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HOSO F.C. BONEN MEETING 2023 に参加して

HOSO F.C.というメンバーシップに参加している。「ほとんどプレーしない草サッカークラブ」である。クラブの会長はサッカー解説者としても有名なライターで編集者の細江克弥さん。

ぼくは引っ込み思案で人見知りだ。どんなコミュニティであれ、属すること自体があまり得意ではない。積極的なコミュニケーションや自己主張もうまくできない。ただ、このHOSO F.C.の中では割合ぐいぐいと主張している。メンバー向けのラジオに毎回お便りを送ったり、その番組のテーマ曲を作ったり、Zoomでのサッカー中継観戦会に参加したり、投稿にコメントして絡んだり、オンラインになると強気なものである。

本日12月23日、その忘年会的イベント「HOSO F.C. BONEN MEETING 2023」が開催された。

昨夜は別の忘年会があったため、当然のごとく二日酔いである。以前から楽しみに待ち侘びていた今日を、少しでもさっぱりとした気分で過ごしたい。髪がずいぶん伸びていることに気がついた。いつの間にか随分大きく重くなったこの頭を整えれば心持ちも軽くなろうと、散髪をしてから行くことにした——。

——髪を切ったせいで、イベントに遅刻した。

とはいえ、髪を切ったからさっぱりとした遅刻だ。

イベントはすでに始まっている。数十名参加しているメンバーの一部が、順にインタビューを受けている。ひとりずつ壇上に上がって、細江会長からの質問に答える。名前や文章やつぶやきしか知らない人たちであったが、今、目の前で表情を豊かに変化させ、その人にしかない声で言葉を発している。途端に人物像が立体的に見えておもしろい。

そんなことを考えていると、会長から「次はあまいさとさん」と指名を受けた。ぼくはたじろぐ。オンラインでないから弱気である。しかし平静を装って、壇上へ向かい、会長の隣に並んだ椅子に腰掛けた。

質問を受けながら、そして答えながら、すでに脳内では反省が始まっていた。「マイクはスピーカーからあまり出していないからこの声量だと小さいかな」とか、「この質問には端的に答えればスムーズに会話が進むのに、前置きとして余計な情報を長々と話してしまっているな」とか、「また自分をアピールする勇気が持てない、こんなんだからいつまで経ってもだめなんだ」とか。そんな調子で口だけ動かしているものだから、実のある話など出てこようはずがない。

何度も繰り返してきた気づきではあるが、自分のことを話す訓練が必要であると改めて感じた。とりあえず、今度、自己紹介の文を書こう。

そして内部向けの話やメンバー同士の雑談を経て、最後はプレゼント交換の時間となった。「全員、家にある要らない物を持ってくるように」とのことであったが、残念ながら我が家に要らない物などない。あれこれ悩んで、タンバリンを持っていった。いずれまた買うかもしれない。

代わりに、コーヒー豆をいただいた。ブレンドを100g×3種類。やはり、贈り物はコーヒー豆に限る。だが「家にあった要らない物」ではないでしょう。しかも、どなたが出してくださったのかを聞きそびれてしまった。

さて、時間はあっという間に過ぎる。穏やかだが、わくわくもする、すてきな一日となった。余ったお菓子とジュースを鞄に詰めて、帰路につく。

イベントの中で大事な話があった。個人個人が好きなものについて発信することの重要性について。その蓄積が情報となり、拡散と深化につながり、客観的にも人気が可視化されるのだという話。とてもよくわかる。

ぼくは、このクラブが好きだ。イタリアのサッカーに、あるいはその解説者である細江克弥さんに興味がある人たちの集まり。好きなもので繋がる人間関係は楽しい。そしておそらく、その対象が狭いほど楽しい。だが、終始しないからまたさらに心地よい。共通項も関係性も限定的だからこそ、話題の自由度は増す。人生のこと、生活のこと、仕事のこと、趣味のこと、いろいろな話が聞きたい。そんな場であって欲しいと勝手に思っているから、きっとぼくは来年も、映画や文学の話を投げかけるだろう。


HOSO F.C.のみなさん。今年も一年間ありがとうございました。大袈裟でなく、心の支えになっております。来年もよろしくお願いします。

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