飛んで火に入る夏の虫

その虫は火が火であって、月ではないことを知っていたが

自分がとある箱にとらわれていることを完全には理解できなかった。
月の光の届かない、小さな箱の中に吊られた光球を目印に飛翔のバランスをとることを定められた身体であることを、その虫は呪った。
鳴けずよじる

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