South/iSland物語

前編
プロローグ 開始
1話 失踪12.26
2話 緋色12.27
3話 誘拐12.28
4話 招―the Galaxy Railway(銀河鉄道)―
5話 散―Run the Sky(天翔ける)―
6話 守
7話 忍
8話 舞
9話 翼
0話 悪

プロローグ 開始
誰も寝ないベッド。  使っていない机。空っぽの棚。
誰も座らないイス。  使っていない箸。空っぽの皿。
誰かがそこにいた記憶。使わない名前。 空白の時間。
そのどれもが、元は彼のものだった。
・・・彼はそのどれもから、いなくなった。
あなたがあなたでいること。

1話 失踪
ネオを失ってしまった。

2話 緋色
「えーと、今日の連絡事項ですが医者さんが風邪で休みだそうです」
バーン里帰り

3話 誘拐
ザァー☂
プルルルル。☏
「はい,こちらSPグループっス」
「大変よ!!紫ちゃん!ユキナちゃんが大変なのよ!」

「ナイトさんありがとうッス」
「いえいえ。ずっとバイク二人乗りで大変だったでしょ」
「いーえ。無理聞いてもらったッスから」
「じゃ、私はこの辺うろついてるから」
「ありがとうッス!」紫はそういうと、自分の実家の方へと走り出した。
「ただいまっ・・・」ヤリ?矢?
「だーせっかく帰ってきたのにこれかー」
どたどたっ!←(トラップをいくつも突破する音)
「あ・・・れ?ユキナさんが」
「お帰りなっさーい。紫ちゃーん」
最後のトラップを片付けて,ドアを開けると突然,紫の若々しい母親が抱きついてきた。
「か、母さん!それより,なんでユキナさんがウチにいるのっ!」
「えへ」
「えへ,じゃ分かんないよ!かあさんっ」
「アナタのお母さん、物分りがいいわねー。ユキナちゃんもよ」
「はい?」

4話 招―the Galaxy Railway(銀河鉄道)―
・・・というわけで,パワーアップしたアタック隊。
そこへ列車の乗車券と招待状(6人分)が届く。選抜チームは以下の通り。


