2023.1.9 米金融当局は年内にQE再開か

 米国債市場は規模が拡大した一方で、通常の買い手が市場から撤退し、機能不全に陥っている。これを緩和するため、年内に米金融当局が市場の支えに入るという。
 Bloombergによると、クレディ・スイス・グループのゾルタン・ポジャール氏は6日付の顧客向けリポートでこうした見解を示し、今年夏に米金融当局が資産購入を再開すると予想した。
 ポジャール氏の分析によると、相対価値トレーディング戦略をとるファンドは米国債がオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)に比較して大きく値を下げない限り、米国債を買うことはない。銀行も資金が細る中で、米国債の購入ではなく調達市場に向かう公算が大きい。為替ヘッジ付きで米国債を買っていた向きはコスト上昇で「手が出せなくなり」、地政学的なイベントで米国債に対する大手運用者の投資意欲も減退した。
  逃げ足の速い買い手の需要が弱まって米国債入札の需要は低下し、株式やクレジット、新興国市場の売りを引き起こすだろうとポジャール氏は指摘した。
結果的に、米当局は昨年6月に始めたバランスシート縮小を停止し、市場を支えるため米国債購入を再開するとポジャール氏はみる。
  ただ、「それがリスク資産を押し上げると期待すべきではない。低金利とリスク資産下支えの文脈で行われた量的緩和(QE)とは異なり、次のQEは米国債市場の機能不全という背景で実施される。高水準の金利でスワップスプレッドの秩序を保つことが目的で、利回りを低く抑えてリスク資産の価格を押し上げることが目的ではない」という。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?