですか
 
バイオラ:あなたがロシュではなく、ダーカー=ナイトメアとしているつもりなら……私が彼女を守ります
 
バイオラ:光聖体現(こうせいたいげん) 
 
バイオラ:天国への階段(ヘヴンズ・ステアリス)
 
ダーカー:……バイオラに、光の…鎧が?
 
バイオラ:光世(こうせ)の祝福(しゅくふく)をうたいなさい。冥闇(めいあん)のダーカー
 
ダーカー:光があれば、闇もある
 
ダーカー:その相反したものを持ち、生きることができるのが、人間だ
 
ダーカー:でも、光を失い、俺は悪魔になった
 
ダーカー:その俺にできることは…彼女の、ミサラ=ウィシュホープの”闇”になることだ
 
バイオラ:これは……? 黒い影が、ダーカーの周りを
 
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
 
ダーカー:冥闇狂皇(メア・エンペラー)
 
バイオラ:……変わりましたか……まさに、悪魔の姿
 
バイオラ:……本気ですね
 
0:
 
ゼロ:はぁ、はぁ
 
ヘル:……辞めだ
 
ゼロ:なに?
 
ヘル:力を感じねえ
 
ヘル:愚かに迷ってやがる
 
ゼロ:迷ってたら? 
 
ヘル:倒す価値もねえ
 
ヘル:てめえの生意気さを焼いて潰そうと思ってたのに、そんな腑抜けじゃ、火も勢いが増さねえってもんだ
 
ヘル:欲の炎がわかなきゃ、鉄の塊を振り回しても仕方がねえんだよ
 
ゼロ:ずいぶん言ってくれるじゃないか
 
ヘル:オレは「業炎(ごうえん)の修羅(しゅら)」、ヘルファイア=ヴォルガ様だ
 
ヘル:自分の気分がいいと思ったほうを選択する
 
ヘル:悪魔だからどう、ってわけじゃねえんだよ。……ま、たまに悪魔らしい選択もするっちゃあするがな……
 
ゼロ:……くそ
 
ヘル:ゼロ=ノーザード
 
ヘル:バイオラのやってることに納得ができねえんだろ
 
ゼロ:……そうだよ。あの人が、天界のルールを破ってまで行動に移すだなんて、思ってなかったから
 
ゼロ:でも、それを犯したら、上の連中が黙っていない
 
ヘル:ま、そうだろうよ
 
ヘル:組織ってのは大変だ、息が詰まる
 
ゼロ:ご厚意どうも
 
ヘル:悪魔になることをすすめるぜ
 
ゼロ:本を読む余裕があるのかい、悪魔には?
 
ヘル:知るか
 
ヘル:…と言ってる間に、向こうのお二人はやりあってんな……派手に
 
ゼロ:……バイオラ
 
0:
 
バイオラ:第6章 開幕
 
バイオラ:栄光の仙越者(グロウ・ライファー)……!
 
ダーカー:…光の連撃……!
 
バイオラ:光明(こうみょう)へと、切り刻む!
 
ダーカー:がっあぁ……ぁ
 
バイオラ:暗さなど、魂の穢(けが)れでしかない! そのまま失せなさい!
 
ダーカー:……まだ、染まりはしない!
 
ダーカー:第7夜(だいななや) 開放
 
ダーカー:死殺冥戯(しさつめいぎ)!
 
ダーカー:暗黒へ刻みかえす!
 
0:ダーカーとバイオラは、互いの光と闇を、爪と剣を撃ち合う
 
バイオラ:くっ…こざかしい…こざかしいですよ……
 
ダーカー:っ! 距離を取った……! 
 
バイオラ:……『天来(てんらい)の栄光(えいこう)よ!
 
バイオラ:終わりし歴史の礎(いしずえ)となり、その名を、雷(いかづち)の王へ返還せん』!
 
バイオラ:第7章 開幕
 
バイオラ:無敵光の一閃砲(ライトニング・デリーター)
 
ダーカー:光がまとまって……!
 
バイオラ:その魂ごと、転じなさい……
 
バイオラ:ダーカー=ナイトメアアアアアアッッ!
 
ダーカー:っ!!
 
