【声劇台本】冥闇のダーカー
「悪い夢から覚めるよう、闇の夜へと運び逝こう」
現世とは離れた世界「魔界」
悪魔である「ダーカー=ナイトメア」は、狂った笑いをあげる悪魔たちを倒していた
悪魔の青年が主人公の、ダークバトルファンタジー
女1:不問4
60分
軽微な言い換え可
シナリオ展開が大きく崩れないアドリブならOK
タイトル表紙、キャラクターイメージ画像はNovel AIで作成
※もしダーカー役を女性でやる場合、下記の言い換えが必要
・ダーカー…俺→私
・ミサラ…兄さん→姉さん
・バイオラ…兄→姉、兄妹→姉妹
キャラクター
ダーカー
ミサラ
ヘル
ゼロ
バイオラ
ヒデじい様の声劇台本置き場にも置いてあります
https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/1218
シナリオ本文
0:ここは魔界。悪魔たちの狂った笑いが響くこの場所で、1人の”闇”があらわれり
0:
ダーカー:闇の夜(よる)へようこそ
ダーカー:悪夢の居心地はどうだ?
ダーカー:狂った笑い、狂った叫び、狂楽に飽きぬ者たちよ
ダーカー:今日の狂いを思い出に刻み、己の邪悪に乾杯し、
ダーカー:黒の狭間へ葬(ほうむ)り去れ
0:ダーカーは手から黒い剣を生成する
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
ダーカー:悪食の狂正論(あくじきのきょうせいろん)
ダーカー:悪い夢から覚めるよう、闇の夜(よる)へと運び逝(ゆ)こう
0:ダーカーは悪食の狂正論をふるい、目の前の悪魔を斬っていく
ミサラ:……すごい
ダーカー:隠れているんだろう、出てこい
ミサラ:あ、はい
ダーカー:……何者だ? 女
ミサラ:えっと、魔女です
ダーカー:魔女?
ミサラ:いつの間にか、ここにいて……
ダーカー:どういうことだ?
ミサラ:記憶が、なくて
ダーカー:何……?
ミサラ:なので、そのー
ミサラ:もしよければ……手助けをしてくれると、嬉しいんですけど……
ダーカー:喜んで断ろう
0:
バイオラ:…やはり
ゼロ:どうしたの?
バイオラ:少し調べものをしていましてね
ゼロ:へぇ
バイオラ:いつも通りの監視事。毎日のルーティン
バイオラ:迷惑な魔界の害はなく、いつも通り平和です
ゼロ:平和なら本でも読んだら?
ゼロ:これ、人間界の話がかいてあるやつ
バイオラ:物好きですね、天使が書いたものなのに
ゼロ:いつか人間界の本も読んでみたいよねー
バイオラ:自分がサボり魔であることを、自覚していらっしゃると
ゼロ:い、いやぁ……
バイオラ:ところが、ゼロ。これを
ゼロ:魂の観測レーダー……朝見た時は変な反応なかったはず…だけど
ゼロ:……あー、これって
バイオラ:そう「迷子の魂」
ゼロ:……はぁ
バイオラ:今日の仕事がやってきましたよ
ゼロ:……つらいな
バイオラ:そのための天使拠点です、ここは
ゼロ:あ、そういえば……あいつがいるんだっけ。ダーカー=ナイトメア
バイオラ:「冥闇(めいあん)のダーカー」……最近、頭角を現し始めた悪魔
バイオラ:初めてこの魔界で観測してから数か月でしたか。強力な悪魔とききます
ゼロ:でも、悪魔を倒してるんでしょ?
バイオラ:戦いに興(きょう)じているだけでしょう。我々の仕事を妨害するようであれば、話は別です
ゼロ:ま、それもそっか
ゼロ:……ん? あれ?
バイオラ:何ですか?
ゼロ:これ見て、もう一つ反応がある
バイオラ:別の悪魔の反応……大きいですね
ゼロ:ややこしいことになりそう……できればバイオラも来てくれるとラクかなぁって思うんだけど~
バイオラ:分かりました。念のため、私も向かいましょう。
0:
0:魔界
ミサラ:待ってくださいよ~
ダーカー:言われて待つ悪魔がいるか
ミサラ:そういわれたら……そうですけど
ダーカー:なんでついてくる?
ミサラ:ダーカーさんのような悪魔、レアですから
ダーカー:どこが?
ミサラ:さっきの悪魔みたいに、襲ってこないじゃないですか
ダーカー:悪魔が全員、襲うわけではない
ダーカー:とっとと失せろ
ミサラ:いやでも、自分の身を守れても、その……帰れなかったら意味がないんです!
ダーカー:しらん
ミサラ:嫌です! せっかく見つけた良い人なのに!
ダーカー:人じゃなくて悪魔だ
ミサラ:見た目は人です!
ダーカー:…変な奴だ
ヘル:楽しそうじゃねえか、オイ
ミサラ:だ、誰ですか?
ヘル:見つけたぜ、冥闇(めいあん)のダーカー
ダーカー:黒いコートに鎖に、牙のような歯、いかにも闇の者……悪魔らしい
ダーカー:俺といい勝負だ
ヘル:ははは! その度胸も一人前だ
ヘル:全身からびりびりと感じるぜ
ダーカー:それはご光栄だ、悪魔
ヘル:オレはヘル。ヘルファイア=ヴォルガ様だ
ダーカー:……業炎(ごうえん)の修羅(しゅら)か
ヘル:その通り
ヘル:オレ様は基本的に「強い」
ヘル:つまり、他は弱い
ダーカー:自分こそが強いと豪語する……面白い
ダーカー:葬りがいがあるじゃないか
ヘル:葬られるかどうかなんざ、勝手に決めんなよ、ダーカー
ヘル:決めるのは誰でもねえ。オレだ
ヘル:オレ様こそが、魔界の頂点に立つにふさわしい
ヘル:だからとっとと、焼かれろや! ダーカー=ナイトメア!
ミサラ:わぁ、辺りに炎が!
ダーカー:ヘルファイア=ヴォルガ。俺の闇を染めてみせろ
ヘル:へへ……いいぜ、いいぜ
へル:頭のネジをぶっ飛ばしたやりがいは、悪魔にしか与えられないボーナスポイントだ……楽しもうや
0:ヘルはそう言って、手から鎖を生成した
ヘル:炎羅体現(えんらたいげん)
ヘル:裁獄(さいごく)の炎鎖(えんさ)
ダーカー:炎の鎖……と……曲者だな
ヘル:いい逃げっぷりだな、ダーカー。ビビって反撃も出来ねえか!?
ダーカー:そう焦るな。じっくりと燃やしていけ
ヘル:はっ! その減らず口に乾杯だ!
ヘル:第1撃(げき) 壊除(かいじょ)!
ヘル:炎縛の破滅(カタスト・ファイグリマ)!
ミサラ:炎の鎖が伸びて……!
ヘル:ほら! そこだ!
ヘル:そのまま受けやがれ!
ダーカー:……はは
ミサラ:……笑った?
