まっすぐ美味しい贅沢な出汁巻き。

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 どこに行っても、今は飲食店のオーナーさんたちの顔見ると、上辺だけの慰めなぞ、なんの意味もない感じになってくる。わかっちゃいるけど、今日は仕事の移動の途中、気になっているオーナー兼料理長の友人Kくんのお店を覗いてみることにした。そういえば、目的地の途中にあるなと思いたち、行ってみようか、やっぱり今は行くべきじゃないかと、何度か葛藤しつつ。

ランチタイムを過ぎてお店は準備中になっていて、スタッフの方がまかないタイムに、のぞかせていただいた。店の奥からKくんがため息とともに出てきて、しばしお互いの近況報告。私もお店の中に入るのは遠慮して、立ち話しで。この時期に営業をされていることに意見はさまざまだろうが、ともかく、何か買えるものがあればいただいて帰ろうと、そんな思いだった。

私より少し年下のKくんは、やっと先日10周年を迎えたところだ。お祝いの胡蝶蘭の鉢が並んでいるものの、素直わかりやすく凹んでいた。一日の中で何度も、頑張ろう、もう閉めようか、やっぱり頑張ろう を、繰り返す日々だと。
そんな彼を励ます言葉もなく、ただ、なんの足しにもならないだろうけど、持ち帰りできるものがあればいただきたいと伝えると、だし巻きならすぐあると。一流の日本料理店で腕を磨いたKくんが独立して作ったお店。その彼がわざわざ作る家庭料理の出汁巻きは、私の苦手な料理人のエゴな味つけのヒトツブもなく、いたって素直な庶民の味でこのお店の看板メニュー。なんと贅沢な出汁巻きなんだろかと思う。2パックで1000円。私にとっては贅沢なオカズ。でもたった1000円だけど、頑張って、の気持ちは少しだけ置いてこれたかもしれない。

自分も小売商いをやっている。他人事ではないのだ。だから、自分ができることで、大げさなことじゃなく、自分がしてもらって嬉しいことは、ためらわずちゃっちゃとしたい。

持ち帰った出汁巻きは、会社でおすそ分けして残りの1パックは持ち帰り家族でいただいた。ほんのり薄味の上品なお出汁がじゅわんと出てくる、フッカフカの出汁巻き。畑でじいちゃんにいただいた大根をおろして、なんだお店と全く同じ味がするじゃないのと、当たり前のことを思い、このヒトサラだけで十分外食にきた気分を満喫、とても美味しくいただきました。

こんなふうに、家ごはんの少し贅沢で新しい楽しみ方というのも、これから広がる予感がします。またいただきます。
ごちそうさまでした。

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