2023.1.4 イールドカーブコントロールの意味-③

今回は、YCCの具体的な方法と、現在の混乱についてです。

前回の復習

前回確認した超重要事項は、以下の通りです。

  1. 中央銀行が古典的に行う質的緩和では、「短期金利」しか操作できない。

  2. しかし、株価や景気に強い影響を与えるのは、「長期金利」の方。中央銀行は、短期金利の操作によって、間接的に長期金利を操作している。

  3. 日本では極度の景気低迷によって、直接、長期金利を操作する必要が出てきた。そのために、日本銀行はYCCに乗り出した。

③イールドカーブコントロールとは

短期金利のみならず、長期金利すら直接コントロールすることで、イールドカーブを全体に渡ってコントロールできる。だから、長期と短期の両方を小kんトロールする政策を、イールドカーブコントロールというわけですね。
ここで疑問になるのは、日本銀行がどのように「直接的に」「長期金利を」コントロールするのか。(短期金利をコントロールする「質的緩和」の方法については、前述の通りです。)
これは単純に、長期債の無制限の借入です。

債券と借り入れの違いとは?
債券と(主に銀行からの)借り入れ。どちらもお金を借りる(debt)、という資金調達の一種ですが、若干の違いがあります。
債券による調達は「直接金融」と言われ、直接市場からお金を借ります。「お金を返してもらう権利(債権)」は、債券(チケット)を持っている人が保有するため、債券の発行者(借金した人)は、お金を返す先が一意に定まりません。
対して借り入れは、「間接金融」と呼ばれます。銀行預金者などの資金を、「間接的に」銀行を介して融通してもらっているわけです。この際、お金を返す先は「銀行」であり。変わることがありません。
つまり債券(=国債)は直接金融であるため、「お金を返してもらう権利(債権)」は売り買いできる、すなわち価格が変動する、というわけ。
100円の債券に10%の利子を設定して販売しても、もしその債券が市場で90円で取引されれば、実質的な利子は上昇するわけです。

日本銀行は国債を、市場で買いまくっている。
日本銀行は長期国債を買い入れまくることで価格を上昇させ、金利を無理やり下げているんです。

次回、この部分の詳細を解説します。


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