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#4 二人の空気

前回の続き。


話しているうちに料理が届いた。

「これ、フォークだけじゃ…」

「これ、ナイフ欲しいね」

「すみません」

「あの…………ナイフ2本いただけますか?」

「今ナイフって単語が出てこなかった。
 フォークって言おうとしてた笑」

「喋んないなって思ったんですよ笑」

各々ピザトーストをナイフで切り分けて取る。
美味しい。
サラダのドレッシングは2種類。

「こっちのドレッシング、なんだろう…
 あれ、食べたことある味」

「食レポ2点ですね」

「こっちのドレッシングは…
 しょっぱいですね」

「俺もかけてみる…
 あ、確かにしょっぱいね」

サラダを食べつつピザを食べた。

「味に飽きたので味変します」

君はタバスコをかけた。
辛いもの苦手なくせに。

「辛い…かけすぎた」

「俺もかけよー」

二人でピザトーストを食べ切った。

「食べたらお腹いっぱいになっちゃいました」

「少し休もっか」


食べ終わってしまった。
あとは話をするだけだ。

とりあえず恋人のお腹が落ち着くまで待つ。
それまでだらだら話をすることにした。


「シルバーって本当に安いんですよ」

君は現在の金の値段、プラチナの値段、銀の値段を携帯で調べて見せてくれた。

「金がこの値段なのに銀はこれだけなんですよ」

「シルバー本当に安いね」

「ぼったくりなんですよ」

「売る側からしたら助かるね笑」

「それはそうですね笑」

「買うなら金がいいですよ。
 価値が下がらないし…
 なんなら上がると思います」

「勉強になったよ。ありがとう」

「この仕事就いて、
 こういう知識が身についたのは
 いいことだな〜って思います


恋人、楽しそう。
そうそうこの空気。とても落ち着く。
いつも通り。いつも通りなんだ。
君はいつ話を切り出すんだろう。

「お腹休まるまでもう少し休もっか」

僕は話を切り出されるまで待つ。
やがて恋人が言った。

「そろそろ出ますか?」

えっ?ここで話するんじゃないの?

「出る?? 本当に出て大丈夫?」

「大丈夫ですよ」

僕らは会計を済ませて店を出た。
そして恋人が言った。


「やっぱり会うって大事ですね。情緒不安定」


恋人の中で何かが変わったみたいだ。
二人で車に乗り込む。

「うーんと、どうする?
 お家帰る…?それとも宝石博物館行く?」

「宝石行きましょう」

いくんかい。まあ、いいけど。


続く。

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