2023.1.3 イールドカーブコントロールの意味-②

今回は「長期金利・短期金利とイールドカーブ」について。イールドカーブとは一体何なのか?なぜカーブを描くのか。解説します。

目次
①一般的な金融政策
②長期金利・短期金利とイールドカーブ
③イールドカーブコントロールとは

②長期金利・短期金利とイールドカーブ

長期金利・短期金利の違いとは?
もし友達と食事に行って、現金払いのみだったとする。キャッシュレス派の友達に「今現金がないから明日払う、今貸してくれない?」と言われたら、(大抵の人は)OKするはず。でも「10年後払うね」と言われたら、不安になるはず。その間に友達がバックれるかもしれないし、友達が貧乏になって返済してくれない(貸し倒れ)というリスクもある。
このように市場は、借金の返済期限が長いという“不確実性”に対して、多めに金利を要求する。従い、「債券の償還期限が長くなるほど、金利は高くなる」という法則が成立する。

米国債のイールドカーブ(-10Y yield)

上のグラフは「米国債のイールドカーブ」と言われるもの。横軸に償還期限・縦軸に金利をとっている。
同じ米国債でも、返済までの期間が長いものほど金利は高くなっていく、ということがわかるはず。これがイールドカーブの正体。

イールドカーブが意味するものとは?
イールドカーブは沢山の示唆を持つ指標で、一筋縄ではいかない。
しかし超シンプルに考えるなら、今回YCC(イールドカーブコントロール)の理解に必要なことは、次の3つ。

1. 各国中央銀行が古典的に行う質的緩和では、「短期金利」しか操作できない(前述の通り)。
2. しかし、株価や景気に強い影響を与えるのは、「長期金利」の方。基本的に中央銀行は、短期金利の操作(質的緩和)によって、間接的に長期金利を操作する。
3. 日本では極度の景気低迷によって、直接、長期金利を操作する必要が出てきた。そのために、日本銀行はYCCに乗り出した。

つまり、YCCとは、短期金利のみならず、長期金利をも直接的に操作するために日本銀行が行った特殊な金融政策、というわけ。
長期金利を操作することで、短期金利のみならず、イールドカーブ全体を操作できる。

次回、YCCの具体的な方法と、現在の混乱について。
③イールドカーブコントロールとは


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