ハウス・ジャック・ビルト
おはようございます。
本日の映画感想は、ハウス・ジャック・ビルトになります。
2018年公開のフランス映画です。
殺しに芸術性を感じてその芸術を極めようとする殺人鬼のお話。
主人公ジャックは母親に言われるがまま建築技師になったが、建築家になる夢を捨てきれず、土地を購入し自力で理想の家を建てることにした。
しかしなかなか夢が叶えられない。
ある日、親切心から少し手助けをした女性に自分の自尊心を傷つけられ、思わず殺人を犯し、
そこから殺人にのめり込み、建築で表現しきれなかった芸術を殺害という行為で実現しようとする。
馬鹿らしく、恐ろしさと悲しさを感じながら鑑賞しました。
自分を信じることは大切だけれど、あまりに自信過剰で周囲から孤立してしまったら、常識的に馬鹿らしくて恐ろしいことも異常なほど求めてしまう。
彼が普通(家族がいて、友人がいて、精神も健康な状態)だったら、最後にあんな無謀な選択はしなかったしそもそも地獄に行くことなんてなかった。
だけれど、それでは、彼はどこでどうしたらよかったのだろう。
あの時女性を手にかけなかったら?
もっと建築に向き合って家を完成させていたら?
わからないし、彼にもわからなかったからただ自分の中に圧倒的に存在するたったひとつの欲求を満たすために生きたんだろう。
犯罪で、あとに罰しか残らないもので必死になる彼を正直滑稽だと思ったし、でも他に彼はどうすればよかったのかわからなくて、人生って恐ろしいなとも思った。
結末に関しては、私はジャックは良い意味であの選択をしたのではないかと思う。
楽園の景色を見せられたときに、初めて彼は自分の中にあった芸術や幸せの違いに気づいたんだと思う。
だから思わず涙したのではないかな。
そこで人生をやり直したくて、違う生き方をするためになんとしてでも上に行こうとしてあの無謀な決断をした、と思う。
あまりに無謀すぎてそこも非現実的な彼らしいけども。
人はひとりでは生きていけない。
誰かを尊重して、尊重されないと、間違った方向に進んでしまって、取り返しがつかないところまで行ってしまうのかもしれない。
私は平々凡々な人間だけれど、それに不満を抱くことも少なくないけれど、
本当はとても感謝すべきことだと知れた。
こちらの映画、割とというかとても殺害シーンがあり死体も集合するので、苦手な方は鑑賞注意ですが、
芸術を追い求めるストーリーでもあるので、カメラワークやセットは美しくそちらだけ観てみても良いかも知れません。
ではまた~
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