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#3 君は綺麗だ

前回の続き。


恋人が現れた。

「おまたせ」

「これあげます」

ガムをくれた。
最後の最後まで君は優しいね。

「はい。どっちかあげる」

僕は飲み物を渡した。
君がくれた優しさ


二人で車に乗る。

白いシャツにデニムのスキニーを履いている。
朱く塗った爪にお洒落なサンダル。
すらっとした脚がよく見える。
やっぱり君は綺麗だ。

「爪塗ってる、綺麗だね。
 サンダルもよく似合ってるよ」

「さっき塗ってきました。
 サンダルはおさがりです。
 履いてないっていうから貰ってきました」

いつも通りの会話。
行き先を設定してコメダ珈琲へ向かった。

「コメダ珈琲行ったことないかも」

「東京に住んでるのにないんですか?」

「カフェはあんまり行かなくてね」

「コメダ珈琲って量が多いですよ」

「あ、それってコメダだったんだ。
 俺はいいけど、〇〇ちゃん食べ切れないね」


15分程してコメダ珈琲に着いた。
しかしお店は満車で、店の前で待つ人もいた。

「どうする?違う方行く?」

「そうしますか」

行き先を設定し直して再出発。
僕は何も言わずにback numberを流した。
静かに曲が流れる。


10分程でもう一つのコメダに着いた。
こちらは空いていた。

入店して席に着く。周りは静か。
ああ、この静かな空気の中で僕らは引き裂かれるんだな。
メニューを取って恋人に見せる。

「迷うね」

「これ美味しそう」

「確かに。どうしようかな。
 これかこれがいいな」

「美味しそうだけど、一人で食べるには多い…」

「これ二人で分けない?」

「そうしましょっか。
 私サラダ食べます。サラダ頼みますか?」

「あ、うん。俺も食べる」


注文のベルを鳴らす。
店員さんが来る。

「ピザトーストとミニサラダを二つください」

「コーヒーは後から注文できますか?」


料理が来るまで待つ。

「〇〇ちゃんが指輪してるの久々に見た」

「久々にしました」

恋人は指輪を外して見せてくれた。

「ここにダイヤが入ってて」

「わっ、小さい」

「この数字が大きさを表してて」

「え、どれどれ」

「こんなにちっちゃいから
 すぐに吹っ飛んじゃうんですよ」

仕事の話をしてくれる。恋人楽しそう。

「つけていいですよ」

「え?つけていいの?」

はあ、期待すんな。
無意識に薬指に入れてしまった。入らなかったけど。

「小指しか入んないや」

「男の人には小さいですね笑」


続く。

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