ダーカー:第1夜(や)、開放
ダーカー:怪異夢精(ミステリー・ウェット)
ヘル:黒い霧になった!?
ダーカー:ここだ
0:ヘルの後ろに、ダーカーが現れる
ヘル:なに!?
ダーカー:第2夜、開放
ダーカー:十字架の裏切り(クロス・ビトレイヤル)
0:ダーカーは十字を作るように剣をふるって、ヘルを斬る
ヘル:ぐ……っ……あ
ミサラ:黒い……十字架
ヘル:……はは、おもしれえ! おもしれえなぁ! ダーカー=ナイトメア!
ミサラ:炎が集まっていく……?
ヘル:炎羅体現(えんらたいげん)!
ヘル:業羅(ごうら)の大壊斧(だいかいふ)
ミサラ:お、おっきな斧が!
ヘル:ゴミ箱にブチ込まれる準備はいいか?
ヘル:リサイクルもままならねえくらいに、未来永劫、焦がし潰してやる!
ダーカー:焦がすのではなく、染めろと、俺は言っているのだがな
ヘル:んなこといってられるか?
ヘル:第2撃(げき) 壊徐(かいじょ)
ヘル:業獄の炎天崩し(アクシィード・ヘルガ)
ヘル:おっっるるぁあああああああああああ!
ダーカー:ほう! 少しでも当たれば大けがだな
ヘル:焼く! 燃やす! 灰にしてやらああああああ!!
ミサラ:魔法発動!
ミサラ:ロック・オン・ドロップ!
ヘル:なに!?
ダーカー:あいつ……
ミサラ:助けてくれた恩返しです!
ヘル:上から岩!?
ミサラ:まだ、行きます!
ヘル:邪魔くせえな、畜生!
ミサラ:さらに、魔法発動!
ミサラ:ウォーター・ウェイバ!
ヘル:な!? 今度は波かよ!
ミサラ:消火します!
ヘル:ぐっ……ぐぬぅうう!
ミサラ:……あれ、全然消えないんですけど
ヘル:蒸発させてやらあ!
ダーカー:残念だったな
ヘル:っ! 後ろにっ……!
0:ダーカーはヘルの首元に黒剣「悪食の狂正論」を付きつけた
ダーカー:狂楽(きょうらく)の宴(うたげ)はここまでだ
ヘル:チッ
ミサラ:こ、降参してください、ヘルさん
ヘル:……動けねえか
ダーカー:愉快だったぞ、ヘルファイア=ヴォルガ
ダーカー:その業火(ごうか)で、灰へと返すことはできなかったがな
ヘル:それでこそ悪魔……文句ねえ…ダーカー=ナイトメア
ヘル:そこのお前も、俺のいっぱい喰わせるとは、強火なクソガキじゃねえか
ミサラ:ほ、褒めてくれてるんですかね…それ
ダーカー:さぁ、冥(めい)の狭間へ葬るとしよう
ミサラ:ま、待ってください、これ、トドメを刺す流れですか!?
ヘル:オイオイ……見てわかるだろ
ヘル:俺は負けた。それ以上にいうことはねえ
ミサラ:悪魔なのに……そんなにあっさり認めるんですか?
ヘル:悪魔以前に、オレは、業炎(ごうえん)の修羅(しゅら)、ヘルファイア様だ
ヘル:最後までオレの主義にのっとる。その幕締めは決めてんだ……それは、最後まで笑うってな! はははははは!
ミサラ:……悪魔とは思えない、まるで人間みたいな……
ダーカー:お喋りは終わったか?
ミサラ:ちょ、ちょっと! ダーカーさん!
0:ミサラが、ヘルとダーカーの間に割り込む
ダーカー:どけ、お前も葬るぞ
ミサラ:どきません!
ミサラ:ヘルさんは、極悪人ではないと思います!
ヘル:……あ?
ミサラ:同種で争いをする必要はないと思います!
ヘル:いや、待てよ
ダーカー:俺たちは闇であり、悪魔だ。それを何だと思ってる?
ミサラ:私にはダーカーさんの常識は通用しません。ヘルさんが極悪人だとしたら、私の命を優先的に狙ってくるでしょう
ミサラ:なので、これ以上の争いは不要だと、私は思います
ダーカー:ばかばかしい…
ミサラ:とにかく! 無惨な殺し合いは、みたくないんです!
ダーカー:(……っ? なんだ? こいつを見ていると……頭の隅で、何かが疼きだすような……)
ヘル:……なんだか、変わったガキ連れてやがるな、ダーカー
ヘル:お守までやってるとは
ダーカー:……勝手にこいつが、ついてきているだけだ
ミサラ:勝負は、ここまで、ですよ!
ダーカー:…興が覚めたな
ヘル:ガキ、名前は?
ミサラ:ミサラです
ダーカー:……ミサラ?
ミサラ:? どうかしましたか?
ダーカー:……いや、なんでも
ダーカー:(小さい声で)……どこかで、聞き覚えが……
ヘル:なんでお前みたいな奴が、こんなところにいんだよ
ミサラ:いや、私、記憶がないんですよ……
ヘル:へぇ
ミサラ:で、それを知りたいから、今こうやって優しい悪魔さんについていってるんです
ヘル:優しい悪魔……? ブッ! ハハハハハハ!
ダーカー:笑うな悪魔
ヘル:ダーカー=ナイトメアが優しい! デビルジョークもいいところだぜ!
ミサラ:冗談じゃなくて本当です!
ミサラ:ヘルさんも優しいでしょうに!
ダーカー:言われてるぞ
ヘル:……。気に入らねえ
ミサラ:あれ? 顔赤いですよ?
ヘル:燃やすぞクソガキ!
ゼロ:楽しそうにお話してるね、悪魔さん
0:3人のもとに、ゼロとバイオラがやってきた
バイオラ:良かった、まだ魂は無事のようですね
ヘル:おいおい、ついにお迎えきましたってか? 天使さんよ?
バイオラ:お迎えといえば、間違ってはいませんね……。あぁ失礼。私はバイオライト=レリジン。バイオラとお呼びください
ゼロ:僕はゼロ。ゼロ=ノーザード
ミサラ:て、天使さんなんですか?
ゼロ:あまり信用されてないみたい
バイオラ:もしかすれば、悪魔にたぶらかされた可能性がありますね
ヘル:疑心暗鬼は良くないな、天使さん?
バイオラ:ではなぜ、そちらの少女を、お二人が囲っているのです?
ダーカー:囲うなどとばかばかしい。すぐにでも引き離そうと思っていたさ
バイオラ:……ほう
ゼロ:こんな状況で言える?
ミサラ:ダ、ダーカーさんは私を助けてくれました!
バイオラ:ご厚意をすでに悪魔から受けたと
ゼロ:どうかな? もしかしたら、いい所を見せただけで、後から食べちゃうかも?
ミサラ:た、食べる!?
バイオラ:悪魔の常套手段ですね。だますのは当たり前
ヘル:オレ達のこと、理解してくれてるようで頭がありませんなぁ。流石だぜ
ゼロ:それ褒めてないでしょ?
