蛇は楽園を許さない

 賑わう露店通りを行く旅の男女の集団がある。男女といってもその構成比は男1に対して女5。純朴そうな青年と5人の少女達。

 「先頭の男は、俺達の界隈では勇者サマと呼ばれている」通りに面した酒場の二階、二人の男が窓際の席から集団を窺う。「なかなかやるらしいがよくわからん」

 青年は女剣士から何やら窘められている。「賞金首が裸足で逃げ出す、大陸最強と噂される若き剣聖サマだ」

 真面目そうな女騎士と白いローブの少女が談笑している。「騎士と聖女は見覚えがあるだろ?聖騎士団副長と大神殿の秘蔵っ子だ」

 雑踏が途切れて青年の両脇に背の低い二人が見えた。「帽子の方が大魔導の孫。手を繋いでいる田舎娘はよくわからんが魔神の秘儀を使うらしい。聖騎士と聖女仕事しろよな」

 「あの小娘は初めて見るが…カタギじゃないな」いつの間にか青年の前には冒険者風の少女が歩いている。

 「情報より一人増えていたがまぁ頑張ってくれ、【英雄狩り】」

【続く】