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感覚の世界

あれは5歳か6歳の頃だったと思う。

夜に一度眠って30分くらいするとわたしは突然起き上がって泣きながら家の中を歩き回っていた。

その時の意識はなかった。母がそういうことをしていると話してくれた。

正確にいうと全く意識がなかったわけではなかった。はっと我にかえることが何度かあった。そしてそういう時に必ず見ていた夢があった。

自分の手の中に何かがあって、それが突然膨張していくのである。果てしなくどこまでも巨大化していくその「何か」がとにかく怖くてたまらなかった。

わたしの症状は「夜驚症」と呼ばれるものらしく、ストレスだとか、そういう心のトラブルが表面化したものだと言われていた。

大人になってからもその時見た悪夢のことは忘れられなかった。手の中にあるものが膨張していく感覚も。

今日、わたしは突然その感覚を味わった。夢の中ではない。ちゃんと意識がある時のことだ。

一年くらい前からわたしは瞑想を始めた。毎日20分。なるべく暗くした部屋で座って目を閉じて、雑念を捨てて自分を空にしようと努力してきた。そしていつか瞑想を観想に変えたいと密かに願っていた。

瞑想は心を落ち着けるためのものだが、観想は違う。自分の中にいる神が自分を掴みにくるのだ、と聞いてから、それはどんなふうに起こるのだろう?と思ってきた。

でも今日、幼い頃のあの膨張の感覚がとてもリアルに蘇ってきて、わたしはやっとあの幼い頃の恐怖のわけがわかった。

わたしはあの頃、自分の中には自分ではない何か別の存在があることを感じていた。そしてそれが何であるかわからないので恐怖に襲われていたのだ。

こんなこと書いて「頭おかしい」と思う人がいるかもしれないが、別にそれで良いです。これはあくまでわたしが個人的に体験した感覚の話なので。

理屈とかそういうものとは一線を画した感覚の世界。わたしはそういう世界があることを信じているし、今日それを確信した。

これは個人的な記録として書いておきたかった。わたしが幼い時のわたしと時を超えて繋がった。懐かしさと共にあの時の恐怖の原因がわかって本当に心から安心した。

いま、とても満ち足りた気持ちです。

ありがとう。



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