映画 『ツナグ』(2012公開)レビュー


直木賞作家・辻村深月による同名小説を映画化したヒューマンドラマ。大切な人を亡くした者と死者を一度だけ再会させる仲介人「ツナグ」という職業を通じて、他人の人生に深くかかわっていく青年の葛藤と成長を描く。一見するとごく普通の男子高校生・歩美は、祖母アイ子からツナグを引き継ぐ見習いとして、死者との再会を望むさまざまな人と出会っていく。しかし、死者との再会が救いになるのか、人生は変わるのか、次第に自身の行為に疑問を抱くようになる。映画「麒麟の翼」、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」など話題作への出演が続く注目の俳優・松坂桃李が、初の単独主演。祖母アイ子役の樹木希林のほか、佐藤隆太、桐谷美玲、橋本愛、八千草薫、仲代達矢らが共演。監督は「ROOKIES 卒業」の平川雄一朗。    (映画.comより)


★★★★★★★★★☆

「こんな大人を騙すようなこと…お前の親は知ってんのか!」


後悔を抱えながら生きていく。
それはもう人間の性(さが)なのかもしれない。
人生一度きりなら、やらずに後悔するより、やって後悔したほうがいい。
その通りだと思う。でもほとんどの人は、やらずに後悔する人生だろう。
どんな人生を生きたいか、選ぶのは自分。

___________
死んでいる人に会うなんて、生きているもののエゴなんじゃないか?生きている人に、いいように使われていいのか?
歩美の言葉は重い。
だけど、生きている人は人生でひとりだけ死んだ人に会える、一方で死んだ人も1度だけ呼び出されて行くことを選べる、という設定は奥深い。

ツナグを継承するかい?と問われたら、きっと僕もツナグになりたいと思う。(甘えんなよオッサン!と歳上イケメンに言い放ちたいからではない、念のため)
ツナグの役割は、医者に似ている。死をテーマに扱いながらも、今、目の前にいる生きる人に寄り添う物語。
心理描写だけでなく、映画作品としても面白いと思える素晴らしい1本だった。

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