ダーカー:いいや、悪魔なりの敬意だ
バイオラ:ご冗談を
ゼロ:じゃ、君。こっちおいで
ミサラ:お断りします!
バイオラ:おやおや
ミサラ:いきなり人さらいする方を、信用できません!
ゼロ:ひ、人さらいって……
バイオラ:なら、強行手段で行きましょう
ゼロ:そうだね
ダーカー:ふっ……光の存在とあれば、闇などたやすく染めてしまいそうだ
ゼロ:染めずとも、もろもろ消し去ってあげるさ、冥闇(めいあん)のダーカーさん
ダーカー:是非ともやってみせろ
ヘル:来いよ、天使ども!
ミサラ:え? ま、また戦いですかぁ!?
ゼロ:零氷体現(れいひょうたいげん)
バイオラ:光聖体現(こうせいたいげん)
ダーカー:いきなり遠距離……それも広範囲の技か?
ヘル:ぶっとんだスタートダッシュだなぁ!
ゼロ:第1節(せつ) 執了(しゅうりょう)
バイオラ:第1章 開幕
ミサラ:氷と光が……!
ゼロ:平穏の吹雪(クライエット・ブリザード)
バイオラ:到来の世光(フォーエバスト・ライタル)
ダーカー:成程……光の追尾弾と、吹雪を混ぜた連携とは……
ヘル:ド派手にきやがるぜ、畜生!
ミサラ:魔法発動!
ミサラ:ウィンドワンダー!
ヘル:うおっ!?
バイオラ:ほう、これはこれは。魔法で浮かせて、悪魔たちを守りましたか
ゼロ:あの子の仕業? 厄介だね、もう
ミサラ:大丈夫ですか!?
ヘル:…た、助かったぜ
ダーカー:なら、こちらのターンといこう
ヘル:そうだな! 悪魔の返礼を、たっぷりとシてやるぜ!
バイオラ:これは、二人同時に来ますか……!
ヘル:オレは空中から、炎のクソッタレ鉄槌(てっつい)を
ダーカー:地上から暗黒の響きを、その耳にしかと、お魅(み)せしよう
ダーカー:第3夜(や) 開放(かいほう)
ヘル:第3撃(げき) 壊除(かいじょ)
ダーカー:悪恐たる怖鳴(デモンズ・スケアルター)!
ヘル:螺旋の焼獄落とし(スパイラル・ヘルダウン)!
バイオラ:そうやすやすと、受けはしませんよ
バイオラ:第2章 開幕
バイオラ:守敵光円(ガーディファクト)!
ヘル:チィ! 防がれるか!
バイオラ:やはり、凄腕の悪魔たち。ガーディファクトもやぶれそうです
ミサラ:もらいます!魔法発動!
ミサラ:サンダー・バード!
バイオラ:おお、雷鳥(らいちょう)とは、芸の多い子だ
ミサラ:ぬぬ……防がれた……
ゼロ:その間に、ひょいっと失礼
ミサラ:あっ!
ゼロ:ちょーっと冷たいけど、腕を氷で縛らせてもらったよ
バイオラ:お手柄です、ゼロ
ゼロ:ありがと
ゼロ:じゃ、この辺りで退散するね。お先、バイオラ
ヘル:なんだよ、もう終わりか?
バイオラ:本命はあの魂でしたので。……それと
ヘル:あ?
バイオラ:警告です。
バイオラ:貴方達は、この件に関わらないでいただきたい
ダーカー:……ずいぶん鋭い声音(こわね)だな、バイオラ
ヘル:殺気満々だぜ、天使! 悪魔に見せられたら恥ずかしい隠し事でもあるのか?
バイオラ:馬鹿なことを言わないで頂きたい。それだけ警戒しているのですよ。今更何を言っていますか
バイオラ:では、これで
0:バイオラは姿を消した
ダーカー:……消えたか
ヘル:でも残念ながら
ヘル:やられっぱなしで終わるヘルファイア様じゃねえんだよ
ダーカー:突然つよがってどうした
ヘル:強がってんじゃなくて、強いんだよ! オレは
ヘル:……このまま天界の拠点に乗り込みたい。タダじゃ終わらせねえ
ダーカー:ほう
ヘル:だから手を貸せ、ダーカー
ダーカー:悪魔の威厳をみせつけると?
ヘル:そうだ。乗り込んで潰す
ヘル:あの世で喧嘩うっちゃいけねえのは誰か、教えてやる
ダーカー:天使の慈愛に溢れた宴(うたげ)の会場、一度入ってみたかったところだ
ダーカー:光と闇が手をあわせ、戦という名の社交をかわす……いいだろう、面白い
ヘル:……あと、それに
ダーカー:ん?
ヘル:その、あれだ、あれ
ダーカー:あれ?
ヘル:あのクソガキからは、助けられたからな
ヘル:敵だった野郎をかばうなんざ、見どころがあるしな
ヘル:それも、返してやらねえと
ダーカー:……そっちが本命か
ヘル:うるせえ、燃やすぞ
ダーカー:……まぁいい、ついていこうじゃないか
ダーカー:静観(せいかん)もつまらない
ヘル:デビルテンション全開でいこうや!
ダーカー:今日の闇夜(やみよ)は、長くなりそうだ……クク
ヘル:天使共に意地をみせつけ、あの女を手にし、オレ様の欲望パラダイスを築き上げてやる
ヘル:さぁ、このまま奴らの根城を火の海だ!
ダーカー:ふふふっ……
ヘル:はぁーっはっはっはっは!!
0:しばらくダーカーとヘルが二人で笑う。(ダーカーは静かに笑う。ヘルは高笑い)
ダーカー:(……と、笑ったものの、今だに引っかかる)
ダーカー:(ヘルとは違うが、あの女のことが、どうにも気になってしまう……なぜだ)
ダーカー:(この気持ち悪さを晴らすためにも……行けば分かるか)
0:
0:
ゼロ:ほい、もう少しだよ~
ミサラ:は、はなしてくださいよ~!
ゼロ:変な事しませんよ~
ミサラ:なら……
ゼロ:ん?
ミサラ:魔法発動!
ミサラ:ウインド・ブレイディッター!
ゼロ:痛ったぁぁぁっ! こいつ……
ミサラ:今のうちに逃げる!
ゼロ:あ、待て!
ミサラ:えーっとえーっと…まずい……迷った
ゼロ:あぁ~、どこいったぁ?
ミサラ:…あ
ゼロ:見つけた! ストップそこまで!
ミサラ:むむっ!とっさに魔法発動!
ゼロ:ちょ、早いって撃つの!
ミサラ:うるさい! バーニングシュート!
ゼロ:ったくもう……!
ゼロ:第2節(せつ) 執了(しゅうりょう)
ゼロ:零鎖された凍界壁(アイシティ・ウォールド)
ミサラ:むっ……防がれた…! やりますわね!
ゼロ:なんでナメられてるんだろう、僕
ミサラ:敬意を表してます! 人さらいとして!
ゼロ:全然嬉しくないんだけど……もう、仕方がない……
ミサラ:く、くる! またあの吹雪が!
