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#7 カード占い

前回の続き。


恋人は何か一つアクセサリーを買って帰ることにした。

「何か買ってホクホクして帰りたいですっ」

こういうところも可愛い。
何を買うか迷っていると、無料でカード占いをしてもらえるコーナーを見つけた。

「これ、やりたいです」

恋人は占いでどの宝石を買うか決めるつもりみたいだ。
僕はお店の人を呼んだ。
テーブルに着いて占いが始まった。


「カードを一枚引いてもらいます。
 何か悩んでいること、占ってほしいこと
 一つ心に決めて、それだけを考えて
 カードを引いてください」

僕は急に現実に引き戻された。
君の悩みは、仕事と僕と浮気相手だ。

「どちらが先になさいますか?」

「そしたら僕で」

僕は【自分の幸せ】を考えた。
僕はどの道を選んだらいいんだろう。
【恋人の幸せ】が自分の幸せでもある。
いいや、もう【二人の幸せ】にしよう。

僕はカードを引いた。
【ストロベリークオーツ】
【Lovely 愛らしさ】
と書いてある。本の説明を読んでも少女漫画のような甘酸っぱいことしか書いていない。あまりあてにならないカードを引いてしまった。



「どうでしたか?」

店員さんの問いに対して、

「はい、そうですね、楽しいことを
 見つけていこう…っていう感じですね」

なんて変な回答なんだ。
次は恋人の番だ。
君は何を考えてカードを引くんだろう。
僕と別れるべきか、新しい人と付き合うべきか。
それとも仕事のことか。
僕は不安で黙り込んでしまった。

恋人がカードを引く。
一体何のカードだろう。
横目で見ると【ラピスラズリ】だった。
【Creativity 創造性】と書いてある。

「私これでした」

「え、見ていいの?」

本の内容を見せてくれた。
「本当に必要なものがおのずと見えてくるでしょう」みたいなことが書いてあった気がする。
君に本当に必要な人は誰なんだろう。


占いをした後は、性格診断を行なった。性格にあった色の宝石をおすすめします、という診断だ。

記入する紙が一枚しかなかったので、
二人で順番に行なうことにした。

恋人が先に記入する。
診断結果は青だった。

次は僕だ。
恋人の記入した内容が分かってしまう。
ああ、恋人はこれ×だけど僕は〇だな。
診断結果は緑だった。

最終的な色は違えど、僕も恋人も概ね同じような結果だった。

「だいたい同じだね」

「●●さん、
 絶対これ〇だろうなって思ってました笑」

「そうだね、これは〇〇ちゃんと違うね笑」

君は僕のことを知っている。
この8ヶ月間で知ったんだ。


恋人はラピスラズリのネックレスを買うことにした。ラピスラズリは青い宝石で、邪気を払って仕事運や健康運を向上してくれるらしい。君にぴったりだ。

「これで守ってもらいます」

「守ってくれるといいね」

会計を済ませた恋人はさっそくネックレスを身につけた。
落ち着いた青が君によく似合っているよ。


満足した僕らはお店を出た。
外はほんの少しの小雨。
これだけ充実した時間を過ごしたのに時間はまだ15時半。

「まだ15時半なんだね」

「私宝石博物館って聞いた時、
 駅前のところだと思いました」

「確かに駅前になんかあったね」

ジュエリーミュージアムショップという場所がある。

「まだ時間あるけど行ってみる…?」

「折角だから行きましょうっ」



最後のデートはまだ続くみたい。


続く。

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