五大陸の英雄戦士、大鰐博士と死闘す "コンティネンタル・レンジャーVSDr.アリゲーター"
一九二五年八月 インド洋
ここに、地図は知られぬが土着の漁民にのみ"首狩島"と呼ばれる小さな島がある。元は人食いの獣と、密林のみの島。似つかわしくない科学要塞が建造されたのは、ここ数年のこと。
闇の中、浜辺、男が二人。一人は既に息絶えている。自動歩兵銃に、背には背嚢と大型の通信機、髑髏の仮面。島の歩哨であった。
もう一人は、黒ずくめ。その顔は、肉食の鳥類を思わせる鋭い意匠の仮面に覆われている。その背にも通信機があるが、公知の技術からは考えられない小ささだ。
『こちら"鴉"。首狩島に潜入した。予定通り、通信塔の破壊に向かう』
『"鴉"、"禿鷹"だ。了解した。俺はここで哨戒を続ける。大鷲たち三人は直接要塞に向かう。精霊がお前を助けんことを』
その上空、よほど注意深く目を凝らせば黒塗りの飛行船が浮遊していることに気づくだろう。そこから黒い影が三つ、闇の空に飛び出た。
一九二一年三月ー七日
国際同盟 安全保障協議会 南部東京大学教授による演説(抜粋)
諸国指導者各位におかれては、先に世界を網羅した大戦における惨禍の程は記憶に新しい事と(略)
再びの科学戦争による人類主の絶滅という破滅的事態の予防は、文明諸国共通の一大事業であるという認識を一にするものにありながら(略)
各列強諸国、更には国家の統制を離れた軍事勢力により更なる軍事的研究が進展し続けている事態は(略)例を挙げれば発狂光線、徘徊要塞、音波砲、怪虫人間、(略)極めては太陽爆弾など、恐るべき研究が今なお(略)
私がこの場にて提案したきはただ一点であります。
諸国信任の元、正しき科学威力の活用にて、異常たる水準の軍事研究を未然に撃滅すべき精鋭として、五大陸それぞれより一名ずつ選別されたる勇士を集め、諸国の有する科学技術と我国の有する忍術を組み合わせ、科学の忍者として鍛え上げる。
これを五大陸連合特別戦術小隊、大陸戦隊と称するという計画であります。
(続く)
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