ゼロ:第1節(せつ) 執了(しゅうりょう)
ゼロ:平穏の吹雪(クライエット・ブリザード)
ミサラ:うぅぅぅ、さ、寒ぃぃぃ!
ゼロ:さてさて、耐えれられるかねぇ
ミサラ:むむむ!
ゼロ:お、粘るね……でも諦めたほうがいいよ~
ミサラ:魔法発動!サンダーバード!
ゼロ:おっと!
ミサラ:う、外したぁ……
バイオラ:何をしていますか
ミサラ:ひぃ! 後ろに!
ゼロ:ごめん、その子。思った以上にクレイジーで
ミサラ:誰がくれいじーですか!
バイオラ:ひどく疲れていますね、ゼロ
ゼロ:追いかけっこでね…
バイオラ:では、拠点に戻りましょう
0:天界拠点
ミサラ:こ、ここは……?
ゼロ:天界拠点。魔界を管理している、天界の仕事場だよ
ミサラ:なんだろう、不思議と落ち着く
バイオラ:魂がゆるんできましたか。いい傾向です
ゼロ:少しは警戒心、薄くなったかい?
ミサラ:あの悪魔さんたちも、いい人ですけど……
ミサラ:そっか、天使さんだもんね……
バイオラ:それで、ミサラさん。どうしてあなたは魔界に?
ミサラ:気づいたら、迷ってて……何処から来たのか記憶がないんです
バイオラ:……ふむ
ミサラ:だから、記憶を取り戻したいし、元居たところに帰りたいんです
ゼロ:……あぁ……ミサラ、その。ごめん
ミサラ:はい?
ゼロ:いきなりこんな事言っても信じられないと思うけど……君は、この世にいない存在なんだ
ミサラ:……え?
バイオラ:人間界で死んだあと、魂の善悪を区別されて、良い魂は天界に行き、悪い魂は魔界に行く
ゼロ:ただ、死後の魂が魔界へと迷い込んでしまうこともあってね
バイオラ:すると、魔界の影響で、少しずつ穢(けが)れがつきはじめ、そのせいで記憶があやふやになる魂が出てくるのです
ミサラ:じゃ、じゃあ、ここは、死後の世界で
ミサラ:私は……死んでる?
ゼロ:…残念だけど
ミサラ:そ……そうなんですね
バイオラ:ミサラさんのように驚く魂は、珍しくありません
ミサラ:……
ゼロ:急にごめんね。でも、自分の状態を知っておかないと、魂として正しく導けないから
バイオラ:これから別室へ行って、魂の穢(けが)れを一度、洗い落としましょう。そうすれば、自然と記憶がよみがえってくるはずです
ミサラ:……分かりました。お願いします
ゼロ:……これで落ち着きそう、かな。あとは、天界への報告を
バイオラ:いいえ、ゼロ
ゼロ:ん?
バイオラ:この件は、まだ報告をしないでください
ゼロ:え? う、うん
バイオラ:それでは、ここは任せます、ゼロ。……さぁ、ミサラさん、こちらへ
ミサラ:はい
0:
ゼロ:報告をしなくていいって……あの人がそんなこというなんて、珍しい
ゼロ:……っ? なんだ、騒がしいな?
ゼロ:あーあ、そういうことね。……最悪
0:
0:拠点地下室
バイオラ:着きました
ミサラ:こんな場所があるんですね
バイオラ:では、ミサラさん
ミサラ:はい……
バイオラ:……
ミサラ:な、なんですか?
バイオラ:……いえ
ミサラ:?
バイオラ:…準備はよろしいですか?
ミサラ:はい……
バイオラ:では……失礼します
0:バイオラが手を光らせ、ミサラの頭部あたりにあてる
ミサラ:……っ、あ……あぁ………ぁ
バイオラ:…!
0:
0:天界拠点 大広間
ヘル:お邪魔するぜ、ゼロ
ゼロ:その様子だと、入口の天使兵はやられたかな。全く
ダーカー:悪魔にはまぶしすぎる場所だな、ここは
ゼロ:君たちってさぁ、戦うしか脳がないわけ? もっと静かに読書とか、できないの?
ヘル:つまらねえ。ビリビリ焼いちまいそうだ
ゼロ:破るのか焼くのか、どっちだよ…っ!
0:ゼロが目然に巨大な氷を生成していく
ヘル:……なんだ? 氷がでかくなっていきやがる……?
ゼロ:第3節(せつ) 執了(しゅうりょう)
ゼロ:覇氷の巨人(ドミナ・タイタロス)
ダーカー:ほう、氷の巨人とな
ヘル:天使のキレイな翼くらい、つけてやりゃあいいのに
ゼロ:攻撃できれば十分。行け!
ダーカー:ずしり、ずしりと……自信と余裕が混ざりあった足音だ
ヘル:おもしれえ……悪魔ってものを豪快に見せつけて、その自信を、オレ様の燃料にしてやるよ。ゼロ=ノーザード!
ゼロ:へぇ?
ヘル:『炎(えん)へ焦がれろ
ヘル:修羅(しゅら)の業(ごう)を壊し、その名を、炎(ほのお)の王へ返還せん』
ヘル:第4撃(げき) 壊除(かいじょ)
ヘル:修羅の火遊び(ボルケイノ・タイファー)!
ゼロ:炎の竜巻……あーあー、削ってくるねぇ
ヘル:さっさと解けちまえや!
ゼロ:解ける前に凍るほうが先かもね?
ダーカー:なら、その氷を染めてみるか?
ゼロ:っ!?
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
ダーカー:狂者刈り(きょうしゃがり)
ゼロ:ダーカーの剣が、鎌に?
ダーカー;愚かな氷よ、死へと蒸(む)せろ
ダーカー:第4夜(や) 開放
ダーカー:黒者がもたらし破滅亡(ブラッカー・デイライト)!
ゼロ:へぇ、闇で一気に「狩る」と……。でも悪いけど、僕、化物じゃないから
ゼロ:第2節(せつ) 執了(しゅうりょう)
ゼロ:零鎖された凍界壁(アイシティ・ウォールド)
ダーカー:…防がれるか、簡単にはいかないな
ヘル:なら、この拠点ごと燃やしちまうか!? ははは!
ダーカー:さぁ、ゼロ=ノーザード。その神々(こうごう)しい氷の力で、俺の闇を染めて見せろ!!
ゼロ:……だからさ
ゼロ:うるさいから、黙れって
0:突然、氷の巨人が叫び、巨人の体が砕け、氷がゆっくりと飛び散る
ダーカー:…巨人が、割れた?
ゼロ:悪魔って、本当に愚かで、めんどくさい
ゼロ:教育がなさすぎるのも、ここまできたら笑いものだよ
ヘル:割れた氷が、辺り一面に……?
ダーカー:……これは?
ゼロ:『氷(ひょう)へ静まれ
ゼロ:愚鳴(ぐめい)の魔を閉ざし、その悔(かい)を、氷(こおり)の王へ返還せん』
ゼロ:第4節(せつ) 執了(しゅうりょう)
ゼロ:氷静された罵声(シャウト・クラザルド)
0:瞬間、散らばった氷が爆散し、ダーカーとヘルに襲い掛かった
ダーカー:ちっ……!