0:ダーカーは光に飲みこまれる
 
バイオラ:……はぁ、はぁ、はは
 
バイオラ:その闇に汚れた決意は、歪んでいるんですよ、ダーカー
 
バイオラ:慈愛の前に、失せなさい
 
ダーカー:幸せの定義を決めるのは、天使じゃない
 
バイオラ:っ…? これは!? なんだ!?
 
0:気づけば、バイオラの周りに、深く黒い霧が生成され、それがどんどん大きくなる
 
0:
 
ダーカー:『黒(くろ)へ誘(いざな)え
 
ダーカー:悪怖(あくふ)の夢(ゆめ)を消し、その狂(きょう)を、永久(えいきゅう)の冥王(めいおう)へ返還せん』
 
0:
 
ダーカー:第8夜(や) 開放
 
ダーカー:「黒魔 狂冥殺(こくま きょうめいさつ)」!
 
0:ダーカーは、形状が変化した悪食の狂正論を握り、広く暗い霧の中から、バイオラを斬った
 
バイオラ:がぁあ……あ
 
0:ダーカーは「冥闇狂皇」状態を開放し、人の状態に戻る
 
ダーカー:はぁ……はぁ
 
ダーカー:……染められなかったな、バイオラ
 
0:バイオラの「天国への階段」状態が解け、膝をつく
 
バイオラ:っ。…なぜ……なぜです、ダーカー
 
バイオラ:どこまで苦しめれば、気が済むと……!
 
ダーカー:すべては、ミサラ次第だ
 
ダーカー:でなければ、ロシュは報われない
 
バイオラ:報われない……? 大切に思うなら、最大限の愛を捧げるのが…我々、天使のやることですよ……!
 
バイオラ:このまま苦しみ続ける運命である魂を、現実へ引き戻すなんて……こんな悲しいことがあるものですか……
 
ヘル:ごちゃごちゃうるせえなてめえは!
 
バイオラ:っ…!
 
ヘル:いついかなる時も、火を灯してりゃ暗くならねぇ。オレは希望も絶望も、馬鹿馬鹿しいからまとめて燃やすが、火のあったかさには……まぁ、忘れるもんかもな。知らんけど
 
ヘル:つまり……ミサラは死なねえさ。オレ様の「お炭(すみ)付き」だ
 
バイオラ:悪魔が……何を
 
ゼロ:バイオラ、もう辞めよう
 
バイオラ:……ゼロ。あなたまで!
 
ゼロ:気持ちは、分かる、分かるよ。僕だって、彼女の隣に居てあげたい
 
ゼロ:でも、それはしてはいけないんだ
 
ゼロ:人間がどんな選択をしても見守ること、光の存在として、天使として全うすること
 
ゼロ:自分がどれだけ辛くても、人間を見ていく。それが、天使に与えられた仕事なんだよ、きっと
 
バイオラ:……っ……く…そ……
 
0:バイオラはそのまま倒れ、意識を失った
 
ヘル:……馬鹿天使が
 
ゼロ:……僕の言ったことには、まだ納得していないと思う……でも今は、これでいい
 
0:ミサラが、ゆっくりとこちらへきた
 
ミサラ:……
 
ヘル:よう、シケた面になりやがったな、ミサラ
 
ミサラ:……いじわるなことを言うんですね
 
ヘル:そりゃ、悪魔だからな
 
ヘル:…その……。人間が、オレよりひでえ顔すんな
 
ヘル:気に入らねえ
 
ミサラ:……ごめんなさい
 
ヘル:なんであやまるんだよ
 
ミサラ:それでも……ごめんなさい、ごめん、なさい
 
ゼロ:……ミサラ……僕のほうこそ、謝らなければならない
 
ミサラ:優しいんですね
 
ゼロ:優しくないよ、僕は
 
ゼロ:君に対して残酷な選択しか与えられない
 
ゼロ:天使として僕が選ぶのは、それなんだ
 
ゼロ:…ごめん
 
ダーカー:残酷な選択じゃない、ゼロ
 
ミサラ:っ!
 