5話 散―Run the Sky(天翔ける)― 

画像1

6話 守
留守番
「留守番の方がつまんねーと思ってたけど」
「面白くなりそうです」
朱と白が,珍しく(!)仲良さげに話をしている。晩ご飯の皿を洗いながら・・・。
「今日のご飯もおいしかったね」
ストーンが残りの皿を持って来ながら話し掛けた。
「ありがとうございます」
朱が素直にお礼を言うところを見ると,今日は機嫌が良さそうだ,と思いながらストーンは軽快に皿を運んでくる。食堂では社長と医者さんが仲良く酒を飲み始めた。アスとジムも誘っているようだ。
「つまみ,出来上がってますから運んであげて下さい」
「うん、わかったよ」
ストーンはいくつかの小皿をお盆に一つに載せて食堂へ運んでいった。
「あれ,ナイト?社長たちは?」
「和室に移動してったよ」
食堂をそのまま通り過ぎて,隣の部屋へと進んだ。
どんちゃん,どんちゃん!
彼らがそんなことをしている間に皿洗いを済ませた二人は外に出ていた。もちろん目一杯,厚着をして。
「さーて,ひと暴れすっか」
「まあ,周りに被害の無い程度にですね」
「さあ?できるのか?ま,客次第だぜ」
長くて寒い夜が始まった。
言うなれば,殺気,だろうか。を感じて出てきた二人の三つ子。彼らを待ち受けていたのは一人の,しっぽの生えた二足歩行をするヒト?もし,恐竜が進化していたらこうなったのではないかと思わせる頭のシルエットが浮かび上がってきた。そして,圧倒的な気迫。
「なあ,なんだあれ?」
「とうとう,SFファンタジーの世界ですか」
「まあ,いいや。どっちが行くよ」おいおい,もう少し驚いてやれよ。
「公平にジャンケンで決めましょうよ」おいおい,もっと感動してよ。
「ジャーンケーン」
「ぽんっ」
朱が石で白は紙を出した。
「オレの勝ちっ!おまえって・・・弱いよなあ」
朱は完全にふてくされてしまった。
「いいですけど,左手は使わないように」
「わあーってるって。さあって,始めようぜ」
「決マリマシタカ」片言の言葉を話してはきたが,二人がジャンケンを終わるまで待ってたらしい。
「どうせ,話せば分かるってわけじゃねーんだろ」
「全員殺シマス」
拳と蹴り,全て受け止めたはずだったが,尻尾のこと忘れてた・・・。
軽く5メートルほど吹き飛ばされてから,見上げると朱の顔があった。
「楽しいですか?」朱の皮肉を聞きながら
「ああ,メチャメチャ楽しいぜ!オマエもチョキを出してればなあ」
と内心怒りに燃えていた。すると,目の前には圧倒的な速さで恐竜男が迫ってきていた。右の拳がやっと起き上がった白の腹部をフック気味に襲う。両腕を交差してガードしながら,後ろに跳ねる。
「避けきれないと見て,後ろに跳んで衝撃をやわらげましたね」
朱は白の様子を観察しながら,
「しかし・・・」
と周囲への注意も怠らない。
白はまだ,攻められ続けていた。相手の速さについて行くのがやっとでかなり攻めあぐねているようだ。
 突然・・・空気が変わった。
 朱が結界を張ったのだ。
「周りの方々、もう中には入れません・・それと外にも出しません」
その時、
「よっしゃー!?一丁あがり!」
という白の元気な声があがった。完璧なケリを決めて、右手を高々と上げてポーズをとっている。しかし、
「あと二十体くらいはいますね。全部白に任せますよ。腹ごなしにちょうどいいでしょう」
「なに言ってんだよ!オマエも少しくらい働きやがれっ!」
「ジャンケンに勝ったのは白ですよ。どうぞお譲り致しますから」

7話 忍
坊・紅
銀河鉄道1両目。
プシュー?
「な。」
ガクッ!煙が一両目全体を覆うと乗っていた人たちが次々と倒れていった。
「ひっひっひー。ちょろいモンだーね」
「何がかのう?」坊が顔をマスクで覆った黒づくめの忍者風の男の後ろに立った。
「なに!・・・なんでトイレから出てくんだーよ」
「・・・そこにトイレがあるから」
「っちっ!」忍者男が振り向いた所で、坊がマスクをはいだ。そして
「くらえ!」そう言って坊が忍者男に向かって投げたのは・・・。
「桃?」
プシュー?
「げほっげほっ!何だーね!」
「ま、ただの発煙筒なんじゃが」
その次に取り出したのはテグス。空中で器用に輪っかを作りながら、男にスルスルと巻き付けていく。
そうしてとうとう、忍者を座席に縛り付けてしまった。
「わしは武器がないからのう。刀を借りるか」
忍者男、背中に回りこんで、刀を取り上げようとしたが。
「変わり身の術。知らないんだーね?」
「・・・まずったのう」
「詰めが甘ーんだーよ」
忍者が左手を後ろ手に回して、手の平サイズの箱を坊の体にペタッとくっつけた。
ドンッ!!
爆発が起こり1両目は奇麗に吹き飛ばされてしまった。
そして、先導車を失くした銀河鉄道は宇宙の闇に吸い込まれていった。

