見出し画像

【読書記録】2024年6月

今月はさまざまな種類の本をたくさん読めたので、とても良かったです。ただ、分量としても難度としても精神的な負荷としても、かなり重めのものを読んだので気分の暗い1か月間となってしまいました。7月はもう少し負荷の低い月としたいです。

小説

『1984』ジョージ・オーウェル 訳:高橋和久

第3章の6節目、ラストの絶望感がものすごかった。「誰か他の人に、って口走っているときは、本気でそう言っているのよ」……。人間の心の中にまで入り込む支配について描かれた、全体主義を批判するディストピア小説。人間が考えることをやめさせるシステムは、愛情省による過激な拷問やテレスクリーンによる徹底的な監視だけではなく、日常の中の些細な習慣や便利なテクノロジーの中に含まれる。その装置が認識や感覚に及ぼす影響について、常に自覚的でいたい。

『BUTTER』柚木麻子

実在の事件をモデルにした小説。だいぶん重い。この小説を読んで「好きな人にご飯を作りたくなった」という感想を持つ人ってどのくらいいるんだろう。あんまりいないで欲しい。安易に感想を「わかる~」って言って欲しくない作品にどれだけ出会ったか、が価値だと思っている。この本との出会いが価値のある出会いであって欲しい。「取材」の加害について書かれているかと思ったが、そもそももっと普遍的に「コミュニケーション」全般の加害について描かれていたのではないかとも思う。

『流浪の月』凪良ゆう

2020年本屋大賞を受賞しており、2022年に映画化もされた作品で、紛れもない問題作。女児誘拐犯と誘拐された女児の話。夕食のアイスクリームが繰返しモチーフとして出てくるので、映画の舞台は夏がいいな。主人公の更紗は生来から自由な性格であるとされていたが、幼少期に両親からかけられた「自由でありなさい」という呪いが解けていない子どものようにも見えた。この小説から得た教訓を一つ挙げるなら、三つ子の魂百まで、が最も適切に思われる。

『戦火のオートクチュール』佐野広実

友人に借りたのでなんとなく読んでみる。これはあとがきが秀逸で、ミステリー小説のレシピが書かれていた。もちろん本編も良かった。歴史小説の向きもあるし、母と娘の確執についても許す許さないの二元論を超えた解釈がされていて充実していた。

エッセイ・日記

『創作 1973年10月-1975年7月』

長崎旅行中に購入した、自費出版の日記。栞にこの本の書評が書いてある。昭和の時代の文学者を目指す若者の日記で、日々働けど借金が増えていく暮らしの様子や、読んだ本に対する簡単なコメントが書き連ねられる。家計簿なんだか睡眠時間の記録なんだかわからない淡々とした記述の合間に、紛れもない天才の表現がちりばめられる。こんなに綺麗な文章を書ける人が何者にもなれなかった日本語の世界で、自分が何者かであれるのか、不安になる。欲情にも近いかもしれない?終盤に差し掛かるにつれ、古典の引用が増えていく。不安になる。ちょうど『1984』を読んだ描写が出てきた。

ビジネス

『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』久留須親

業界についてわかりやすく書かれていたのは良かったが、ケース面接対策の章の記載は(私の信仰に基づくと)微妙かもしれない。

『ロジカルシンキングを超える戦略思考 フェルミ推定の技術』高松智史

かなりわかりやすく解き方のパターンや禁忌が並べられていてわかりやすい。100問の例題がついており、かなり解くのに骨が折れる……。引き続き頑張ります。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?