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「サービス特性」から考える患者満足度


だいぶ前に、患者満足度(CS)ということに関してこのような記事を書いたのですが、

今回は別の角度から考えてみたいと思います。



私たちのサービスとは?


時折、私たちの医療介護職は“サービス業”だ、という言い方がされます。それは人相手の仕事だから、ということでしょうが、当の本人たちは、あまりそれを信じていないようにも感じます。

以前から院内勉強会においても、接遇・マナー研修があったり、言葉使いについて話題になったりしますが、正直なかなか定着しないものです。

決して上から目線、ということはないはずなのですが、私たちの根底にある意識というのはなかなか変えられないものですし、

それでも昨今はだいぶ変わりましたが、患者・家族側は、「診てもらってるから」と少々の不満に対しては我慢してやり過ごすことが多いでしょう。


よく待合ロビーなどでも投書箱を設置し、皆さんからの声を徴収していますよね。委員会で集約し、確かにそれは貴重なご意見として改善に生かしますが、そもそも、それらの不満足を解消すれば皆さんの満足に転じるのか?というと、決してそうではなく、あくまで「ノーマル」な状態になっただけ。いわゆる他の接客業でのサービスとの乖離は否めません。


“サービス特性”から考える


私たちが提供しているものというのは、目に見えない「無形性」な訳ですが、だからこそ、その品質の評価が難しい。


実は、サービス特性、という観点で考えれば、以下の3つに分類することが出来ます。

経験品質・・飲食店のように、料理の味を食べてみないと分からないもの

信頼品質・・病院のように診察を受けた後でも効果が判然としないもの

過程品質・・サービスそのものの効果が判定できない場合、サービスが提供される過程で感じるもの(例えば、病院の医療サービスの効果がよく分からない場合、医師や看護師の親切さや待合室の快適さで、提供過程の質を評価・判断する)


私たちがまさに何らかのケアをする瞬間。その顧客との接点のことを「サービス・エンカウンター」と呼び、サービス提供の中でも重要な役割を果たします。このサービス・エンカウンターは「真実の瞬間」とも呼ばれ、提供側にとっては、チャンスにもリスクにもなりうるのです。


つまり、顧客からしてみれば、目に見える部分(=フロントステージ)であるため、この対応を通じて、病院の印象を決めてしまう、ということがあります(裏側でどんな準備や苦労、状況があるのかについては顧客には見えない=バックステージ)。


役割を演じる・・?


これについて、ソロモンらは、役割期待の理論をもとにマネジメントすることを提唱しました。

これによると、従業員と顧客の双方の満足度は各人がサービス・エンカウンターにて定められた役割を果たすことによって生まれる。それゆえに、従業員は、顧客の期待に応じてそれぞれの役割を演じなくてはいけない。

顧客の期待と比較し、従業員の水準(役割)が劣っているほど、顧客の不満足感は大きくなる。つまり、サービス・エンカウンターの管理については、従業員の役割を明確に定義することに加え、適切にそれを認識させるための従業員教育が重要となる訳です。


この時に言われてるのが、「生産と消費の不可分性(協調性・同時性)」という考え方で、サービスを提供する際には、提供者と顧客が相互に影響を及ぼす、ということ。

医療サービスにおいては、例えば、医師が正しい医療行為ができるように、患者自ら協力することが求められる、のような形です。つまりは、サービスの現場において、顧客は「共同生産者」にもなる、という考え方なのです。



そこからいくと、いかにもお客様は神様です、というようにサービスマナーに則り、何でもかんでも言うことを聞いて、優しく丁寧に接するべきなのか、といえば、そうではなく。やはりこの業種独特の部分がある。


特に医療や介護、リハビリテーションにおいては、利用側の主体的な姿勢や協力が、サービスを成り立たせるためには(積極的な治癒や予防、回復の観点からも)不可欠だ、ということです。



そう考えると、私たち専門職にとっても、一体私たちが提供しているサービスとは何なのか?それに満足していただくこととは?? 少し捉え方が変わってこないでしょうか?


このCSに関しては、またこれからも引き続き考えていきたいと思います。

多少なりとも参考になりましたら幸いです。

(ALTURA マーケティング部門 理学療法士 コーチ 鯨岡栄一郎)



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