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#12 そういうことになってます

前回の続き。


僕が一番書きたかった話。


夜景を見た僕らは家に帰ってきた。
すぐにお風呂を済ませ、いつも通りこたつに入って、お互い撮った写真を整理して送り合う。

いい具合に疲れた僕らは布団に入った。

あまり覚えてないんだけど、
たぶん僕が早々に恋人のベッドにお邪魔して
ハグをしたんだと思う。

そのままキスしていちゃいちゃして
落ち着いた頃。

その時のことは眠いからあまり覚えていないんだけど、なんとなくで書く。

(前置きしておくが、恋人のお母様は僕のことを「お兄さん」と呼んでいる)




恋人がベッドに横たわっている。
僕もそれに寄り添うように寝ている。

「人は弱った時に間違った選択をしやすくなる
 って思ってるんだけど、
 それで言うと俺は、〇〇ちゃんが弱ってる時に
 声をかけたことになるよね笑」

僕は、恋人が仕事で辛い時に声をかけた。
同時に彼氏との関係もよくなかった。

「私も初めは間違ったと思いました。
 でも今は大大大正解でした」

君と出会った時はまだ前の人と別れられていなかったから、君を不安にさせてしまった。
「また、彼女持ちの男 or 元カノに未練タラタラの男と恋愛をする。しかもこの人2回目」なんてことを思ったんだろう。


前にも同じような話をした。
松本に行った日の帰りだ。

「初めは信じてませんでした」

「〇〇ちゃんが疑うのはあたりまえのことだよ。
 昔のこともあるし……
 だから信じてもらえるように
 ただただ行動するしかなかった」

「行動でもう十分すぎるくらい伝わりましたよ」

こんな会話していた。
さて、話を戻そう。



僕はベッドで眠そうにしている恋人の顔を見つめて言う。

「まだ半年しか経ってないんだよ…
 俺のこと、ちゃんと見極めてね」


少し間を空けて恋人が言う。

「お母さんが
 『〇〇はお兄さんと結婚するんだね〜』
 って言ってました。
 『お兄さんにしておきな〜』って。
 お母さんの中ではそういうことになってます」

そういうこと。そういうことになっている。
そういうこと……


僕も少し間を空けて言う。

「先月帰省した時、お父さんと
 兄ちゃんの彼女の話してたんだ。
 いつ結婚するのかなって。そしたら、
 『●●は〇〇ちゃんとどうなの?
  もう出会って結構長いんだろ?』って」

「それでなんて言ったんですか??」

「確かに出会って5年経つけど、
 付き合ってからはまだ半年も経ってないよ。
 まだまだだよって」

「それで終わりですか?」

「うん」


「……そうなれるように頑張るよ」

「どういうことですか…?」

「そういう未来になれるように、
 ふさわしい人になれるように頑張るってこと」

「……ふさわしくないと思ってるんですか?」

「ううん。
 ふさわしくないなんて思ってないよ。
 自信がないとも思ってない。
 ただ、そうなればいいなって思ってる。
 俺は、そう思ってるよ…」


恋人がこっちを見て言う。

「俺も、でしょ?」

この一言が僕を刺した。

僕は恋人に3回キスをした。
眠たかったから騒ぐこともなかったけど、
ただ嬉しくて、ほっとして、胸がじんわりした。

そうなったらいいな、じゃなくて、
そうなってもいいんだって思えた。

多分もう不安になる必要はない。
正しい行いをしていれば。
選択を間違わなければ。
ただただ僕は毎日君を守るだけだ。


続く。

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