ヘル:ぐ…おおっ!
ゼロ:……魂には統率がいる。しっかりと目をもった統率が。それがあるから静寂があり、静寂があるから、本を読める
ゼロ:君ら悪魔が偉そうにとなえる「自由」なんてのは、ただの害なのさ。重要なのはその馬鹿共を従える統率だ
ゼロ:だから、自由を捨てて、さっさと天にかえれよ
ヘル:はっ! いい顔つきになってきたなぁ……ゼロ! 悪魔的だぜ!
バイオラ:第3章 開幕
バイオラ:遵守されるべき道徳(モラル・ライアンス)
ダーカー:っ! 床から、光の針?
ヘル:この攻撃はっ!
ゼロ:バイオラ……
バイオラ:加勢をしますよ、ゼロ
ダーカー:……ミサラはどうした?
ヘル:一緒にいたんじゃねえのかよ?
ゼロ:もしかして返したの? それともこれから?
バイオラ:いえ、どちらでも
ゼロ:え?
バイオラ:あの子は、ここに残します
ゼロ:……ど、どういうこと?
バイオラ:はっきり言うと、ミサラは死後の魂ではありません。……生きている人間です
ヘル:はぁ?
ゼロ:ミサラが、生きている……人間? ……じゃ、じゃあ、生きている人間が、魔界に来てたってこと?
バイオラ:……ええ
バイオラ:数十年前、「生きた人間」がそのまま魔界に迷い込んだ記録が残っていました
バイオラ:その記録と照らし合わせた結果、今回の観測と一緒だったのです
バイオラ:さらに記録の中でかかれていたのは、死への意識が強くなった人間が迷い込んだそうです
ゼロ:死への意識が強くなった人間が…迷いこむ……
バイオラ:それと、話をするにあたって、必要なことがもう一つ
バイオラ:……ダーカー=ナイトメア。あなたは、すでにこの事を知っているはずだ
ダーカー:…っ?
ヘル:ダーカーが知ってるだと?
ゼロ:生きて迷い込んだミサラと……ダーカーに、関係がある?
バイオラ:そうです。というのも
バイオラ:そこにいる冥闇(めいあん)のダーカーは
バイオラ:悪魔へ転生したミサラの兄です
ヘル:…おいおい、次から次へと…マジの話してんのか
バイオラ:天使は嘘をつきませんよ。事実です
ゼロ:ダーカーが、転生した…人間
バイオラ:人間界に、仕事で降りたことがありましてね。私が行ったのはある村でした
バイオラ:そこには、とある家族が居て、その家族の娘は、不思議と魔法を使えていたとききます
ヘル:それが、ミサラか
バイオラ:そう。ただ、その村で迫害があったのです
ダーカー:……っ!
バイオラ:その場所では、1人の村人の勝手な迷信が広がり、とある家族が「悪魔の末裔(まつえい)だ」と呼ばれ、虐殺にあいました
バイオラ:しかし、家族の1人が……最後まで村人に抵抗し、戦い……生き残りました
バイオラ:生き残ったのは、妹のミサラと
バイオラ:彼女の兄、「ロシュ」…そこにいるダーカー=ナイトメアです
ゼロ:…つまり、ダーカーは彼女を守って死んで…そのミサラは、生き残った…と…
バイオラ:まさか、貴方が悪魔になり、その妹が魔界に迷い込んでいるという事態になっているとは、思いもしませんでしたが
バイオラ:全く持って、目をつぶったら心が腐ってしまう、残酷な悲劇です
ゼロ:で、でもまって……バイオラ
バイオラ:……なんです?
ゼロ:人間界へ戻さないって、それは、ミサラを”死んだ”ことにするんじゃ……?
バイオラ:ええ。彼女を肉体から切り離し、死後の魂として取り扱います
ゼロ:それは……! それは許されることじゃないよ、バイオラ!
ゼロ:僕達天使が、人間の魂を意図的に操作するってことじゃないか!
ゼロ:天界の決まりごとを、破るつもりかい!?
バイオラ:それが必要なんですよ!!!
0:少しの間
バイオラ:救いがルールによって潰されるなら、無い方がよっぽどいい
ゼロ:バイオラ……
バイオラ:…ゼロ=ノーザード。…そこの二人は帰る気がないようです
バイオラ:悪魔は、ここで始末しましょう
ゼロ:……っ
バイオラ:これは仕事ですよ、ゼロ
ダーカー:…ヘル
ヘル:なんだよ?
ダーカー:バイオラは俺がやる
ヘル:……分かった
ダーカー:頼む
ヘル:悪魔がシリアスになるなって
0:
バイオラ:……ミサラさんは、必ず
0:
0:数分前 天界拠点 地下室
バイオラ:準備はいいですか、ミサラさん
ミサラ:はい……
ミサラ:っ、ぁぁああああ……ぁ!
バイオラ:ミサラさん! 大丈夫ですか!
ミサラ:……夜、あの夜だ
バイオラ:っ…!
ミサラ:思い出した……全部
ミサラ:家族がみんな、殺されて
バイオラ:やはり……貴方は、あの村の……
ミサラ:……村の人たちから、追ってきて…
バイオラ:落ち着いてください、ミサラさん!
ミサラ:怖くて夜も眠れなくて……
ミサラ:……そうだ、兄さん、兄さんが……
ミサラ:…ぁ……ぁぁ
バイオラ:……っ、人間へと干渉することは禁じられている。
バイオラ:ただ、そのようなルールがどうだ? それを守ったところで、天使と呼べるのか? 守れば天使なのか? ……まるで、悪魔のような残酷さではないか
バイオラ:天使が、残酷であるものか……!!
バイオラ:ミサラさん……私が、私があなたを……救いますから!
0:
0:天界拠点 大広間
ゼロ:くっ……!
ヘル:さっきまでの勢いはどうした、ゼロ
ヘル:自分が従ってきた上司様の発言に、動揺してんのか?
ゼロ:誰が……!
ヘル:信用が崩れる音が、よーく聞こえるぜ?
ヘル:そんな宙ぶらりんな状態で、オレを倒せるかよ!
ゼロ:僕は、どうあっても……天使として使命を全うするだけ……!
ゼロ:その行いから出来る世界は、綺麗な空気を感じれるほどの、平穏でなければならない……!
ヘル:そう言いながら、ふるえてんじゃねえよ、天使!
ゼロ:黙れ! 悪魔ごときが……!
ヘル:氷でピキっと黙らせますってかぁ!? やってみろ!
ヘル:第5撃(げき) 壊除(かいじょ)!
ヘル:羅爆業炎牙(らばく ごうえんが)!
ゼロ:斧を、でかい炎に牙に…この、馬鹿力が!
ヘル:灰にしてやらあああ!
ゼロ:零氷体現(れいひょうたいげん)……
ゼロ:無零(むれい)の氷連槍(ひょうれんそう)
0:ゼロはヘルの攻撃をとめた
ヘル:っ!? 氷の槍!?
