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詩集 #1

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スーパーハッカーになれなかったわたし、インターネットには文字を残しておきます。デジタルで書き記す言葉のファイリング。(横書き)
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2020年5月の記事一覧

素敵な人々

露出計の壊れたそのカメラでも 完璧なシャッター速度で 狂った被写界深度を合わせ 三原色の諧調が255段を超えるか または0を下回るかして 写したそんなフィルムでも あなたは持ち前の感性で この現実の断片を切り取って 一枚の写真に、 仕上げてしまうのでしょう 思い出をたくさん 鳶色のものから、虹の光まで 電子の砂浜やいろいろな机の 引き出しに、しまっているのでしょう そこには未来から流れてやってきた メッセージボトルの中身なんかも 混ざっているのだと聞きました 私は生まれつき

無題 AM 3:56

一瞬の明滅にガラス瓶が色を忘れた。 暗闇のなか、極度の乱視・近視の裸眼でさえ とらえる一瞬、透明の喪失。 2019年5月23日

昨日と今日と、遥か未来

リルケの真の薔薇の棘にさされて、 白血病が急に回復、サナトリウムを脱出したあとの冒険 100歳までの大往生で、絶筆を残しこの世を去る そういう人生 柳の木に登って落っこちたオフィーリアが 自身の災難もわからないまま、と見せかけ ただ花と一緒に穏やかな川に浮いて、器用に眠っているだけ そういう私 ああ、なんてひどい人なの 愛した女が昔寝床で私に言った あの時となにも変わってやいない いつの間にかもう大人にはなったが 私の心は いつまでも無邪気な少年のように 自由な言葉で、