【読書log】きょうのできごと

Repost:2021/03


「きょうのできごと」はいつのまにか「思い出」になっていく


一日のおわりに、その日起こった「きょうのできごと」を思い返せば、ぼんやりと客観視することはできるけれど、過去にするにはまだ生々しい
次の日の朝にも、昨日うまれた感情の残滓が澱のように存在していて、ふとした拍子にふわりと浮かんでくる

数日経てば「きょうのたのしいできごと」はすぐに、過去の物語として本棚に並べられる
「きょうのつらいできごと」は何年も心の底のほうに居座り続けてときおり、ここにいるよ、とあいさつを送ってくる


あるとき、ふと、すっかり顔なじみになった「きょうのつらいできごと」たちに「思い出」という名前をつけている自分に気づく


「つらいできごと」は、お行儀よく本棚に鎮座した「たのしいできごと」たちの隣に並ぶ
けれどそのころには「たのしいできごと」の背表紙はすっかり色あせてしまっている

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