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詩集 #1

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スーパーハッカーになれなかったわたし、インターネットには文字を残しておきます。デジタルで書き記す言葉のファイリング。(横書き)
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素敵な6月

たくさんの愛と祝福を受けた 何かが違った6月だった 15日、シグという画家に出会った 初めて会ったその日 私たちは恋人になった 恋に落ち、海へ潜るのは久しぶりのこと いつか商店街で17歳の自分とすれ違うことがあれば「スマッシング・パンプキンズのシャツが似合う美しい女性と付き合っているよ」と、教えてあげたい たぶんひねくれた私は エヴェレットの多世界解釈やらを言いながらも、5年先への期待を隠して抱いて目を輝かせるだろうね 愛は破壊する いま愛が私を蝕んでいくのがわか

恋に落ちたら

えっと、 なにも言えなくなっちゃうね、 心はドキドキうるさいけど

素敵な人々

露出計の壊れたそのカメラでも 完璧なシャッター速度で 狂った被写界深度を合わせ 三原色の諧調が255段を超えるか または0を下回るかして 写したそんなフィルムでも あなたは持ち前の感性で この現実の断片を切り取って 一枚の写真に、 仕上げてしまうのでしょう 思い出をたくさん 鳶色のものから、虹の光まで 電子の砂浜やいろいろな机の 引き出しに、しまっているのでしょう そこには未来から流れてやってきた メッセージボトルの中身なんかも 混ざっているのだと聞きました 私は生まれつき

怖い雨が降ったらいいな

みんなそれぞれのスピードで変わっていく ぼくと君は今、加速度0でゆっくり歩く 速度記号 bruciante : 「タバコが短くなってゆくのと同じテンポで」 今日は6月の雨足に合わせて。 軒先やたら強く吹き込む風の隙間を狙って火を点ける ざー、びゅうん、ざー、ぼっ、すぅ、ふゥ。ざー 気候変動でこの数年 スコール気味に降る雨に ちょっと惹かれて、道に出てみる わざと撃たれる 血は出ないよ、安心して …もしかするといつか 濃硝酸と濃塩酸の 怖い雨が降るかもしれない NO

無題 AM 3:56

一瞬の明滅にガラス瓶が色を忘れた。 暗闇のなか、極度の乱視・近視の裸眼でさえ とらえる一瞬、透明の喪失。 2019年5月23日

昨日と今日と、遥か未来

リルケの真の薔薇の棘にさされて、 白血病が急に回復、サナトリウムを脱出したあとの冒険 100歳までの大往生で、絶筆を残しこの世を去る そういう人生 柳の木に登って落っこちたオフィーリアが 自身の災難もわからないまま、と見せかけ ただ花と一緒に穏やかな川に浮いて、器用に眠っているだけ そういう私 ああ、なんてひどい人なの 愛した女が昔寝床で私に言った あの時となにも変わってやいない いつの間にかもう大人にはなったが 私の心は いつまでも無邪気な少年のように 自由な言葉で、

眠り

海の夢を見る 眠っているの、きみは? 眠り。 砕けちる波で、光の泡がまわる、 氷のように澄んで、音は無く、 ぼくらの目の中で。 目蓋の裏は赤色 耳たぶの穴は?

苦手科目

サイボーグはコーラを飲んで美味しいって思うのだろうか、 瓶の方がおいしいなっていつか気付くのだろうか レジスタンスが製造してる「ubik」って書かれた 不思議なスプレーを吹きかけたなら 死にかけの半生者も生きかえるらしいよ そもそもこの老人はどうして冷凍保存されているんだ 形態逆行なんだの言って、おれの知ったことじゃない 誰もユービックが神の偏在だとは気づかずに死んでいく サイエンスフィクションが好きなんだ、科学は苦手なんだけど サイボーグがコーラを飲んだ、数千年はあ

星に願いを

天使が頭上を遮った数秒間の沈黙のあいだ 僕はまた同じことを考えていた 悪魔が背中に纏わり付く数日間の孤独のなか 君もまた同じことを忘れていた 神様など存在しないのだから あの星に願いを込めて祈ろう その手が切り取られたら、 この花束を義手で渡そう いつも救済には形があった だいたいは波の形だった ほら、この円盤形のビニールも くるくるこれが回り始めたら そのふちにゆっくりと、 小さな針を落としてごらん その一瞬で景色が変わる。 うつむいてみても 仰向けになっ

一枚の写真

あなたは涼しそうな藍色の浴衣をはおり 紅いりんご飴を口のところへかざす 大勢の知らない顔が混じった中で、 私は一度立ち止まって、 そのほほえみを、カメラにとらえた。 その笑顔は何故かどんな感情より怖ろしく メスを躊躇なく突き刺すようにして 私の心の皮膚をひき裂いた。 この写真を見るといつも、その瞬間 過去は遥か現実を超え、 私は別世界へ、強制的にワープする! そこにはあなたがいて あの時のまんまの格好で 黒色の髪をなびかせ こっちを見て笑ってる。 他の誰で

夜、歪みの果て

歪み、果ての夜 あなたはシガーロス ぼくはブッチャーズ 逆さまの朝焼けを迎え撃つ ふたりは同じノイズを聴いた 4月終雪の街に生まれた魂は発熱していた あなたのこころ こころはずっと、 フランジングを繰り返し、テープを伸ばし、トレイルを辿った、そして5年後に少年がファズを踏んだ。その瞬間の引力で  空気が歪む スピードは変わる。 いまなら何処へでもいけそうだ 肩をたたく風のにおい 街に響くあなたの笑い þetta er ágætis byrjun! 最果てを

ファズの色

14

カッコいい曲、bpm108一小節分の長さでゆっくりけむりを吐く けむりも空気も、夜になってく

デートに行くなら

静かな海。冬でも夏でも、夕焼けが全てを覆い尽くすまで。テトラポットに座っておいしいビールを飲みたい。