8話 舞
ステVSプルーバード
2両目―舞踏会
「バーン,どうしたさ!起きるさ!」
コツッ,コツッ,・・・
「にゃろう。あーた。バーンに何したさ!」
「プルちゃんはアナタが欲しいの」
「ザンネン残念。オレっち,これでも結婚してるさ」
そう言って,ステはおどけて見せたが。
「それより,バーンは・・・」
「今からは二人のじ・か・ん・。ねっ」
念を押すようにそう話し掛けて来ているが,とりあえず,人の話を聞かないタイプらしい。
「ヨーイはいーい?」
剣を構えているところを見るとダンスを踊るとかそういうことではないらしい。が・・・
「あんま、よくないよ」
剣の切っ先がステに向かって伸びてくる。それをギリギリで避けながら、右の席に横っ飛びをする。そして、座席に置きっぱなしのリュックをつかんだ。中身を探る。が第二撃がもう襲って来ていた。
「にゃろう」
シュッと鋭い音を残して、これは左の肩先をかすめて、座席の背もたれに刺さった。
「痛っ」
何とか避けながら窓の枠の所に手をやり、反動をつけて背もたれを乗り越えて反対側に転がり落ちた。急いでリュックから携帯警棒を取って、カシャッと金属音をさせて伸ばす。
「さあ、どっからでもかかって・・・」
「えへへー。アタシはプルーバード。アナタの」
「・・・来るなー!うわー」
「ブシッ、ザクッ、ピッ」
それ以上に、体中に傷を受けて、ステは
「血もしたたるイイ男ってーのも・・・あんまり悪くないさ」
「むふぅー」
血を見ていよいよ興奮してきた殺人鬼という感じのプルーバードが迫ってくる。
と一両目の方から爆発音と爆風がやってきた。

9話 翼
紫・れっぱ軍VSぷうま
9両目―孤独な激闘
「むらさきっ」
がっがっ!!
ぐわっ!トイレに入ろうとした紫大助の喉を、トイレの中から何者かが左手でわしづかみにして、そのまま後ろの座席まで一気に押し込んだ。ところどころで座席にぶつかり木製の背もたれを吹き飛ばした。
その何者かは気絶した紫の首から手を離すと、れっぱに向き直った。その男の背中には蒼い羽根が生えている・・・。丸く小さなサングラスをかけ、口元には自信たっぷりの笑みをたたえて。
れっぱは,すぐ,座席に立てかけておいた木刀を手に身構えた。しかし,身構え終わるか終わらないかの間にもう,真っ黒い髪の男は目の前まで来ていた。右腕に巻き付いた,蒼い鷹のような物体の口の部分に,弾丸を装填して打ち出した。
「Kill!」
0.2秒後。
車両の後ろ半分の座席はキレイさっぱり吹き飛んで,最後部の車掌室があった部分には大きな穴が,ぽっかりと口を開けていた。もちろんれっぱの姿は見えない。

(夢の中・・・バーン編)
朝、豪華な朝食が出る。昼、静か(寝てる?)。夜、『秘密・カジノ』開催。
朝「うわーい!お子様ランチだぁ―!」らんっららん!
昼・・がぶちょ!もりもりもしゃもしゃ。
「うわぁーくわれるー!」
ハムスターくわえた野良猫、追っかけてーサンダルで駆けてく愉快な徳みさん。うなぎが待ってるー、キャベツも待ってるー。るーる、るるっるー。今日は特上だー。
夜ぷ・・・プルー
「くーわーれーるー」
「壊れない壊れない」
一体,何の夢を見ているんだ。コイツは?

0話 悪
三悪人
忍者男は列車を凧で脱出して空を飛んでいる。
「まずっただーよ」
その横を幼い女の子に運転をさせて,二人乗りをしているプルーバードのバイクが浮かんでいる。一番後ろからは蒼い羽根の男が飛んでついて来ている。
「あのですね・デルタさん!予定ではトンネルの出口で爆破だったはずですよね」
「うるさいガキだーよ!」
デルタと呼ばれた忍者は怒りながらも自在に凧を操って高度を下げていく。詰問口調なのはプルーバードの運転手兼付き人の杏子だ。
「先に行くぞ」
冷たい表情で後ろから追い越してきた。
「ぷうま・・・おめえさんも怒ってるんだーね?」
「それはそうですよね・ぷうま様?」

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