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連続小説 遥の花

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以前から書いている小説、「サザエさん」のように、一話おおよそ完結の連続小説です。
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大雑把な解説と登場人物紹介

以前から書いている小説、「サザエさん」のように、一話おおよそ完結の連続小説です。 誤字脱…

am0329
4年前
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遥の花 月の竹 眠るモノ 一話

遥の花 月の竹 眠るモノ 一話 「あさぎ姉さん、お腹減ったよ」 黒がばたばたとあさぎのいる…

am0329
4年前
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遥の花 月の竹 眠るモノ 二話

遥の花 月の竹 眠るモノ 二話 朝まだき、空気がしんと静まり返っている。 男と黒は、朝の空…

am0329
4年前
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遥の花 月の竹 眠るモノ 三話

遥の花 月の竹 眠るモノ 三話 「先生、見回りに行こうよ」 黒が夕食後、男に言った。 「でも…

am0329
4年前
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遥の花 月の竹 眠るモノ 四話

かぐやのなよたけの姫、危機に陥るかも 月曜日 18 7月 2011 at 6:49 pm. 男は、夕刻、茶店の…

am0329
4年前
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遥の花 撃 一話

「あれは」 男が小さく呟いた。 夕刻、中学校から帰る白の姿だ、友人だろう、同じ制服を着た女…

am0329
4年前
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遥の花 撃 二話

あかねが背中の女の子をのぞき込む。すやすや眠っている、小学校二、三年か、ただ、幸の子供の頃は間違いなく、こんな美少女であったに違いないと思う。そう、幸姉さんにそっくりだ。 「どれどれ」 なよは疲れ果てたように呻くと、立ち上がり、男の背中をのぞき込んだ。 「あぁ、あ」 と、なよは思わず声に出す、そして、大きく溜息をつくと、いきなり、女の子の頭をすこんと右手ではたいた。 「狸寝入りするな、幸」 「ててっ、ごめん、なよ姉さぁん」 子供になってしまった幸は照れ笑いのような表情をなよに

遥の花 漣一話

「しょうがないな、出るか」 深夜、幸は呟くと椅子から立ち上がった。 夕食の後、鬼紙家から遣…

am0329
4年前
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遥の花 漣 竹林にて

両腕を組み、鼻歌など口ずさみながら竹林の小径を歩く。 黒と三毛を従え、なよはにかっと嬉し…

am0329
4年前
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遥の花 漣 二話

梅林の中央、幸は漣を見上げると、にっと笑った。 「本当に漣の親父が望んでいるのかどうかは…

am0329
4年前
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遥の花 漣 三話

漣は驚いて、その光景に見入っていた。 幸が蹲って泣いていた。 「お父さんのお茶碗、割れちゃ…

am0329
4年前
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遥の花 漣 四話

血だらけになった男を仰向けに寝かせ、幸は豊饒の歌を囁きながら、その体に両手を入れる、男の…

am0329
4年前
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遥の花 漣 五話

各駅停車の電車、七人がけの椅子の中程に、漣、その両脇を幸とあかねが座った。 約束の日の一…

am0329
4年前

遥の花 蛇足 かぬか びびる

本来、術者は行くことができない、正確には術者がなんとなく避けてしまうよう、難しい術が一帯に施されている。避けられるかもしれない面倒ごとは、あらかじめ避けるのが賢明だ。 かぬかは駅の改札を降りて、ほっと吐息を漏らした。幸い、かぬかは無の術を少し教わっているため、結界が見逃してくれたのだろう。幸の手書きの地図を見ながら、ここまでやってきたのだ。しかし、駅からの地図はない。つまりは書いても無駄なのだ、駅前商店街魚弦の佳奈さんに案内してもらうようにとある。 かぬかはほっと息を漏らすと