日本代表に見る「意志決定」プロセスと、No.2理論-ベルギー戦を前に色々分析してみた-

今まさに盛り上がっているFIFAワールドカップ RUSSIA 2018 日本代表を考察してみました。
明日の試合が楽しみなのと先日の采配に色んな声がある中で昔のデータを休みなので拾ってみたら面白かったのでnoteにしてみました。

まず、今回の日本代表のコーチングスタッフは史上最強だということを皆さんご存知でしたでしょうか?この辺りに今回の躍進の鍵があるのではないかと思ったわけです。

大会前の解任劇がなければどうなっていたか分かりませんが、今回のコーチングスタッフは間違いなく歴代最強です。こちらは歴代のワールドカップに参加したときの監督の指導歴をまとめたものです。

ご覧いただくと気付くのは、やはり成果の出た2002,2010年というのは監督の経験値もクラブレベル、代表レベルの指導がしたことがあるという意味では図抜けています。そして今回のロシアでのサムライブルーを率いる西野監督もクラブでは歴代最高の勝数、フル代表での指導はないですが、マイアミの奇跡で有名なアトランタ五輪では、28年ふりに本大会へチームを導くなど監督しての胆力はそもそもお持ちなのです。

そしてここでもうひとつのデータとして、チームのコーチングスタッフをまとめてみました。

コーチングスタッフとして何名体制でやっていたかも確認いただきたいのですが、成果を出している大会についてはしっかりと2名体制での布陣で臨んでいます。ここでユニークなのが2010年の南アフリカと今回の2018年のロシア大会のコーチングスタッフの経歴です。それ以外のチームはコーチは就任時点で監督未経験者、もしくは代表コーチの経験はあるが、クラブチームでの仕事をしたことのないメンバー構成になっています。

(※勝敗数はいろんなところから情報集めました)

世界をあっと驚かせたチームのコーチはみな監督経験者であります。そして、特筆すべきは今回のロシアのチーム編成では監督しても一番脂の乗っている状態の2名(森保さんと手倉森さん)が西野監督の脇を固めているということになります。

どんな組織でも素晴らしい意志決定が出来るリーダーの近くには優秀な2番手がいると言われます。新卒で勤めた会社の尊敬する先輩から一番最初に言われたのもこれ。まずは徹底的に優秀な2番手になれと。
中国でも天下をとる大将軍のそばには優秀な参謀がいるわけです。日本代表に目を移すと、2010年では大熊さん、今回は上記の2名が大将である監督をフルサポートしています。
先日のポーランド戦については様々な感想があると思いますが、今回はそこに至るまでの意志決定プロセスについて想いを馳せると、一世一代の博打に出た西野監督の気持ちに近づけるのではないでしょうか。私はこの体制がそれを可能にしたのではないかと考えました。

最終的にどの戦術にするかを「決める」のは監督ですが、そこまでにどれだけたくさんのデータを集めて、様々な場面のシュミレーションをし、必要なタイミングで、最も精度の高い提案を持っていけるか?勝負の世界では、ここに全てがかかっていると言っても過言ではないとおもいます。そして、今回のケースでいうと自身でも”非常に質の高い意志決定”が出来るであろう元監督の優秀なコーチが、戦前から、そして戦いの最中にも随時情報を集めながら、全てのシュミレーションの結果、あの「プロセスを犠牲にした結果」を追求する”判断”から、あの時間に両軍の選手全員にメッセージを伝えるための長谷部選手の投入という”決断”に至ったのではないでしょうか。

名参謀の条件として以下の7つのポイントがあるそうです。

1.情報を集める
2.情報を分析する
3.情報の中から問題点を取り出す
4.取り出した問題点について考察する
5.考えた結果「解決策」として、複数の選択肢を用意する
6.この選択肢に意見をつけて、決定者に提出する
7.決定者の判断を促す

名参謀や名軍師の仕事は、選択肢の提供までであって、絶対にトップの固有の権限である「決断の領域」に踏み込んではならないということを、森保コーチ、手倉森コーチは自身の経験から理解し行動されているのではないでしょうか。

サッカーの話をしていたのに、気がつけば思い切り組織論になってしまった。
明日、優勝候補筆頭のベルギーと対戦する日本代表を、ベンチワークについても目をくばせながら、応援出来たらと思います。

というわけで弊社では名参謀になりたい人、名軍師の仕事の仕方を学びたい人を絶賛募集しております。

頑張れ、ニッポン!

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