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【舞台 #DOLL2023 のこと】「え、なんで死ぬの?」と聞かれた話

140文字に収めようとしたらうっかり1400文字を超えてしまったのでnoteを作りました。元山日菜子です。10月18日(水)から初日を迎えます、舞台『DOLL』について、なんとなく、書こうかなと思ったので書いてみます。
最近、人と話したり、『DOLL』の稽古をしていて思ったことたち。

さて、今回の脚本、『DOLL』は、初演からちょうど40年が経つ、故・如月小春の作品です。
実際に起こった、女子中学生集団入水自殺事件がテーマとなっています。

以前、飲み屋で声をかけられた知らない方に舞台のあらすじを聞かれたため説明したところ、「え、なんで死ぬの?」と聞かれました。
え、なんで死ぬの? え、なんで死ぬの? そうですよね、きっと。人の自死は、だからSNSで憶測が飛び交い、ネットニュースで様々な言葉が綴られるのだと思います。

先の質問に対しては、それまでのやり取りの感じと質問の投げられ方に呼応し、あまり誠実に答えなかった記憶があります。ごめ~~ん! ですがそれに関連して、ある教師が、昔、自殺だけは絶対にしてはいけないことだ、と言っていたことを思い出しました。いや、全然質問の答えにはなってないけど、でもなんか思い出した。その時感じた強烈な違和感といっしょに!私、その正誤問題、答え持ってないなあと思った記憶があります。というかまあ、正誤判断を下すこと自体がそもそも間違ってると思うから、持とうと思っていない、今のところ現在の私はそういう感じです。でも、死んだって良い、と言い切れないのは、愛する人には死んでほしくないというエゴがあるからです。ごめんなさい。あ~ん、完全に話逸れちゃったナ。

あらすじを伝えると勘違いされやすいのですが、そもそも、この作品を通して、少なくとも私は、彼女たちの克明な自死の理由をまるで謎解きのように伝えたり、自死にまつわる善悪的な意見を伝えたいとかは思っていないのです。多分観ていただいたら分かると思うのですが、私の解釈ではそれを述べる作品ではないのです(あくまで私個人の解釈だょ)。

私が今回舞台のうえでやるべきと思っていることは、最終的に集団自死という選択に至る彼女たちの記憶を丁寧に辿り、積み重ねてゆくこと。それだけなのではないかと思っています。(あ、まあでも自死=最終的なものとするか議論もありますね、死後の世界の話とかになるし、別の話だね。死後の世界、あると思う?私はね~ウフフ)

そして、稽古を通してそれらを追体験していると、ふと、制服を着た自分と対峙する瞬間があるのです。その自分は、今より少し衝動的で、閉鎖的で、短絡的で、でも、どこまでも今と同じように、友達が大好きで、好きな人がいて、面白いことがあったら笑って、むかついたら怒る。怒れないこともよくある。そんな感じで、それがすごく不思議で、とにかく最近ぼんやりと思うのは、これはどこか遠い星の人たちの特異な話でもなければ、40年という月日が生んだものでもなくて、ただただ、意志のもと存在する生や死が、いつの時代も必ず目の前にあったのだなということです。そしていつだって、心からの決意は尊い。

勿論、どんな視点で見ていただいてもいいのです。
やっぱり自死はよくない、それでもいいのです。

生と死は地続きであるもので、どちらもなんら不思議なことではなく、ただ、一点の境目があるだけです。そしてそこに行きつくまでは、どこまでもまっすぐに、たったひとつのグラデーションが伸びているのだなと、この脚本でお芝居をしていて、私は思います。
そしてその色は、綺麗に透き通った海の色なのかもしれないと、今はそう思っています。

【公演情報!】
KUROGOKU produce vol.11『DOLL』
2023年10月18日(水)〜22日(日) 
於:王子小劇場

【元山の出演】
team L→女子高校生 いづみ役
team R→右眼役

【ご予約(元山日菜子扱い)】
https://t.co/6xdHmAQXGv

原作:如月小春
演出:浅川拓也
企画・製作:黒柳安弘(KUROGOKU)
出演:柊みさ都 / 倉田みどり / 藤山ももこ / 佐々木奈緒 / 元山日菜子 / 小橋杏佳 / 石田梨乃 / 菅原茉利奈 / 松井愛民 / 柳町明里(劇団 身体ゲンゴロウ)/ 中前涼眞 / 畳谷洋登

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