ゼロ:第5節(せつ) 執了(しゅうりょう)
ゼロ:黙圧の氷連突(シャット・アイトラスト)
ヘル:いいぜ! その氷で、俺の業火(ごうか)を黙らせてみろ! ゼロ=ノーザード!
ゼロ:炎だけじゃなく、その口ごと凍らせてやる……!
0:
0:
バイオラ:冥闇(めいあん)のダーカー……、転生してからの貴方は、めきめきと力をつけていたそうですね。元人間だというのに、恐ろしいものです
ダーカー:目覚めたら、俺の魂は、魔界に来ていた
ダーカー:ロシュを終えた、悪魔として
バイオラ:それで?
ダーカー:俺は、記憶が混乱している中でも、無意識に戦っていた……。迫害した連中に似たような悪魔たち相手に、な
バイオラ:……あなたも記憶がなかったと
ダーカー:ミサラの名前を聞いてから、頭の中で何かが引っかかる感覚が続いた。そこで、お前に言われて、バラバラだったピースが一つの絵になったさ
ダーカー:ただ、完成したパズルは、闇に染まっていたがな
バイオラ:ダーカー、貴方の行いは、天使に近い
バイオラ:悪魔の羽根を捨て、こちら側に来てはどうですか?
ダーカー:喜んで断ろう
ダーカー:……ミサラは人間だ
ダーカー:彼女を人間界に戻す気がないなら、俺がやる
バイオラ:残念ですね
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
ダーカー:悪食(あくじき)の狂正論(きょうせいろん)
0:ダーカーは、鎌から剣へと構える
バイオラ:ずいぶんと暗く染まった剣ですね
ダーカー:ああ。最初から染まっている、俺の心も、この剣も
バイオラ:……暗さは闇を産み、苦しみを産む。同じものは繋がって、共鳴しあう
バイオラ:その愚かな連鎖が目の前でおころうとしているのに、それを笑顔でみつめる。暖かい顔で「加護がある」などと、ほざきながら見守る
バイオラ:それは天使ではなく、悪魔のすることです
バイオラ:救わずに笑っていられるほど、私は甘くありませんよ
バイオラ:光聖体現(こうせいたいげん)
バイオラ:守護執行(しゅごしっこう)
0:バイオラの手の甲が光、そこから鉤爪が生成される
ダーカー:っ……光の鉤爪(かぎつめ)……!
バイオラ:さぁ、光の懺悔(ざんげ)を宿しなさい
ダーカー:勢いが……早いっ!
バイオラ:どうしましたか? 表情に余裕がありませんよ
ダーカー:っ…がはっ!
バイオラ:闇に染められたいんでしたっけ? なら、白く、明るく、染めてあげましょう!
バイオラ:第4章 開幕
バイオラ:消失当然の悪(ライト・デリスティング)!
ダーカー:突進攻撃……っ。だが、やすやすとやらせん!
ダーカー:第5夜(や) 開放
ダーカー:狂楽開宴の達観(マッド・フェスタ)!
バイオラ:ほう、黒い衝撃波を辺り一帯に放ち、上に飛びますか
バイオラ:しかし……
ダーカー:構えを変えた…?
バイオラ:第5章 開幕!
バイオラ:正義の大嘘(ジャスティ・ライア)!
ダーカー:光の刃を飛ばしてくるか…
ダーカー:なら、空中から、闇を堕(お)とす!!
バイオラ:っ!!
ダーカー:第6夜(や) 開放
ダーカー:奈落車(ならくぐるま)
バイオラ:空中で、闇を纏(まと)いながら降下をっ!
ダーカー:堕ちろ、バイオライト=レリジン!
バイオラ:その過ちの闇、全て還(かえ)してあげますよ!
0:
0:大広間の出口付近、ゆっくりと歩いて姿を現す人影があった
ミサラ:あれは……
ミサラ:ヘルさんが、ゼロさんと戦ってる……
ミサラ:…あとは、バイオラさんと
ミサラ:……兄さん
0:
0:森の中の小さな洞窟。布にくるまっているミサラ
ロシュ:……ただいま
0:ロシュは血まみれで、剣を引きずりながら帰ってきた
ミサラ:兄さん、その傷は!
ロシュ:もう、終わった
ロシュ:追ってきた奴らは、全員、息の根をとめた
ロシュ:もう大丈夫だ
ミサラ:でも、兄さんが…兄さんが!
ロシュ:ごめんな、ミサラ
ロシュ:お前を……おいていくことになって
ロシュ:……長い長い夜だった気がするな
ミサラ:嫌だ……おいていかないで
ミサラ:兄さんが居なくなったら、私は、ずっと一人で……
ロシュ:ミサラ…
0:ロシュはミサラの頭をなでた
ミサラ:っ
ロシュ:怖いものはない
ロシュ:あの村は、狂気を抱いて死んだ。暗い夜は、終わったんだ
ミサラ:っ……っぁ…
ロシュ:いいか、ミサラ。朝は必ず来る
ロシュ:お前が望めば、光は向こうからやってくる
ミサラ:いやだ、いやだ兄さん……!
ロシュ:……光へ向かって、歩いて、歩いて
ロシュ:希望をもって、歩いていけ、ミサラ
0:ロシュの目から光が消え、息絶えた
ミサラ:兄さん……兄さん!
ミサラ:うわ……ぁ……ぁあああっ
0:
ダーカー:…っ…はぁ…っ
バイオラ:……ダーカー
バイオラ:自分は、どこまでも闇だと、そう言いたいのですね
ダーカー:そうだ
バイオラ:ミサラは、人間界に戻りたくないと思っている
バイオラ:狂った夜を思い出して、毎日、怖がっている
バイオラ:また、同じ目にあったらどうしようと……
バイオラ:それがミサラの本音なんですよ
バイオラ:そこから解き放つことこそ、彼女の幸せだ
バイオラ:兄であるあなたに、なぜそれがわからない?
ダーカー:ロシュはここにいない、過去となった
ダーカー:ここにいるのは、ダーカー=ナイトメアだ
バイオラ:……そうですか
バイオラ:あなたがロシュではなく、ダーカー=ナイトメアとしているつもりなら……私が彼女を守ります
バイオラ:光聖体現(こうせいたいげん)
バイオラ:天国への階段(ヘヴンズ・ステアリス)
ダーカー:……バイオラに、光の…鎧が?
バイオラ:光世(こうせ)の祝福(しゅくふく)をうたいなさい。冥闇(めいあん)のダーカー
ダーカー:光があれば、闇もある
ダーカー:その相反したものを持ち、生きることができるのが、人間だ
ダーカー:でも、光を失い、俺は悪魔になった
ダーカー:その俺にできることは…彼女の、ミサラ=ウィシュホープの”闇”になることだ
バイオラ:これは……? 黒い影が、ダーカーの周りを
ダーカー:冥黒体現(めいこくたいげん)
ダーカー:冥闇狂皇(メア・エンペラー)
バイオラ:……変わりましたか……まさに、悪魔の姿
バイオラ:……本気ですね
0:
ゼロ:はぁ、はぁ
ヘル:……辞めだ
ゼロ:なに?
