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ミヤモトミヤ
2023年3月12日 21:58
土曜日の夕日が沈んだころ、最寄りの駅から電車に乗って街へ出る。大手葬儀会社の紙袋を抱えた喪服の老夫婦がくたびれた顔で座っている、その前に立つ。今日はどんな出来事が待っているだろう。吊革の感触を確かめながら、窓の外に視線を投げる。できたての夜に透過度50%のレイヤーで、自分の姿が重なっている。いつだったか、デート帰りのあの子は言った、「65点くらいの夜だった」と。それが彼女にとって