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17  切りとられた翼

遠い遠い昔、私には美しい大きな白い翼があった。

それは、「自由」の象徴。

その翼は広げた私は美しく、優美そのもだった。

その翼を切り取ると言う事は、自由からの決別。

それを選択したのは、私だった。

私の翼を切り取る者は、嘆く思いを隠し、私に言われるがままにそのことを終えた。彼女達は涙を流しながらも一つ一つの羽を切り落としていった。私が望む事ならと彼女たちはそれをやり遂げてくれた。そこには、彼女達の揺るぎない、愛があった。なんと、酷なことをさせてしまったのだろう。。。。。。

「ごめんなさい。許してね。貴女方にしかお願いできないことなの。許してね。愛してるわ。」と私は唱えていた。

美しいネイティブインディアンの少女の長い黒髪が切られたように、私は私の象徴を失った。

2020年。世界パンデミックの最中に2羽のアヒルの赤ちゃんが我が家へやってきた。その時がきたのだ。

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彼らは数ヶ月で大きくどんどん成長していった。

私はその小さな可愛らしい翼に執着して成長を観察した。この2羽のアヒル達は私に何かを見せてくれている、教えてくれようとしていることは分かっていたけれど、それが一体何なのかはまだ分からなかった。

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でも、3ヶ月が過ぎた8月の終わり。この2羽のアヒルが大きな羽を広げて飛び出す準備をはじめたのだ。彼らは翼を広げて庭を楽しそうに走り抜けていく。

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この真っ白く、惚れ惚れとする美しい大きな羽を見た時に、私のこの2羽のアヒルに対する興味とその繋がりに心を揺さぶられた。

「なんて、大きな美しい羽なの!」

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私はこの羽を切り落とした。

それを思い出すたのは、この2羽の羽を切り落とすことになったからなのだ。

それは日曜日の夕方に行われた。

飛び出した2羽のアヒルは、屋根の上や隣の家に飛んで行くようになった。彼らを安全に育てるには、羽をクリップすることと私は教わり、それを実行したのだ。アヒルをよく知る男性が私の目の前で羽を広げ、ハサミでバサバサを切り取っていた。

胸が張りそうけそうだったが、その思いを強く押し込めた。小さな庭で彼らを飼うにはそれがベストな方法だったから。私は、切り取られた羽を丁寧に広い集めて器に入れた。

雑に切られたその翼を眺めていたら、何か重い記憶が蘇ってきた。私はこのシーンを知っている。

私は何日も彼らの小さくなった翼を見て悲しくなった。

切り落とされた羽。翼。

私のその行為で報われるものがあると信じていた。私が自由を断つことで、報われる人々がいると信じていた。この地に、大地にいる事でやらなければならないと事があるから。もう、空を自由に跳び、私は故郷に帰る術を断ち切ったのだ。それは、私の覚悟でもあった。

この大地の人々を愛しているから。この美しい青い地球の人々が大切だから。彼らと共に生きることを選択したのだ。

だから大宇宙のことも忘れた。 そこに飛んで行けない私にはもう縁のない場所。


それが間違っていた事に気づくには長い長い年月がかかった。

なぜなら、私は私が美しい大きな白い羽を持っていたことさえを忘れさせたからだ。そして私は自分を見失い、何年、何百年も放浪した。

それは自分でかけた封印。

自分の能力、叡智をことなく知る私は、私が、私ですら解けない複雑で、そして長い年月がかけけてその時(タイミグ)がこなければ解けない、困難な封印をかけていた。


全ての物語が再現され、そしてその時のタイミングに間に合わなくてはいけない。

平和の象徴、「自由の翼」を取り戻すことができるには、私が私の物語を思い出し、私自身を癒すことができた時の祝福の証とする。


この惑星の歴史。

この惑星の人々。

そして、この美しい地球の人々の幸せと平和。

平和の国のメッセンジャーは、飛べなくしたのは私。


そして、私は思い出し、そして羽を取り戻す決意をした。

今、再び。

私は、平和の国のメッセンジャーとなる。


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