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なんのために生まれてきたか

なんのために生まれてきたか、自分で決めていいのなら
「母親になるため」
生まれてきたと思っている。

2歳下の弟は、気がついたらそばにいた。
6歳下の妹が生まれてから、私の母が働きはじめたこと
それなりに大きくなった私にはリアル赤ちゃんが近くにあらわれたことにより、よく面倒を見ていた。

自分の好きなアニメをみながら、激しめの抱っこであやせば寝たし
当時のおぶひもで妹をおんぶして、住んでいたマンションの前をウロウロしていれば
近所の人や親戚にとても褒められた。

いつしか私は、本物の母親より妹のよき理解者であり、母親に近いものとして存在していると信じ始めていた。

しかし、祖母の家に移動する車の中で
泣きじゃくる妹は母の膝に座りたいと泣く。
その母は運転中で、頼むから抱っこしていてくれと私に言う。
もちろんそんなの容易い御用、だって私は妹の1番の存在なのだから、そう思って必死にあやすけれど泣くのを止めない。
それどころか泣く強さは増すばかり。
必死になればなるほど無理。

そんな様子にしびれを切らした母が、運転しながら膝に妹を乗せるとピタッと泣き止んだ。

妹の気持ちを考えればわかる。
私ではなく、母親が良かったのだ。
彼女の唯一の。

けれど、私にとっては
あんなに抱っこを拒否しておざなりにしていた母親のほうが良いのか、
こんなにあなたに寄り添って必死に向き合っていた私よりも、と感じ
「妹にとって特別な存在」というプライドを勲章のように左胸に光らせていた私には、その勲章がはぎとられた衝撃的な出来事だった。
(40歳になった今も、7,8歳だった当時を思い出せるほど)

その時「悟った」に近い感覚で、私の頭に、価値観に刻みこまれた概念はこうだ。

どんな母親でも唯一無二であり、子どもにとってはなにものにも代え難い特別な存在。

その劣等感を感じた出来事の直後に
私は絶対母親になる、と決めた。
お母さんになれるかなー?なりたいなー?
とかそんなレベルではない。
絶対なる、って決めたんだ。

すごく動機が不純にも感じられるエピソードかもしれないけれど、
こんなに強く人生で「こうなる」って決めたのは
後にも先にも、今のところはこのことだけだと思う。

続く。

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