80歳の親父

私は三人兄弟の末っ子として育った。
幼いころから親父の働いている姿、仕事していない母しか見たことがなかったが、朝は遅く、自営業の社長ってええなぁと思っていた。
※もちろん深夜まで事務仕事などをしていたため朝が遅かっただけだ。
三人とも私立大学を卒業させた凄い両親だと思っている。
高校野球時代、私の帰りが22時とかだったため、おかんには毎朝野球の練習着を洗ってもらっていた。電子レンジが乾燥機だった(笑)

20年近く前に兄が他界した。31歳だった。両親は1年以上泣いていた。私も長女が産まれたばかりで嫁も大変だったと思う。

そんなこともあって当時60歳の親父も私もそのころから人生を考え直していたように思う。一度きりの人生やりたいことをやろう。私はそう思ったが、親父が何を考えているかは知る由もない。

末っ子の私は比較的自由にやらせてもらっていた方だと思うが、三人兄弟全員がことあるごとに親父とぶつかっていた。おかんは横で困った顔をしているだけだった。おかんには申し訳ないと思っている。

そして、親父は60歳を過ぎて急に「引退する」と言い出した。5年経ち「65歳で引退する」。70歳でもう全く仕事がなくなってから「そろそろ引退する」とばかり言って私の追い上げを煽っていたのだろうと思うが、私は親父の仕事ぶりをみながら、継ぐのは無理だなと思うようになっていた。そして私は後を継ぐどころか、前述のように政治の世界にのめりこんでいた。

そして私が宿屋を開業してからは何かにつけて息子の人脈にまで関わってきたり、ことあるごとに干渉してくるようになった。だんだん本気で鬱陶しい存在になっていった。

詳しくは書かないが親父が発端で地域でトラブルが起こるようになってきて、80歳になってからもさらにトラブルが増えつづけている。昨年あたりからはもうつける薬がない状態で息子として地域の方々からクレームを受け続けている状態である。お願いだからもう静かに余生を過ごすだけにして欲しい。

昔から私の話は聞かない親父だったが、さらに最近は話し合いにすら応じないので、こちらからも「残念だがもう会うことも話すことも何もない」とのみ伝えてある。

血はつながっているが、最も分かり合えない人、私の人生の最大の悩みの種が親父だ。

本当に恥ずかしい親族の内輪話である。



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