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初級心理援助者の成長過程:3段階

■結論:治そう→分かろう→理解者になろう 

心理援助者の成長過程

 支援者の基本的な態度は「治そうとするな、分かろうとせよ」から始まります。

1.「治そう」として失敗する

 初学者のうちは、治そうとして失敗します。来談者の悩みや迷いにたいして、頼んでもいないのに解決策を提示しようとするからです。これでは、次から来なくなってしまいます。来談者の無力感が強調されるからです。

この現象は、専門的には「同情的友人」といわれる段階の特徴です。自分がどう関わるかに集中していて、自分が関わったあとに相手がどうなるのか、どうなったのかについては、関心が薄い傾向があります。 

2.「分かろう」とする

 専門家の訓練課程がはじまると「治そうとするな、分かろうとせよ」と教わります。同情的な友人の段階を超えた、初級援助者の誕生です。

初級の援助者は、治そうとしないで、来談者のことを分かろうとすることで、的はずれなアドバイスや解決策の提示を減らしていき、自分が他人事に関わる責任を自覚して、事後にまで視野を広げることができます。

3.「理解者になる」

 次の課題は、来談者のことを理解できないという悩みです。

治そうとしないで、傾聴して非指示的に話を聴いていても、来談者のことを理解できない、という壁にあたります。

初級援助者の多くはこの段階で、ベテラン援助者の指導を受けるのですが、そこで強調されるのが、「分かろうとする」から「理解者になろうとする」への移行です。

心理援助のゴール

 では、理解者になるにはどうすればいいのでしょうか。

①相談者が以前よりも元気に暮らせるようになること
②また相談に乗れるような好ましい人間関係に近づくこと
③相談者と助言者が以前と変わらない日常の関係に戻ること

これら心理援助のゴールから逆算して、援助者としての態度を選択するといいようです。

参考:『相談の心理学―身近な人のよき理解者・助言者となるために』

著 者:福島脩美
出版年:2011年
出版社:金子書房


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