1人用マダミス「僕と不思議な占い師」ネタバレ感想
マダミス男さんの最新作「僕と不思議な占い師」をプレイ。
以下ネタバレです。
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感想としては、まずチャプター②と行動発表パート②どちらへいくか決断するのがなんとなくわかりづらかったです。チャプターの説明を見たらもう元には戻れないとか、決断フェイズなどがあった方がわかりやすかったように思いました。まあこういうことだろうと推察できはしましたが、この決断がとても重要な作りをしているのにもったいなくも感じました。
シナリオの作りとしては、ゲームブック的でしたね。GMあり、情報は描写を交えつつ会話で伝える、ついでにオンラインセッションツールなんかを使って雰囲気を盛り上げる、立ち絵やBGMを用意する、なんかしたらもう完全にTRPGだなとも。TRPG勢の私としては、主人公にとってなにが「幸せ」かを考えさせてほしくもなりました。マダミスなのでおそらく正解があるのだろうとはわかりましたが、例えば未来からこんなふうにがんじがらめの掟に縛られながら過去へアドバイスしに来なければならないのははたして「幸せ」なのかとか、この時点で死を選ぶのははたして「幸せ」ではないのか、とか。キャラメイクとRPなんかも合わせたらTRPGそのものですね。個人的にはこういう話はTRPGでしたいです。答えはなさそうな問いかけだったと思うので。
それにしても占い師の正体はわかりやすかったですが、情報をたくさん知ってしまって正解の正体を選ぶと連れて行かれるのはなんとか隠せなかったんかと思ってしまいますね。やはり情報を知りたくて先を見てしまって、そうなってしまったのが最初のエンドだったのですが。でもマダミスとしてここを推理する作りは1人用の作り方としてありだなと思いました。幸せについてはこの結末は幸せだったでしょうか?とPLに問いかけてみる方が私の好みですが、一つの謎とその答えと、そこからの選択肢と物語の結末がセットになっていればマダミスと言えそうだなと。
あの最後の正体の選択肢は、あくまで主人公が声に出してしまうとか、情報を知る描写も会話分にするとか、まずい流れになってしまうとわかればよかったのかもです。ですがGMレスだと選択肢にあえてなにも言わないようにするとかあったらそれが正解だとすぐバレてしまいますからね。難しいかも。といっても正体もほとんど同じようにバレる作りなような気もしました。簡単な謎だったからというのもありそうですが。選択肢を会話文にして、「お前は……」 1.〜〜だと告げる。2.××だと告げる。3.あえてなにも言わない。とかだったら結末に説得力が増したかも。でもこれ、選択肢からのメタ推理をなくすためにはGMがいた方がいいですね。でもボリューム的にはいなくていいという。1人用の難しさを感じます。
他の人の感想を見てわりと好意的に受け止められているのだなとわかりました。私はこれを遊ぶならもっと面白く、もっと物語性を、とTRPG勢の性質で思ってしまって、そうした感覚なしにプレイを楽しむことはできなかったですね。物語としての違和感を覚えてしまって、少しの反発もありました。ですがマダミスに慣れていて、PLが物語を作り出すのではなく物語はすでにそこにあるマダミスの遊び方で遊びたい人にとっては新鮮で面白いものなのではないかと。あとお手軽ですがね。時間は計らなくていいと思いましたが、計ってちゃんと考えるのも大事だったのかもです。私はさらーっと読んでしまって、その流れで続きも読みたいなとすぐチャプターへの移動をしてしまったのでそこは遊び方として慎重になってほしいところだったのではないかと最後の流れで感じました。あの決断に一つのページあってもいいくらいかもでしたね。
あとは推理要素もある1人用インセインシナリオの素晴らしい作品を体験したことがあるので、こうした1人用マダミスを遊ぶよりかはそうした作品を遊んでみたいと思ってしまいますね。「烏有館事件」とか最高でしたからね。
私が求めているのはマダミスよりかは能動的にPLがPCを動かしてゆけるTRPGなのかなと再確認できた気がします。でもたまにはマダミスもやりたいんですよね。ボドゲの「惨劇RoopeR」をたまにやりたくなるのと一緒です。物語を作るとかは一旦置いといて、頭をフル回転させたいときもあるんですよね。
マダミスとTRPGは似たようなもので、TRPGの一種と言えるマダミスもあるでしょうし、あくまで別ゲームだとも言えそうです。作品によるんでしょうね。ここでは別ゲームのように表現しましたが、物語性重視のマダミスはまだ遊んだことがないのでそういうのをやってもみたいです。LARPのようなマダミスもあるとか噂に聞きましたし。
「僕と不思議な占い師」は、情報の出され方や選択などが非常にシンプルで、簡易なゲームブック、ノベルゲームのようにも思いました。1人用マダミスを作るなら、推理ゲームブックを作るようにしてもたしかにいいのかもしれないですが、ブックと言えるほど中身を厚くしすぎてもマダミスっぽくならなくなるかもしれません。なんにせよここまでシンプルにしても人は楽しめるものなのだなとも感じましたし、それが少し物足りなかったのはあくまで私の趣味がTRPG寄りだからなのでこういうのは全然ありですね。相談の仕方やそれぞれのキャラの秘密がどう絡み合うかなどの調整は不要で、けれど楽しめる作品として、他にも1人用マダミスを書く人が増えたら面白いのではないかと思いました。
TRPGシナリオを書く人にとってはこういうのもありなのかと驚くと思います。ルールに沿って書き上げる作業に慣れていて、自分の考えたシンプルなルールだけで簡素に物語を提示する、というのもTRPGでもありだと思うのですよね。韓国語で私も全訳まではできてないのですが、オリジナルルールを採用している「水曜日の花嫁」なんかをざらーっと機械翻訳で読んでみたときも同じような感想を抱きました。既存のルールに囚われすぎているのかもなと。「僕と不思議な占い師」はあくまでマダミスで、もっとシンプルで、多分デジタルゲー的な物語の不可塑性がありましたが、似たジャンルの遊びとして参考になる部分がありました。CoCだと1人用KPレスシナリオも多いですし、もしかしたらマダミス界隈にそうしたシナリオが参考になることもあるのかもですね。1人でも遊べる作品は、マダミス勢にも需要はたくさんあると思いますしみんな気軽にもっと書いてみたらいいのではないかなあと感じました。推理ものは難しいんですけど、TRPGや簡素ノベゲーと置くなら、推理なくてもいいのだし。こういう作品もっと増えたら、遊びの選択肢が広がって楽しくなりそうですね。
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「僕と不思議な占い師」マダミス男様
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