一緒に劇場にいた知っている人を外に出てから追いかけるみたいに

映画館を出て、同じ映画を観ていたらしいゼミの後輩の女の子を見つけた。エスカレーターを降りながら連絡を確認していたら見失ったけど、数百メートル歩いたところでみつけて追いついて話しかけた。

表面だけ見ればそんな出来事だが、内面を話せばドラマチック。藤井青銅イズムを意識して。

まず映画館でたまたま出会ったみたいなところから嘘。その回を彼女が観に行こうとしているという話は一方的に耳にしていた。もともと自分も行こうと思っていた回だったので”偶然の出会い”が”予定”された。終わった後どう話しかけようと往きの電車から、いや同じ回の映画を観ると知った時から考えていた。

ロビーでうろうろしてるところ目が合って…が一番自然でいいな。しかし彼女はすたすたと外へ行ってしまった。追いかけて1階分の差でレースをスタート。エスカレーターを歩くのはマナー違反なのでここでは差を詰めない。ビルを出てすぐの信号待ちであっという間にすぐ後ろにつけることができた。まだ勇気が出ず、たまたま動いていた同期のグループラインにて状況を報告。期待通り背中を押してくれる良い仲間たち。驚異の追い上げで横に回り、顔を覗き込んで名前を呼ぶ。その間一度も見失ったりなどしていない。

びっくりさせては申し訳ないと思っておそるおそるだったのだが、普通の反応。「待ってました」「やっと話しかけてくれましたね」と言わんばかりの余裕っぷりを感じた。そこでもし本当にそう口にされていたらメロメロになっていた。その反応、もしやこちらの存在に気づいてた? だとしたら出てから話しかけるまでのストロークからビビりを読み取られた? だとしてもかわいげと思ってくださいな。

すぐ帰ってしまったので映画の話とバイトの話をさらっとしただけで終わってしまった。けど、話しかけないよりは絶対マシだった。この先の人間関係のためにも映画館の存在意義を体現できたことも。そして人間としての成長を感じられたことも。

マヂラブが優勝したM-1は∞ホールのライブビューイングで観ていた。TwitterでFFの人と席が隣であることに相手の投稿から開演前に気づいていた。その人がマヂラブファンであることは知っていたので、自分が応援していたニューヨークの優勝が消えたときから、勝手に二人で応援した気になっていた。

終演後、「おめでとうございます。Twitter見てます…」くらいのことは言えただろうに、席を立つ前にこちらがもたもたしたせいでタイミングを逃した。視線を並行させ画面を見つめていたから顔も知らず、司会の端に入っていたスカートの柄を頼りにセンター街で数十メートル先に見つけてスピードを上げる。一度追い越して靴紐を結んだふりをして、追い越されて、そこからは距離を詰められず渋谷駅へ。地下鉄のトイレでフリートのリアクションをきっかけにDMでやりとり。趣味から出会った顔見知りがやっとできるチャンスを棒に振るなんて、もったいなさ過ぎて悔しすぎて。

忘れていた後悔がぶり返してきた。でも今日成仏した。自分の精神的な成長もだが、背中を押してくれる人ができたというのが、その時と違うこと。

つーかさ~。その人も後輩ちゃんも、そっちから話しかけてくれてもいいんだぜ???


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