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トラペジウム

トラペジウムを観ました〜。
ネタバレあり。
原作者の高山一実さんが元乃木坂46のメンバーであることを前提にお読み頂くと良いかもしれません。

東という女

こう、出だしから"こんな感じで果たして順風満帆に行く訳がないだろ!おバカ!"という感じがのっけ良かった。
言動の節々から感じる「ヤバw」みたいな要素が如実に顕現する中盤も良かった、ギョエー!みたいな顔を劇場でしてしまいました。

純粋…とも違うかな……憧れ故の視野狭窄・妄執はこういった作品と相性が良いのでギミックとしても勿論ありだし、最後に本人も言ってた通り 倫理が色々間違ってはいるもののなりたいものに向かって直線で進んでいく身勝手さはカッコ良くも映る。主人公として尖り過ぎている面もありますが、個人的には良いキャラだな〜と。

「彼氏がいるって知ってたら…」の下りって最低ではあるんだけど、ヘッダーにした4箇条を考えるとさもありなんという感じしますね。
言い草はともかく、俺がメンバーだったらめちゃくちゃムカつくだろうし。
※あー、書いてて思ったけどこれって紅白前に乃木坂の松村沙友理が文春にすっぱ抜かれた時と被ってエグいな〜

アカウント名ウザすぎるかも

そんな東、友人Tはとにかく気に入らなかったらしいです。無理な人はとことんハマらなそうな女でウケる。

巷だとアイドルサイコパスみたいな評を下す人もいるみたいですが、そうは思わなかったかな。その評価は過剰過ぎるし本質的ではないと思う。アイドルの輝きに取り憑かれた結構性格の悪い普通の可愛い女の子、って感じ。
ヤバい女ではあるんだろうけれど、どこか年相応の甘さも感じる。だからこそ失敗するんですが。

『ゆうは、あんまり過剰に演じてほしくないなと思っていたんですけど、たぶん結川さんも同じような思いを持っていらっしゃって。監督から「もっと強く」というオーダーがあったときも、ちょうどいい塩梅にしてくださって、ありがたかったです。』

好書好日  インタビュー記事

作者の高山さん自身がかなりアイドルという存在を特別視していて(だからこそ実際に本人がなっている訳で当たり前ではある)、東ゆうはその思想をかなり濃く煮詰めた存在なのかな〜と思いました。
アイドルになるまでオーディションを落ちまくってるのも、高山一実さん本人と全く同じですね。こんなに主人公に投影して大丈夫なん!?

これもインタビュー抜粋だけど、以下とかもう東のまんま過ぎて笑っちゃうんすよね。

『私はアイドルが好きだったので、誰もがアイドルになりたいものだと思っていたんですけど、』

同上

天気

雨の演出多くねぇ?物語の不和を現すのに1番ストレートな演出だと思うんだけど、中盤から梅雨?ってくらい雨が降ってましたね。

あとは夕焼けが不穏な描写で使われていたのが印象的だったかな、ぼざろ的な夕陽に電車の絵面なんだけれども シーンとしてはこの先を憂うシリアスな場面が多かったな〜。
けろりら絵、けろりら絵だってすぐになるので凄いよ。

アイドル描写

シビアなアイドル描写というと番組やライブでの大失敗とか先輩アイドルのいびりみたいなのが良くあるパターンですが、逆にそういうのが全くと言っていいほど描かれてなかったのは結構新鮮でした。

苦難が凄い地味なんですよね、撮られたVが使われてないとか…ファンレターやいいね数の差とか。ただ口パクをやらされるんじゃなくて、1人だけ生歌とか。
そんで、メンバーがふと番組中に言葉が出てこなくなって、気付いたらもう取り返しのつかない地点に立っていて…みたいな。
淡々と亀裂が走っていく感じが逆にリアル。

作者の実体験が含まれている…とまでは考えていませんが、ちょっと目線が他のアイドル作品とは異なっていて面白かったです。
※高山一美って確か歌唱メンだったよな…とか考えちゃって良くなかった。

肝心のストーリー

お話自体がどうだったかというと、まぁ予想の範疇って感じでした。ある意味結論とキャラクターありきで進んでいる話というか、結論に辿り着く為にキャラクターが後から生み出されて、それに追随してストーリーが生まれた…みたいな感じで引っ張られてる感の強いストーリーだと思っちゃったかも。

高山さん自身は「アイドルの素晴らしさ」を伝えたかったらしい。東?

