海外不動産投資関連インデックス
S&P500しかりMSCI ACWI indexしかり、コロナ禍を契機にインデックスに連動するETFが一般にも広まり、米国並びに新興国含む世界株や商品すら気軽にETFで買える時代になった。インデックスとETFは飛躍的に投資ハードルを低めたといえる。
そこで、グローバル不動産投資のインデックスには何があるか、分類別に述べていく。
1.US-REITインデックス
日本ではJ-REITがあるが、もちろんREITの本家はアメリカである。
J-REITは三菱地所や三井不動産といったデベロッパーが開発した物件を入れるためのビークル的側面が強いが、US-REITはS&P銘柄のPrologis、American Tower、Equinixといった銘柄に代表されるように、自ら開発・投資判断・運用を行う機能を有する事業会社的側面が強い。
銘柄も違いが顕著で、J-REITは日本ビルファンド等オフィス系が強いのに対し、US-REITは銘柄の変化が激しく、最近は上述したようなインダストリアル系が強い。
J-REITでは東証REIT指数が代表的インデックスだが、US-REITのインデックスとしては、以前のブログで「FTSE NAREIT Equity REITs」というインデックスを紹介した。また他にも「Dow Jones U.S. Select REIT Index」「MSCI REIT Index」等がある。
いずれも構成銘柄としてPrologis, Public Storage, Equinix, American Tower…など共通する銘柄も多い。
以下のETFが有名どころだろうか。
VNQ:Vanguard Real Estate ETF(index:MSCI REIT Index)
USRT:iShares Core U.S. REIT ETF(index:FTSE NAREIT Equity REITs)
RWR:Dow Jones REIT ETF(index:Dow Jones U.S. Select REIT Index)
これらは楽天証券やSBI証券とかで簡単に買えるが、不動産は以下のように金利上昇の影響が大きいセクターなので、積立NISAやイデコの積立投資で脳死するのでない限りは、まだポジション取るタイミングではないかもしれない。
キャップレート上昇によるキャピタルロス
イールドギャップ減少による投資妙味の相対的低下
デットコスト上昇によるコスト増
2.オープンエンドファンドのインデックス
REITは個人でも気軽に投資できるが、オープンエンドファンドは投資口が一口5億円くらいからの商品で、機関投資家がメインターゲットとなる。
オープンエンドファンドは日本で言うと私募REITで、永続する投資ビークルに、主にコア物件(大都市のピカピカなビルなど安定な物件)を入れ、1ヶ月やクオーター毎に解約可能等、クローズドエンドファンド(投資期間終了まで解約できない)に比して流動性が担保されており、投資リスクは比較的低めである(ので保険会社、各基金、地銀など私募REITをよく買っている)。
オープンエンドファンドの場合以下のようなインデックスがあり、これらに対して投資対象のファンドのパフォーマンスが高かった/低かったといった形で使われる。
これらはNCREIF(米国)、INREV(欧州)、ANREV(APAC)といった各リージョンごとの不動産投資団体やMSCIにより作られており、インデックスの構成銘柄はCBRE GI、Goldman Sachs、Invescoなど世界的運用会社の運用するオープンエンドファンドである。
NCREIF Open End Diversified Core Equity Index
ANREV Open End Diversified Core Equity Index
INREV European Open End Diversified Core Equity Index
GREFI(Global Real Estate Fund Index)
MSCI Global Property Fund Index
ちなみにNCREIF等の団体を模倣して日本で作られた組織が不動産金融界隈でおなじみARES(不動産証券化協会)であり、AresもAJPI(ARES Japan Property Index) 及びAJFI(ARES Japan Fund Index)といったインデックスを作っている。
ただ海外のようにこれらをベンチマークとし、ベンチマークを超えた/下回ったで対象私募REITのパフォーマンスを測る指標として使われているかと言えば、まだ発展途上のようだ。
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