見出し画像

#10 仲直りお好み焼きに来た

前回の続き。


道頓堀に着いた。
君とここに来るのは2回目だ。
店員さんに案内されて奥へと進んでいく。
席に着いて二人で好きなお好み焼きを注文する。

恋人が鉄板を写真に収めた。
「今Kに『仲直りお好み焼きに来た』
 って送りました笑」
恋人、なんか嬉しそう。

ほどなくしてお好み焼きの素が運ばれてきた。
混ぜて混ぜて鉄板に流す。
焼けるまで待つ。


「ごめんね、俺の誕生日タイミング悪くて。
 プレゼント買うかどうか困ったでしょ。
 プレゼントもう買った…?」

「買いましたけど、来週の木曜日までなら
 キャンセルできるようになってました」

「そっかそっか」

「もうその心配はしなくて大丈夫ですよっ」

僕は思わず顔が緩んでしまう。

「なにニヤニヤしてるんですか」

「まあ、いいじゃん」


お好み焼きをひっくり返す。
他愛のないことを話しているうちに
お好み焼きが焼けた。

僕は箸を取ってあげた。
君はソースを取ってくれた。優しいな。

お好み焼きを切り分けて食べる。美味しい。
こんな風に笑ってお好み焼きを食べていられるなんて。平凡な奇跡が目の前に広がっている。


「次何食べますか?
 もんじゃ焼き食べたことありますか?」

「昔食べたことあるけど、
 最近は食べてないな」

「じゃあもんじゃ焼きにしましょうっ」

恋人、なんかご機嫌。
もんじゃ焼きの素が運ばれてくる。

「もんじゃ焼きってどうやって焼くんだろう
 お手本見てもいい…?」

「いいですよ」

「ありがとう、お願いします」

恋人が焼いてくれたもんじゃ焼きを二人で分けて食べた。二人ともお腹いっぱいで満足だ。


美味しい匂いを洋服に纏って家に帰ってきた。
すぐにお風呂に入ることにした。
先に恋人がお風呂に入る。

ベッドの上に恋人の携帯がある。

恋人がお風呂に入ってる間、
携帯を確認することもできた。
でも今の穏やかな自分の気持ちを
揺さぶりたくないと思って見なかった。
このまま平和でいたいと思った。


恋人がお風呂から上がる。
いつも通り、シャツだけ来て下は履いていない。

「暑いんですよ
 下履いてないけどいいですか」

君の綺麗な白い脚が僕を唆る。

「いいよ」

「さすがに下着は履いてます」


次は僕の番……と思ったけれど
ここで僕は気づいた。

「あの、いつもみたいにお風呂入って勝手に泊まる流れになってた……俺、あれだったら帰るよ。そのつもりで来てなかったから」

着替えやバスタオルはあるけれど、これは一人旅をしようと思っていたから。パジャマはない。

「別にいいですよ」

「〇〇ちゃん用事とかない?
 ゲームとか大丈夫?」

「いいんですよゲームは。
 いつでもできるので」

「わかった、ありがとう。
 お風呂いただくね」


お風呂から上がって
僕らはベッドに腰掛けて動画を見た。
ぴたりと横にくっついている。
恋人が近い。好意が伝わってくる。

しばらくして洗濯機の回り終わる音が聞こえる。

「めんどくさいです…」

めんどうがる君が好き。


洗濯物を干した後、ベッドに入って二人で動画を見た。のんびりする時間が好き。
そしていつも通り、繋がらないで恋人だけ果てる夜を過ごした。

「久々にしました…」

「前はいつしたの?」

「覚えてないですよ笑
 ルナルナじゃないんですから笑」

シャワーを浴びてベッドに戻る。
午前2時。
今は恋人がシャワーを浴びている。

ベッドの上に恋人の携帯。
さっきは見なかった。
でもやっぱり気になる。
魔が差した僕は恋人の携帯を見る。


元彼とLINEしていた…


続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?