アイドルに憧れているときは、どんなに辛いことがあってもなりたいと思っていたんですけど、実際になることができたら、思っていたよりも辛いことがなくて、楽しいこと、幸せなことばかりでした。私がアイドルになった時期や場所が、すごく運が良かったこともあるかもしれないので、私目線にはなりますが、アイドルはいい職業だよ、というのは伝えたいですね。

同上

個人的には「夢を追う事に付随する汚さ、醜さ、輝き、そういったもの全てへの肯定」みたいな感じがあったかな〜。
それは最後に主人公が過去の自分をなんやかんや肯定しているとこからも感じた。
(ラストの語り、少し冗長じゃないですか…?)

西南北について

他の3人(西南北)がそこまでアイドルという存在そのものに固執していないからこそ、東を皆が俯瞰的に見ている構図が出来上がるのが上手い。

ただキャラの掘り下げは流石に色々足りないよな…とは思いました。

特にお蝶婦人(その設定はなんだよ、マジ)が個人的によく分からなかったな…
ある意味1番冷静な人ではあるんだけど…なんか…金持ちって余裕あるな…って思っちゃって……すんません………

ロボコン、萌えとさせて頂く。
発狂シーンがエグいな〜と思いました。
題材的に橋本環奈の「奇跡の1枚」をフューチャーしてるんだろうけど、あれってやっぱ現場というかリアルアイドルの人たちにとっても相当衝撃だったんだな〜。

1枚の写真だけですごくバズって多くの方に知られるようになることってありますよね。例えば、橋本環奈さんは今では誰もが知る女優さんですが、当時1枚の写真だけでバズるのが衝撃的で……。そうしたビジュアルが強いというキャラを作ろうと考えたのがくるみです。

カドブン インタビュー記事

彼氏持ち、お前は…なんなんだ?
(多分俺が東西南北のオタクだったらこの娘に通ってます、ワイが騙され客や)
エグい解散なのに「ファン1号」とか言ってくれるのは素直に凄いと思う。
いじめられて、整形で生まれ変わり…という過去を終盤で語る彼女ですが、1番普通な女の子だったなと感じました。

車椅子の少女

文化祭のシーンだけだとこっちも掘り下げ弱いよな…ボランティアから繋がってる脈ではあるんだけど、別に車椅子じゃなくて良いよなと思ってしまいました。物語でこういった障がいを抱えているキャラクターは、どうしても"意図"を探してしまいますね。それ自体あまり良くない行為なのかもしれませんが。

彼女の代わりに衣装を着る、夢を叶えるっていうのはなんとなく分かるけど そんなに殊勝な女でもないだろう東は…いや、どうなんすかね……

10年後

シンプルに写真のことを忘れてたので、オ〜と思いました。各々のコスプレってなんか意味あったのかな、東(アイドル)とお蝶(冒険家)とロボコン(白衣)はぼんやり分かるけど、北のシスターが分かるような分からないような。

まぁ本当はラストシーンで車椅子の彼女にも見ていて欲しかったな、だって映ってるんだしさ
(そういう描写ありましたっけ、あったらゴメン)

ジジイ2とジジイ3の声優

作品の純度が下がるので、いらんす……

一応解説するとCVは作者の高山一実と西野七瀬。2人とも元乃木坂46のメンバーで、特に仲の良いコンビとしてファンの間では知られていましたね。
私は2人が在籍していた時期に乃木坂に通っていたけど、だとしてもそういうファンサービスは別でやってくれや…と思いますよ素直に。


乃木坂メンバーがアフレコ……

💡
クリオネの灯り☝️


参照したインタビュー記事は以下です。

トラペジウム(trapezium)
1 不等辺四辺形。 どの二つの辺も平行でない四角形。 2 オリオン星雲の中にある四つの重星。

タイトルが美し過ぎるだろうが。


おわり。

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