泣ける恋と、泣けない恋

元カレと付き合う前、3人の理想的な男性に出会った。会うたびにドキドキして、会えるだけで嬉しくて。結局うまくいかなくて離れることになっても、涙は出なかった。悲しかったけど、泣けなかった。不思議なことに。

でも今回はどうか。めちゃくちゃ泣いている。思い出が走馬灯のように駆け巡って涙が溢れる。未練がましく連絡して、結局口論になって。また泣いてしまう。

幸せな瞬間が何度もあった。誕生日、旅行、記念日、朝ごはんを買いに行くまでの道のり、夜の散歩。なんで思い出はこんなにキラキラしてるんだろう。何気ない日常に幸せが溢れていた。

4年付き合った人と別れたときもそうだったな。自分から別れを切り出したけど、会えなくなるのが悲しくてずっと泣いていた。できれば友達として関係を続けたかったけど、もう会えなくなってしまった。

二人とも、はじまりはそんなに好きじゃなかったのになぁ。理想とは思わなかった。なんなら逃げ道だった。仕事で疲れ切った私を褒めてくれる人。恋愛で疲労した私を癒やしてくれた人。そんな、二人。

理想的な人たちに振られても泣けなかったのに、理想的じゃない人たちとの別れは涙が枯れるくらいに泣いた。

形はどうあれ、愛されている自覚があったから、そんな人が自分の前からいなくなると世界の終わりのように感じるのだ。寂しくて寂しくて、恋しくて。

別れが訪れたとき、泣けない恋は偽物だ、って思う。今なら。だから、今後はひとつの基準としよう。こんなに辛いならもう恋愛なんてしたくないけど、するんだろうなー。懲りもせず。

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