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モンゴル旅行記その4

さて長田くん運転のトヨタAQUAで出発です。エンジンをかけると必ず「ETCカードが挿入されていません」という日本語が流れます。娘は以前に別の国で

「これってなんて言ってるの? いつも最初に喋るんだけど」

と聞かれたことがあるそうです。ディスプレイあるけど全部日本語だしナビ使えないし、その辺がちょっと悲しいですが、ハイブリッドはガソリン節約できるしモンゴルでは人気のようです。

長田くんはとても運転上手です。が、AQUAは悪路を走る想定では作られていません。国立公園に入ると舗装されていない道ばかりで車はかなり揺れました。時には陥没しているところもあり、ヒヤヒヤしました。

この公園の名物は「タートルロック」という岩で確かにかなり変わった形をしています。タートルなので「亀」だと思うのですが、いくつかのサイトでは「カエル岩」と表記されていました。同じ岩のことなのか違うのか、その辺はよくわかりません。

モンゴルに来て日本とは違うなあ、と思うのは雲の形、そして雲の低さです。雲がとても近い感じがします。それから横に広がっている雲も多いです。まるで宇宙船のような楕円形の雲もたくさん見ました。


長田くんの後ろ姿も映り込む


そして岩。岩もとてもユニークです。モンゴルの一年を通しての寒暖差は世界一だという話があるそうです。夏は40度近くまで上がり、冬はマイナス30度。雪や氷がその重さや溶ける時に岩を削るのでしょうか。

ゲルの群れ

国立公園の中はとんでもない広さです。走っていると建築中のホテルやゲルのキャンプ場、ロッジのキャンプ場など、様々なリゾートがあります。システムはよくわかりませんが、企業が国に賃貸料を払うなどして運営しているのかもしれません。観光客向けのゲルなどはもしかしたら水道も通っているのかも、と思いながら眺めていました。

すると空が曇ってきて雨が降り出しました。結構大粒です。せっかく乗馬を楽しむ予定だったのに、と悲しい気分に。長田くん、車を止めてどうやらオーナーにこれからどうするか相談しているようでした。途中娘に電話を代わり、電話越しに初めてオーナーの肉声を聞きました。

雨がひどかったら国立公園での乗馬は諦めて、この後チンギスハーン記念公園に行くのでそこでしたらどうか。

という提案でしたが、やはり大自然の中で乗りたいので初めにランチをして、雨の様子を見てから決めることになりました。ちなみにAirbnbのオーナーは最後まで顔を見せることは一切なく、顔の見えない社長として采配だけ振るっていました。主職業は銀行員でサイドビジネスとしてAirbnbをやっていることを後で妹さんから聞きました。なかなかやり手のようで、旅行中とにかくまめに娘に連絡をくれました。何か質問すると数分で返ってきます。ありがたいですが、本業は大丈夫なんでしょうか😅

ランチに入ったレストランはまだ新しいようでした。席に着いたら店員さんが長田くんに何か話していましたが、どうやら団体旅行のお客さんの予約がたくさん入っているようで、おそらく

「注文してもお時間かかりますがいいですか?」

的な内容だったんだろうなと思います。あらかじめ食器やお花がセッティングされたテーブルも多く、後からどんどん団体客が入ってきました。

わたしはレモンチキンステーキ。娘はコブサラダ。長田くんは焼きそば的な麺を注文しました。この料金はすべてツアー代に入っているそうなので支払いは長田くんがしてくれました。食事はとても美味しかったです。が、ふと見ると長田くんの皿には赤いパプリカだけが残されていて、どうやら長田くんはパプリカ嫌いなようです。

ここのレストランは水洗トイレでしたがトイレットペーパーは流してはいけないタイプで、こういうトイレが一番危険です。長年の習慣からつい紙を便器の中に落としてしまうことが多いのです。わたしも何回か失敗し、その度に拾って箱に捨てました。やはりわたしのためにモンゴルのトイレを詰まらせては申し訳ないので。水洗トイレで嬉しいのは手が洗えることです。ゲルのトイレは一度ゲルに戻ってから洗うのですが水がチョロチョロしか出ないので消毒して終わりにすることもありました。

