見出し画像

雪山を初山岳サイクリングした振り返り

■序文
2023年1月6-8日の3日間、雪山を山岳サイクリングした。まだ小雪だった事、道が林道だった事、人気ルートゆえ道がある程度出来ていると推測したからである。

■スケジュールについて
しかしながら、私は輪行である。車なら早朝スタート可能だが、現地駅までに11時到着であり、登山口までライドするにも昼を過ぎる。明らかに日没を過ぎての到着となる為、余裕あるスケジュールを組むべく初日は旅館、二日目に山岳サイクリングを行い、三日目に下山とする事にした。

■実際のスケジュール
一日目 松原湖駅→稲子湯旅館
二日目 稲子湯旅館→本沢温泉登山口→本沢温泉キャンプ
三日目 本沢温泉キャンプ場→本沢温泉登山口→松原湖駅

■一日目
松原湖駅から松原湖までは路面は9割以上がアスファルトであり、特に支障は無かった。日陰が一部アイスバーンだったくらいか。Schwalbeのウインタープラス35cはアイスバーンや硬い積雪ならスイスイ走れた。
稲子湯旅館までは獲得標高約500mだったが、時折撮影しながら休憩もしていたら、坂も特に苦はなく順調に稲子湯旅館に到着できた。

稲子湯旅館

■二日目スタート
朝8:00に稲子湯旅館をスタートし、本沢温泉登山口へ向かう。やはり道はアスファルトかアイスバーンが主であり、順調に朝9:00には登山口へ到着した。
登山口から本沢温泉へは約6kmで、最大3時間と予測していた。休憩を数回と撮影をしたりする余裕ある時間で計算した。
道はかなり広く、夏場は4WDが走れるほどだと言う。ただ日陰が多く、この日は風がかなり強くて上下ハードシェルで歩いた。大半が押し歩きで済む道の広さだ。雪も浅く、正直ゲイターは不要。硬い雪や一部氷や剥き出しの道が硬いので、チェーンスパイクを装着した。

片足90gのULなワイヤースパイク

結果、13時に本沢温泉へ到着した。優先順位としては野天風呂だった為、まずは荷物を本沢温泉へ置き、愛車を担いで野天風呂へ向かう。

■日本最高処 野天風呂 標高2,150m
野天風呂は満員だった。裸の男性陣と水着の女性陣。そこへ自転車担いだ私がいきなり現れたわけだから、全員の視線が私に向く…が知らないフリして空きを待つ。野天風呂の待ち時間も風は強くて結構寒くて堪えた。そのうち二名が素っ裸のまま女性陣がいる前で着替えて立ち去った。私は寒さに我慢できず、一声かけて足湯とさせて頂いた。

実際には6名ほどいらっしゃった

かなり熱いと聞いていたが、足湯でも風呂に足を入れたら足が痛い。慌てて足を引き抜き、おもわず「痛い…」と呟いたら、野天の場が和み始めた。女性が足湯に浸かる私を撮影してくれ、ある程度世間話をして和んだ後に皆さんに恐る恐る愛車と「日本最高処 野天風呂 標高2,150m」立て札の撮影をしてよいか打診したら快諾いただき、おまけに私と愛車の記念撮影までしてもらえた。登山者の気さくな皆さんに感謝感謝である。 

日本最高処 野天風呂 2,150m

■本沢温泉キャンプ場
その後はテント場に向かうが、もう良い場所は既に満員だった。天気予報で深夜が雪だった為、木から落下する雪がテントに直撃するのを防ぐべく場所を検討した結果、登山道傍に設営する事にした。

設営スタートで戸惑う。雪が3cm程度しかなく、かつ砂のようにサラサラでスノーペグは全く刺さらない。雪をかきわけると凍った地面が現れたので、無理やり石で叩いて通常のペグを刺して設営を行った。

やはり自立式テントが安心できる

設営は日頃と何ら変わらない。サクッと設営してテントのスカートに雪を被せて外気を遮断してからテント内に入り、ハードシェル上下を脱いで上はダウンジャケット、下はファイントラックのポリゴンパンツに着替えてテント内を整理し、最初のお湯を沸かした。

■食事
今回は固形燃料とマッチ。それに燃焼効率が良さげなW.R.Cookerを持ってきた。ガスバーナーは過去2回購入して2回とも初回で点火できずに痛い目に合ったので、使い慣れた固形燃料のDragonFireを使用した。既に夕方、-8℃だった為にお湯が湧くのが少しだけ心配だったが普通に湧いた。

熱々の生姜茶を一気に飲み干し、二杯目も沸かし始める。その後はカップラーメンを作り、既に暗くなり始めたので早めにシュラフ内に潜り込んだ。シュラフはインナーシュラフとシュラフカバーで暖かさを強化し、自身はアンダーウェアにベースレイヤーとミドルレイヤーとジャケット・パンツと重武装。それゆえか全く寒さは感じずに安眠できた。 