ダーカー:……久しぶりだな
 
ミサラ:やっぱり、兄さんなんですね
 
ダーカー:……
 
ミサラ:……私は
 
ミサラ:戻りたくない
 
ダーカー:……ミサラ
 
ミサラ:ここにいたい、現実に、戻りたくないんです…
 
ミサラ:せっかく会えたのに……
 
ダーカー:俺は、ダーカー=ナイトメアだ
 
ミサラ:違う! 兄さんはここに!
 
ダーカー:ロシュは死んだ!!!
 
ミサラ:っ!
 
ダーカー:……闇の存在でないお前は、ここに居られない
 
ミサラ:いやだ……いやだ
 
ミサラ:また、またあの夜がきて、
 
ミサラ:村の人たちの叫びが、私を殺そうと向かってきて……
 
ミサラ:毎晩、悪い夢で目が覚めてしまう
 
ミサラ:それなら私は、いっそのこと死んで、楽になりたいんです
 
ミサラ:楽になって、ここで、兄さんと
 
ダーカー:…ロシュはこう言った
 
ダーカー:「希望を持って歩いていけ」と
 
ミサラ:……っ!
 
ダーカー:お前はまだ生きている
 
ダーカー:死んだ人間は、もうお前の物語には関われない
 
ダーカー:生きてくれ、ミサラ
 
ミサラ:……なら、私の物語を終わらせてください。兄さん
 
ミサラ:……魔法発動!
 
ミサラ:バーニング・シュート!
 
ダーカー:第3夜(や) 開放
 
ダーカー:悪恐たる怖鳴(デモンズ・スケアルター)
 
0:ダーカーはミサラの魔法攻撃をはじいた
 
ミサラ:まだ…まだ…!
 
ミサラ:魔法発動!
 
ミサラ:ウォーター・ウェイバ!
 
ダーカー:第2夜(や) 開放
 
ダーカー:十字架の裏切り(クロス・ビトレイア)
 
ダーカー:……もうやめろ
 
ミサラ:なら……っ!
 
ミサラ:『白(しろ)へ辿れ
 
ミサラ:光明(こうみょう)の道筋を行(ゆ)き、その名を、光の天王(てんおう)に返還せん』!
 
ミサラ:魔法発動
 
ミサラ:ホープ・ウィッシュ
 
ダーカー:光の……力
 
ミサラ:うあああああああああっ!
 
ダーカー:……第1夜(や) 開放
 
ダーカー:怪異夢精(ミステリー・ウェット)
 
0:しかし、ダーカーはそれを避けて、ミサラの後ろに現れた
 
ミサラ:……あ………あ
 
ダーカー:……すまない、ミサラ
 
0:ダーカーは手から黒い霧を出し、ミサラを気絶させる
 
ミサラ:にい……さ……ん……
 
ダーカー:……俺がお前に与えられるのは、希望じゃなくて、闇なんだ
 
ゼロ:手伝うよ
 
ダーカー:ゼロ
 
ゼロ:悪魔でも、そんな顔するんだね
 
ダーカー:人間の涙を喜びに変えられない
 
ダーカー:ミサラの涙に、何も応えられなかった
 
ゼロ:…その涙は、その子の希望になる
 
ゼロ:絶望を心にもってしまったから、希望を感じられるんだとおもう。なぜの世の中の前向きな人が、皆の光になれるのか、それは、後ろをずっと見ていたからさ
 
ダーカー:……悪魔に言う事じゃないな、それは
 
ゼロ:一応、元人間だし。君。
 
ゼロ:それに、バイオラのように、最初から僕たちが、手取り足取り守ってあげていたとしたら、魅力的な本はできない
 
ダーカー:本が目的か、お前は
 
ゼロ:人間を大切に思うからこそ、だよ
 
ゼロ:でも、そうだね。加護(かご)くらいなら
 
0:ゼロはポケットから何かを取り出した
 
ダーカー:それは?
 
ゼロ:お守りみたいなもの
 
ゼロ:万が一危ない目にあっても、これがきっと彼女を守ってくれる
 
ゼロ:ダーカー、手を
 
ダーカー:?
 
ゼロ:君の「闇」も、このお守りの中に
 
0:ダーカーの手から、お守りに黒い霧が入っていく
 
ゼロ:これでよし
 
ヘル:準備は終わったかよ?
 