さて食事が終わる頃には雨も小止みになってきました。レストランの前には15頭ほど馬たちがいました。日本の乗馬教室で乗っている子たちと比べるとひとまわり小さいです。教室の子達はほとんどが競馬用の馬として育てられたサラブレッドです。より早く走るために足は長く細く、「ガラスの脚」と呼ばれ骨折する子もいます。けれどモンゴルの馬たちは足が短く太くどっしりしています。サラブレッドは美しい。でもそれは作られた美しさです。自然のあるがままの美しさでは断然モンゴルの馬たちでしょう。

ここで気づいたことがあります。ひとつは鞍とアブミの形が随分違っていること。鞍はクッションを真ん中で絞っただけのように見えます。アプミはわたしが教室で使っているのは足の裏があたる部分が少ないのですが、ここのはそこが広くなっています。それから繋がれている馬たちですが、鞍はつけてませんが、もうハミを噛まされています。これには驚きました。ハミは馬の口に入れて、それと手綱がつながっているので手綱を引くと口が引っ張られる感覚になります。ただ馬の口の中でも神経が通っていない部分に通します。そうはいっても異物を口の中に入れるので馬にはストレスになります。

なので教室ではハミをつけるのは乗る直前。乗ったあとは鞍よりも先にハミを外す、ということを最初に教わりました。ちなみにハミをつけていない時は「むくち」という鼻の周りをゆるく縛る馬具をつけています。

なのでずっとハミをつけっぱなしというのにまずは違和感がありました。その上、馬を扱う人たちが若くて荒っぽい感じで、ちょっと馬を蹴ったり脅かしてニヤニヤしたりしていてそれも嫌でした。長田くんが乗るための交渉をしている間、ずっとそんな感じでした。

さて乗らせてもらいます。が、わたしは股関節に問題ありでステップがないと乗れず、最初はそんなものねーよ、みたいなそぶりでしたが、丸太の短いものを持ってきてくれて、それを踏み台にして乗りました。乗るとすぐに若いお兄さんが自分も馬に跨り、わたしと娘の馬の手綱をまとめて持ちました。馬に乗りながらの引き馬です。最初に手綱を持ったわたしに「それじゃなくてここを持て」と身振りで鞍についているホルダーを指差し

「えっ! 1人で乗らせてもらえないんだ」

とここで初めて気づきました。ですがもうすぐに発進してしまい、道中娘もわたしのためにお兄さんに呼びかけてくれたのですが、終始「知らねーよ」という態度。言葉が通じなくても態度の悪さは伝わってきます。何を言ってもダメなんだなと思ってその後は大人しく乗っていました。

せっかくの外乗なのにあまり楽しくなかったです。お天気のせいで景色も今ひとつ。草原は結構アップダウンがあって急なところも登りました。すると娘が途中で「トイレに行きたい」と言い出し、それをまたお兄さんに言ったのですが、やはり無視。

ここで救世主となったのは長田くんです。彼は車でゆっくりついてきてくれていました。時々他の車を避けたりして姿が見えなくなっていましたが、この時すぐ後ろに来てくれていました。言葉が通じなくてもジェスチャーで娘を指差して、来てほしい、と伝えるとすぐ車を降りてきてくれました。2人ともすぐ下馬させられました。この時はトイレに行ってからまた乗るのかな?と思ってましたが、長田くんは身振りで車に乗って、という指示。結局外乗は30分くらいで終わりました。

やはり事前の打ち合わせがほとんどなく、長田くんも英語を話せず、明らかにコミュニケーション不足が原因でした。それにどちらにしても娘も乗馬前にトイレに行ったにも関わらず、乗っている最中にまた行きたくなったので、わたしがひとりで乗れていたとしても結果は同じだったかもしれません。

でもやはりこのお兄さんの態度は後味が悪かったです。テルレジ公園編はまだ続きます。

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