固形燃料でも雪山-16℃は充分いける

■就寝、起床
先達には寒くて深夜2時に起きてもそれなりに寝ておくよう、午後8時30分くらいには寝る事を推奨されたので睡眠導入薬を飲んで寝る。
起きたのは午前7時でぐっすり眠れた。が、妙にテント内に違和感がある。そう、内部が狭いのだ。インナーテントのジッパーを開けると前幕が雪で押し潰されていた。そう、深夜にそれなりに雪が降ったのだ。目測で約25cm程度だろうか。

雪で押し潰されかけた前幕

私はテント内全てを軽くはたき、雪を全て押し返した。感触からするにサラサラの雪だ。すぐにテントは元に戻ったので早速お湯沸かして、熱々のコーヒーで気持ちをシャキッとさせた。

■三日目スタート
撤収して下山するだけである。
課題は降雪で下山ルートに道が出来ているかだな…と思案しながら、ハードシェル上下に着替え始める。着替え終えて前幕のジッパーを開く。外を眺めると、眼前には愛車に雪がしっかり積もっていた。なんかテンションが上がった。

愛車に雪が積もる非日常が楽しい

一時間くらいでサクッと雑に撤収して、キャンプ場には愛車を残してリュックを担いで本沢温泉近くの休憩所へ向かう。休憩所は屋根付き、壁ありなので荷物を降ろして、下山用の白湯を作りながらリュックの荷物を丁寧に再パッキングする。

「いやあ、途中に自転車があったので驚きましたが貴方ですね?」
と気さくな初老の登山者が休憩所に入ってきた。白湯を作る時間、その方と雑談する。地元の方らしく土地に詳しい。
「やはり、今日は硫黄岳まで行かれるんですか?」
そう私が尋ねると、その方は山を指差し
「あれが硫黄岳です。ほら、山頂が荒れているのがわかるでしょう?うっすら山頂に雲がかかっているように見えますが、あれは強風で舞い上がっている雪ですよ。今日はもう下山です」
と答えた。その翌日、硫黄岳近くで遭難事故が起き、お亡くなりになった方がいたのは後日知った。
(注:私が登った八ヶ岳山域の硫黄岳と、お亡くなりになった方の北アルプスの硫黄岳は異なる山とのこと)

■下山開始
休憩所で話した方と一緒に下山を始めた。幸い、降雪はあったが人気ルートゆえに既にしっかり道は出来ている。
みどり池と本沢温泉登山口の分岐までご一緒して、そこからは一人で下山を始める。追いついたり、追い越されたり…と複数の登山者の方々が往来していたので何ら困る事は無かった。

そして無風の八ヶ岳ブルー。
本当に綺麗な空だった。少しだけ登山者の雪山を登る楽しさを理解した気がする。

澄みきった青空は最高のご褒美

■本沢温泉登山口
11時に車道に出た。薄々気になっていたが、やはり除雪はされていなかった。選択肢は3つ。
・真っ直ぐ進むなら登山道。稲子登山口入口に出る
・元来た稲子湯旅館方面。そのまた元来たルートで松原湖→松原湖駅へ向かう
・南下する。松原湖駅ではなく、海尻駅方面だ

やはり元来た道が一番無難だろうと判断した。もしかしたら、稲子湯旅館と松原湖までなら除雪もしているかもしれない…と淡い期待もして。

■帰路
幸いな事に既に車が通り、車が何度も走って踏み固められていたので、タイヤで固められた轍をなぞるようにライド開始。時折、タイヤ跡が複数にわかれて踏み固まっていない道はタイヤが雪で簡単に滑って何度も転びかけた。
やはり新雪やサラサラした雪では走りにくい。街に近づくにつれて雪は溶けたり、日陰はアイスバーンで逆に走りやすかった。

あまり積もってなくて幸いだった

■休憩、着替え
下山したのでまともに休憩したり、ライドしやすい装備に着替えたく店を探すが見つからない。シャトレーゼがGoogleMapで見つかり、電話で営業を確認した上で向かってみると、我が家近くのシャトレーゼとは異なり、イートインが充実していてカレーも食べる事が出来た。

やや物足りないボリュームゆえアップルパイを追加した

ここでランチをして着替えて、松原湖駅には15時半に到着。愛車を解体して輪行袋へ包み、16時半近くの小海線で帰路についた。 

■まとめ
トラブルぽいトラブルは何も無かった。
・無理なスケジュールは立てない
・急がない、登山者には道を譲ってゆっくり進む
・睡眠が一番大事なのはツーリングと変わらない
・-15℃の環境下ではキャンプらしいキャンプは出来ないので、必要最小限の活動に留める

以上が雪山の初山岳サイクリングのレポートです。順調過ぎた気もしますが、初回にしてはイメージ通り、かつ様々なYoutubeやBlogが参考になり、本当に難易度は昔より低いと思います。
ぜひ興味を持っていただき、雪山の魅力がたくさんのヒトに伝わるといいな゙…と思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?