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【展示録】和食展

以前からずっと行ってみたかった国立科学博物館で和食展なるものをやっているのを知り、慌ててチケットを取った。そんな面白そうな展示、行くしかないでしょう。

外国人が「和食」と言われてまず思い浮かべるのは寿司・天ぷら・すき焼き等だろうけど、案外そういったTHE和食が日本の一般家庭の食卓に並ぶ事って少ない。名もなき炒め物や乾燥わかめのお味噌汁だって立派な和食。そんな和食のそもそもの起源から学べるとても興味深いエキシビジョンだった。

去年の朝ドラ『らんまん』にどっぷりハマっていたせいか、標本を見るとつい採集者に目がいってしまう。

植物には同じ種のなかでも個体ごとに葉の大きさや色、味などがばらつくという多様性がある。このことに気づいた人類が、野生植物から、より食材に適して効率的に栽培できる植物を人為的に作り出してきた結果、誕生したのが野菜である。

(中略)野菜は和食には欠かせない食材だが、実はほとんどが日本に自生しておらず、外国から持ち込まれた植物であることはあまり知られていない。

展覧会掲示より

全く知らなかった…!これ現代の子供達は食育という形で教わっているのかしら。少なくとも私は教わらなかったし、こういう事をもっと教えてほしかった、と大人になった今は思えるけれどどうせ学生時代に説明されてもまともに聞いちゃいなかっただろうな。大人になって学べるからこそ楽しいし身になるのかも。

1582年に織田信長が安土城で徳川家康をもてなした際の饗応膳の再現レプリカ。去年の大河ドラマ『どうする家康』を見ているから「ああ、あれか…」と胸が痛くなりつつ、信長のもてなしっぷりが面白くもある。

展示の最後に日本人の和食離れ(自炊離れ)が嘆かれていたけれど、四季折々の旬の食材や慣わしを大事にして、ユネスコ無形文化遺産にも登録された偉大なる和食を途絶えさせちゃいけないと強く思った。自炊を始めた時に痛感したけれど、洋食や中華ってほぼほぼ油を要する料理ばかりなのに対して、和食って主菜・副菜問わずノンオイルで作れる料理がとても多いのよね。美味しいだけでなく健康にも良い和食、日々の暮らしの中でもっと大事にしていきたい。

本当は常設展も見たかったけれど(むしろこちらが大本命)、和食展にしっかり2時間滞在して脳の容量が足りなくなったのと、食品サンプルの展示が増えるにつれてお腹の容量が減ってきてしまったので常設展はまた今度に。浅草方面までてくてく歩いてふらっと通りかかった町中華に入ったら、そこの塩焼きそばがべらぼうに美味しかった。ついさっき和食を大事にしたいなんて書いておいて、と思うけれど町中華は最早ほぼほぼ和食の域だよね?と自分に言い聞かせる。他のお客さんに作っていたタンメンや餃子、チャーハンも美味しそうだったなあ。次に常設展を見に来る時もまた絶対このお店で昼飲みしたい。