ダーカー:ヘル
 
ヘル:オレも見送るぜ。人間に助けられるのは、はじめてだったからな
 
ヘル:最後までシケた顔すんなって、ダーカー
 
ダーカー:俺は別に
 
ダーカー:……なら、ミサラを任せた。ゼロ
 
ゼロ:何言ってるんだい、ダーカー、君も見送らないと
 
ダーカー:何?
 
ヘル:そりゃそうだろ
 
ゼロ:人間界へのゲートを開くから、ほれ
 
ダーカー:……
 
ゼロ:君が悪魔でも、闇の存在でも、妹にあえたのは、事実
 
ゼロ:最後に、お姫様抱っこの一つでもしてあげたら?
 
ダーカー:……悪魔のやることか? これは
 
ゼロ:つべこべいってないで、ほら、行くよ
 
0:
 
ミサラ:暗い、暗い、闇
 
ミサラ:浮いているようで、沈んでいるようで
 
ミサラ:でも、なんとなく暖かい
 
ミサラ:……そう、これは。あの人の……ぬくもりに似ている
 
ミサラ:その暖かさを感じたのは、どれくらいだろう
 
ミサラ:いつの間にか、それがゆっくりとなくなって
 
ミサラ:私が目を開けたら、見知った景色が飛び込んできた
 
0:人間界。森の小屋
 
ミサラ:……?
 
ミサラ:私、寝てたのかな
 
ミサラ:ずいぶん長い時間、眠っていた気がする
 
ミサラ:あれ……? 
 
ミサラ:こんなお守り、いつの間に
 
ミサラ:でも、大事なもののような
 
ミサラ:…そう。兄さんは、いないんだった
 
ミサラ:……行こう
 
0:ミサラの姿を、後ろで見ている存在があった
 
ヘル:戻っていったな
 
ダーカー:……ああ
 
ゼロ:確かに、最善な選択ではないかもしれない
 
ヘル:でも、その先が正解か不正解なんて、誰にもわからねえ
 
ヘル:悪魔でも天使でも……人間でも
 
ヘル:むさぼるようにかきわけて進んだ道が、結局答えなんだよ 
 
ダーカー:……自分でそれを決める
 
ダーカー:己が光でも闇でも、何者でも、か
 
ゼロ:ふぅー、そしたらこれで、一件落着かな
 
ヘル:じゃ、俺は戻るわ
 
ダーカー:続きはしないのか
 
ヘル:戦う気が湧き出ねえ
 
ヘル:また気が向いたら、来てやるよ
 
ゼロ:あのさぁ、それまた暴れる気満々ってことよね?
 
ヘル:あと、ダーカー、お前ともケリをつけたいところだ
 
ダーカー:面白い
 
ヘル:首を洗ってまってろや! はぁーっはっはっは!
 
ゼロ:高笑いして消えてくし
 
ダーカー:バイオラは?
 
ゼロ:しばらく傷心状態だろうね。それまでは僕が
 
ダーカー:上司の面倒を見るのも、大変だな
 
ゼロ:君もヘルのように暴れるなら、問答無用だよ?
 
ダーカー:せいぜい大人しくするさ
 
ゼロ:じゃ、僕、帰るから
 
ゼロ:静かに暮らしててよ、冥闇(めいあん)のダーカーさん
 
0:ゼロはそう言って、魔界へと戻っていく
 
ダーカー:ミサラ…
 
ミサラ:……今でも、苦しくて、楽になりたいって思う時もある
 
ミサラ:でもそのたびに、あの夜の、兄さんの言葉を思い出す
 
ミサラ:「希望をもって歩いていけ」って
 
ミサラ:夜が終わったら、朝は必ず来るから
 
ミサラ:だから、歩いていこう、歩いて
 
ダーカー:もしお前が、暗い夜に苦しくなった時
 
ダーカー:悪夢に怯えてしまう時
 
ダーカー:俺が代わりに、お前の闇に、お前の夜になって、傍に居てやる
 
0:
 
ダーカー:悪い夢から覚めるよう、闇の夜(よる)へと運び逝(ゆ)こう
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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