ヘル:力を感じねえ
ヘル:愚かに迷ってやがる
ゼロ:迷ってたら?
ヘル:倒す価値もねえ
ヘル:てめえの生意気さを焼いて潰そうと思ってたのに、そんな腑抜けじゃ、火も勢いが増さねえってもんだ
ヘル:欲の炎がわかなきゃ、鉄の塊を振り回しても仕方がねえんだよ
ゼロ:ずいぶん言ってくれるじゃないか
ヘル:オレは「業炎(ごうえん)の修羅(しゅら)」、ヘルファイア=ヴォルガ様だ
ヘル:自分の気分がいいと思ったほうを選択する
ヘル:悪魔だからどう、ってわけじゃねえんだよ。……ま、たまに悪魔らしい選択もするっちゃあするがな……
ゼロ:……くそ
ヘル:ゼロ=ノーザード
ヘル:バイオラのやってることに納得ができねえんだろ
ゼロ:……そうだよ。あの人が、天界のルールを破ってまで行動に移すだなんて、思ってなかったから
ゼロ:でも、それを犯したら、上の連中が黙っていない
ヘル:ま、そうだろうよ
ヘル:組織ってのは大変だ、息が詰まる
ゼロ:ご厚意どうも
ヘル:悪魔になることをすすめるぜ
ゼロ:本を読む余裕があるのかい、悪魔には?
ヘル:知るか
ヘル:…と言ってる間に、向こうのお二人はやりあってんな……派手に
ゼロ:……バイオラ
0:
バイオラ:第6章 開幕
バイオラ:栄光の仙越者(グロウ・ライファー)……!
ダーカー:…光の連撃……!
バイオラ:光明(こうみょう)へと、切り刻む!
ダーカー:がっあぁ……ぁ
バイオラ:暗さなど、魂の穢(けが)れでしかない! そのまま失せなさい!
ダーカー:……まだ、染まりはしない!
ダーカー:第7夜(だいななや) 開放
ダーカー:死殺冥戯(しさつめいぎ)!
ダーカー:暗黒へ刻みかえす!
0:ダーカーとバイオラは、互いの光と闇を、爪と剣を撃ち合う
バイオラ:くっ…こざかしい…こざかしいですよ……
ダーカー:っ! 距離を取った……!
バイオラ:……『天来(てんらい)の栄光(えいこう)よ!
バイオラ:終わりし歴史の礎(いしずえ)となり、その名を、雷(いかづち)の王へ返還せん』!
バイオラ:第7章 開幕
バイオラ:無敵光の一閃砲(ライトニング・デリーター)
ダーカー:光がまとまって……!
バイオラ:その魂ごと、転じなさい……
バイオラ:ダーカー=ナイトメアアアアアアッッ!
ダーカー:っ!!
0:ダーカーは光に飲みこまれる
バイオラ:……はぁ、はぁ、はは
バイオラ:その闇に汚れた決意は、歪んでいるんですよ、ダーカー
バイオラ:慈愛の前に、失せなさい
ダーカー:幸せの定義を決めるのは、天使じゃない
バイオラ:っ…? これは!? なんだ!?
0:気づけば、バイオラの周りに、深く黒い霧が生成され、それがどんどん大きくなる
0:
ダーカー:『黒(くろ)へ誘(いざな)え
ダーカー:悪怖(あくふ)の夢(ゆめ)を消し、その狂(きょう)を、永久(えいきゅう)の冥王(めいおう)へ返還せん』
0:
ダーカー:第8夜(や) 開放
ダーカー:「黒魔 狂冥殺(こくま きょうめいさつ)」!
0:ダーカーは、形状が変化した悪食の狂正論を握り、広く暗い霧の中から、バイオラを斬った
バイオラ:がぁあ……あ
0:ダーカーは「冥闇狂皇」状態を開放し、人の状態に戻る
ダーカー:はぁ……はぁ
ダーカー:……染められなかったな、バイオラ
0:バイオラの「天国への階段」状態が解け、膝をつく
バイオラ:っ。…なぜ……なぜです、ダーカー
バイオラ:どこまで苦しめれば、気が済むと……!
ダーカー:すべては、ミサラ次第だ
ダーカー:でなければ、ロシュは報われない
バイオラ:報われない……? 大切に思うなら、最大限の愛を捧げるのが…我々、天使のやることですよ……!
バイオラ:このまま苦しみ続ける運命である魂を、現実へ引き戻すなんて……こんな悲しいことがあるものですか……
ヘル:ごちゃごちゃうるせえなてめえは!
バイオラ:っ…!
ヘル:いついかなる時も、火を灯してりゃ暗くならねぇ。オレは希望も絶望も、馬鹿馬鹿しいからまとめて燃やすが、火のあったかさには……まぁ、忘れるもんかもな。知らんけど
ヘル:つまり……ミサラは死なねえさ。オレ様の「お炭(すみ)付き」だ
バイオラ:悪魔が……何を
ゼロ:バイオラ、もう辞めよう
バイオラ:……ゼロ。あなたまで!
ゼロ:気持ちは、分かる、分かるよ。僕だって、彼女の隣に居てあげたい
ゼロ:でも、それはしてはいけないんだ
ゼロ:人間がどんな選択をしても見守ること、光の存在として、天使として全うすること
ゼロ:自分がどれだけ辛くても、人間を見ていく。それが、天使に与えられた仕事なんだよ、きっと
バイオラ:……っ……く…そ……
0:バイオラはそのまま倒れ、意識を失った
ヘル:……馬鹿天使が
ゼロ:……僕の言ったことには、まだ納得していないと思う……でも今は、これでいい
0:ミサラが、ゆっくりとこちらへきた
ミサラ:……
ヘル:よう、シケた面になりやがったな、ミサラ
ミサラ:……いじわるなことを言うんですね
ヘル:そりゃ、悪魔だからな
ヘル:…その……。人間が、オレよりひでえ顔すんな
ヘル:気に入らねえ
ミサラ:……ごめんなさい
ヘル:なんであやまるんだよ
ミサラ:それでも……ごめんなさい、ごめん、なさい
ゼロ:……ミサラ……僕のほうこそ、謝らなければならない
ミサラ:優しいんですね
ゼロ:優しくないよ、僕は
ゼロ:君に対して残酷な選択しか与えられない
ゼロ:天使として僕が選ぶのは、それなんだ
ゼロ:…ごめん
ダーカー:残酷な選択じゃない、ゼロ
ミサラ:っ!
ダーカー:……久しぶりだな
ミサラ:やっぱり、兄さんなんですね
ダーカー:……
ミサラ:……私は
ミサラ:戻りたくない
ダーカー:……ミサラ
ミサラ:ここにいたい、現実に、戻りたくないんです…
ミサラ:せっかく会えたのに……
ダーカー:俺は、ダーカー=ナイトメアだ
ミサラ:違う! 兄さんはここに!
ダーカー:ロシュは死んだ!!!
ミサラ:っ!
