【第1回 練習メニューの策定】僕が少年野球チームを作るなら。

「僕が少年野球チームを作るなら。」第1回は練習メニューの策定についてまとめます。
※前回の記事は以下をご参照ください


目的を明確にする

全ての練習において、「なぜ行うのか?」を明確にします。
目的のない練習はいわゆる「練習のための練習」であり、集中力も効果も低くなってしまいます。

メニューは前日までに共有する

LINEグループやホームページなど、コーチ・保護者全員が共通の情報を見られるツールを作成します。
そして、練習前日までに1日のメニューを必ず共有します。
そうすることで、選手全員が翌日の練習内容をイメージでき、心身ともに事前の準備ができます。
また、コーチや保護者も事前に練習メニューがわかることで何を準備したらよいか、当日どう動いたらよいかをイメージできるため、スムーズに練習準備を行えます。

試合を意識した練習を行う

練習の目的は試合でのパフォーマンス向上です。
キャッチボール1つ取っても、ただ肩を暖めるためだけに行うのではなく、体のどこで捕球したら次の送球がスムーズになるか、どのように投げたら強い送球ができるか、など1球1球試合を意識しながら行います。
そのためには、指導者が練習開始前にその意図を説明し、理解させる必要があります。
また、週に1度は紅白戦やミニゲームなど試合形式の練習を取り入れます。それにより、ゲームで勝ちたいという意欲が生まれ、普段の練習もおのずと試合を意識して行えるでしょう。

コーチには明確に指示を出す

練習内容を共有する際(前日)に、コーチ陣(お手伝いの保護者たち)には「この練習のときはこう動いてください」「この練習はこれを意識させてください」と明確に指示を出します。
少年野球では基本的に指導者もボランティアのため、本業や家庭の事情などでどうしても監督が練習に参加できないこともあるでしょう。
そんなときでも、事前に指示を出しておけば意図せぬ練習を行ったり、どう動いていいか分からず往生してしまうといったことを防げます。
もちろん、監督が参加しているときでも練習開始前に指示を出すことで練習の意図がコーチ陣にも伝わり、統率の取れた練習ができるようになります。

無駄な時間を作らない

1日の練習時間は限られています。大切なのは、いかに時間を有効に使うかということ。
待機時間や何もしない時間が生まれると、練習効率が落ちるだけでなく集中力の低下による事故やケガなどのリスクも生じます(小学生の場合、じゃれて遊んでいて思わぬケガをしてしまう可能性もあります)。

個人練習に重きを置く

待機時間が生じる顕著な練習はシートノックです。
全員が守備につき、1つの打球を処理する練習ですが、ボールに触らない選手や後ろで待っている選手は何のスキルも向上しません。
(もちろん、カバーリングやフォーメーションの練習にはなりますが、それは別途時間を取って行えばよい)
極端な話、シートノックは月1回程度のペースで問題ないと思います。
守備力を向上させたいなら、少人数での個人練習を重視し、時間効率を高めるべきです。

休憩時間は作らない

少年野球では、「給水」と「休憩」の区別がついていないことが多いと感じます。
練習の合間に「休憩!」と指示を出すのはいいですが、何分間休憩すればいいのか、給水後はどうすればいいのか、休憩中は自主練習をしてもいいのか、など具体的な指示がないまま休憩を取らせていることがあります。
いっそのこと休憩時間は排除し、掛け声は「給水」に統一します。
もちろん、お昼ご飯の休憩や補食の時間はしっかりと取りますし、給水頻度はしっかりと確保します。
ただ、練習の合間は「休憩」ではなくあくまで「給水」とし、水分補給が終わればすぐに集合することを徹底します。

40~50分を1セットとする

一般的に、人間の集中力は50分程度しか続かないと言われています(小学生の場合、その時間はもっと短くなります)。
そのため、練習は長くても50分を1セットとし、都度給水を挟むようにします。
そうすることで、熱中症や脱水症状の予防はもちろん、集中力が続かなくなるタイミングでリセットをかけることでより長く練習に集中することができます。

選手が主体となるように努める

いくら細かく指示を出しても、それを実行するのは選手たちです。
選手1人1人が目的意識や向上心をもって練習することが上達への一番の近道であり、指導者はそうなるように導く必要があります。

チーム内でグループを作る

全体で30人いるチームであれば、学年をごちゃ混ぜにして10人のグループを3つ作ります(なるべく戦力やポジションが均等になるように振り分けます)。
グループごとにキャプテンを決め、それぞれのグループはキャプテンの指示のもと練習を行い、グループ対抗戦を行います。
そうすることで「対抗戦で勝つにはどうしたらよいか?」「どうしたら低学年も戦力としてチームに貢献させられるか?」と、目的意識やキャプテンシー、思いやりの力を育むことができます。

何も指示を出さない時間をとる

全体練習や個人練習はもちろん行うのですが、グループごとに練習をする時間を必ずとり、その間は指導者が一切口を出さないようにします。
キャプテンを中心に練習メニューを考え、実行する。それにより主体性が身につきます。
もちろん、「ノックを打ってほしい」「守備を教えてほしい」など選手から依頼があった場合は、指導者(大人)はそのとおり動きます。
そして、練習終了後のミーティングなどで練習の意図などを尋ね、必ず褒めてあげます。選手たちが考えた練習を決して非難・否定してはいけません。

常にアップデートする

野球理論や練習方法は日進月歩で変化していきます。今はSNSやインターネットなどで情報収集も容易くなり、その変化スピードは日増しに上がっています。
指導者は、常に情報をアップデートする意識を持っておかないと時代に取り残されてしまいます。

新しい練習はどんどん取り入れる

本で学んだ、SNSで見て良いと思った練習はまず実践してみます。
やらないうちから「この練習はだめだ」と決めつけてしまっては、みすみす成長のチャンスを逃してしまうかもしれません。

PDCAサイクルを回し続ける

仕事や勉強と同じく、PDCAサイクル・トライアンドエラーを繰り返すことが何より大切だと考えています。
新しい練習を試みるときはまずどのように動かすかを考え、実行する。その結果生まれた効果を分析して、次の練習に生かすようまた考える。
常に同じ練習を繰り返すのではなく、PDCAを回しながら新しい練習を取り入れたり、練習方法を変化させていくことでおのずと練習メニューが洗練され、より効果の高い練習を行うことができると思います。

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