ダーカー:……闇の存在でないお前は、ここに居られない
ミサラ:いやだ……いやだ
ミサラ:また、またあの夜がきて、
ミサラ:村の人たちの叫びが、私を殺そうと向かってきて……
ミサラ:毎晩、悪い夢で目が覚めてしまう
ミサラ:それなら私は、いっそのこと死んで、楽になりたいんです
ミサラ:楽になって、ここで、兄さんと
ダーカー:…ロシュはこう言った
ダーカー:「希望を持って歩いていけ」と
ミサラ:……っ!
ダーカー:お前はまだ生きている
ダーカー:死んだ人間は、もうお前の物語には関われない
ダーカー:生きてくれ、ミサラ
ミサラ:……なら、私の物語を終わらせてください。兄さん
ミサラ:……魔法発動!
ミサラ:バーニング・シュート!
ダーカー:第3夜(や) 開放
ダーカー:悪恐たる怖鳴(デモンズ・スケアルター)
0:ダーカーはミサラの魔法攻撃をはじいた
ミサラ:まだ…まだ…!
ミサラ:魔法発動!
ミサラ:ウォーター・ウェイバ!
ダーカー:第2夜(や) 開放
ダーカー:十字架の裏切り(クロス・ビトレイア)
ダーカー:……もうやめろ
ミサラ:なら……っ!
ミサラ:『白(しろ)へ辿れ
ミサラ:光明(こうみょう)の道筋を行(ゆ)き、その名を、光の天王(てんおう)に返還せん』!
ミサラ:魔法発動
ミサラ:ホープ・ウィッシュ
ダーカー:光の……力
ミサラ:うあああああああああっ!
ダーカー:……第1夜(や) 開放
ダーカー:怪異夢精(ミステリー・ウェット)
0:しかし、ダーカーはそれを避けて、ミサラの後ろに現れた
ミサラ:……あ………あ
ダーカー:……すまない、ミサラ
0:ダーカーは手から黒い霧を出し、ミサラを気絶させる
ミサラ:にい……さ……ん……
ダーカー:……俺がお前に与えられるのは、希望じゃなくて、闇なんだ
ゼロ:手伝うよ
ダーカー:ゼロ
ゼロ:悪魔でも、そんな顔するんだね
ダーカー:人間の涙を喜びに変えられない
ダーカー:ミサラの涙に、何も応えられなかった
ゼロ:…その涙は、その子の希望になる
ゼロ:絶望を心にもってしまったから、希望を感じられるんだとおもう。なぜの世の中の前向きな人が、皆の光になれるのか、それは、後ろをずっと見ていたからさ
ダーカー:……悪魔に言う事じゃないな、それは
ゼロ:一応、元人間だし。君。
ゼロ:それに、バイオラのように、最初から僕たちが、手取り足取り守ってあげていたとしたら、魅力的な本はできない
ダーカー:本が目的か、お前は
ゼロ:人間を大切に思うからこそ、だよ
ゼロ:でも、そうだね。加護(かご)くらいなら
0:ゼロはポケットから何かを取り出した
ダーカー:それは?
ゼロ:お守りみたいなもの
ゼロ:万が一危ない目にあっても、これがきっと彼女を守ってくれる
ゼロ:ダーカー、手を
ダーカー:?
ゼロ:君の「闇」も、このお守りの中に
0:ダーカーの手から、お守りに黒い霧が入っていく
ゼロ:これでよし
ヘル:準備は終わったかよ?
ダーカー:ヘル
ヘル:オレも見送るぜ。人間に助けられるのは、はじめてだったからな
ヘル:最後までシケた顔すんなって、ダーカー
ダーカー:俺は別に
ダーカー:……なら、ミサラを任せた。ゼロ
ゼロ:何言ってるんだい、ダーカー、君も見送らないと
ダーカー:何?
ヘル:そりゃそうだろ
ゼロ:人間界へのゲートを開くから、ほれ
ダーカー:……
ゼロ:君が悪魔でも、闇の存在でも、妹にあえたのは、事実
ゼロ:最後に、お姫様抱っこの一つでもしてあげたら?
ダーカー:……悪魔のやることか? これは
ゼロ:つべこべいってないで、ほら、行くよ
0:
ミサラ:暗い、暗い、闇
ミサラ:浮いているようで、沈んでいるようで
ミサラ:でも、なんとなく暖かい
ミサラ:……そう、これは。あの人の……ぬくもりに似ている
ミサラ:その暖かさを感じたのは、どれくらいだろう
ミサラ:いつの間にか、それがゆっくりとなくなって
ミサラ:私が目を開けたら、見知った景色が飛び込んできた
0:人間界。森の小屋
ミサラ:……?
ミサラ:私、寝てたのかな
ミサラ:ずいぶん長い時間、眠っていた気がする
ミサラ:あれ……?
ミサラ:こんなお守り、いつの間に
ミサラ:でも、大事なもののような
ミサラ:…そう。兄さんは、いないんだった
ミサラ:……行こう
0:ミサラの姿を、後ろで見ている存在があった
ヘル:戻っていったな
ダーカー:……ああ
ゼロ:確かに、最善な選択ではないかもしれない
ヘル:でも、その先が正解か不正解なんて、誰にもわからねえ
ヘル:悪魔でも天使でも……人間でも
ヘル:むさぼるようにかきわけて進んだ道が、結局答えなんだよ
ダーカー:……自分でそれを決める
ダーカー:己が光でも闇でも、何者でも、か
ゼロ:ふぅー、そしたらこれで、一件落着かな
ヘル:じゃ、俺は戻るわ
ダーカー:続きはしないのか
ヘル:戦う気が湧き出ねえ
ヘル:また気が向いたら、来てやるよ
ゼロ:あのさぁ、それまた暴れる気満々ってことよね?
ヘル:あと、ダーカー、お前ともケリをつけたいところだ
ダーカー:面白い
ヘル:首を洗ってまってろや! はぁーっはっはっは!
ゼロ:高笑いして消えてくし
ダーカー:バイオラは?
ゼロ:しばらく傷心状態だろうね。それまでは僕が
ダーカー:上司の面倒を見るのも、大変だな
ゼロ:君もヘルのように暴れるなら、問答無用だよ?
ダーカー:せいぜい大人しくするさ
ゼロ:じゃ、僕、帰るから
ゼロ:静かに暮らしててよ、冥闇(めいあん)のダーカーさん
0:ゼロはそう言って、魔界へと戻っていく
ダーカー:ミサラ…
ミサラ:……今でも、苦しくて、楽になりたいって思う時もある
ミサラ:でもそのたびに、あの夜の、兄さんの言葉を思い出す
ミサラ:「希望をもって歩いていけ」って
ミサラ:夜が終わったら、朝は必ず来るから
ミサラ:だから、歩いていこう、歩いて
ダーカー:もしお前が、暗い夜に苦しくなった時
ダーカー:悪夢に怯えてしまう時
ダーカー:俺が代わりに、お前の闇に、お前の夜になって、傍に居てやる
0:
ダーカー:悪い夢から覚めるよう、闇の夜(よる)へと運び逝(ゆ)こう
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