Cocoro

ALOHA, HAWAII,MAUI島に家族3人で住んでいます。ある出来事を切っ掛けに…

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ALOHA, HAWAII,MAUI島に家族3人で住んでいます。ある出来事を切っ掛けに、一心不乱に突き進む性格の根底にある絡まれた糸が解れ出し、それぞれの糸の色達が癒しと共にカラーが蘇りだしました。美しいその桃源郷の色たちが蘇る。そんなマウイ島での物語。

最近の記事

17  切りとられた翼

遠い遠い昔、私には美しい大きな白い翼があった。 それは、「自由」の象徴。 その翼は広げた私は美しく、優美そのもだった。 その翼を切り取ると言う事は、自由からの決別。 それを選択したのは、私だった。 私の翼を切り取る者は、嘆く思いを隠し、私に言われるがままにそのことを終えた。彼女達は涙を流しながらも一つ一つの羽を切り落としていった。私が望む事ならと彼女たちはそれをやり遂げてくれた。そこには、彼女達の揺るぎない、愛があった。なんと、酷なことをさせてしまったのだろう。。。

    • 16 私の愛の形

      私が最愛の貴方の息の音を止める。 永遠に。 それが、私の愛の形。 私は、完璧な方法を創造しなくてはいけなかった。 なぜなら、そのチャンスは本当に僅かな時間でしかなしえないから。 彼が唯一、心を許す時。 それは、彼が唯一、私に心を開く時。 強く、多くを支配し、誰にも心を許さずに大勢を率いって、己の道を突き進む貴方に憧れた。貴方は大きなものに動かされるように、どんどんと世界を占領していく。彼の勢力はますばかり。その勢いと同じように私の彼に対する恋心は日に日に増した。

      • 15 7月4日

        私は、雪のないマウイ島へやってきて、すぐに主人となるドイツ人の男性に出会った。 意気投合し、何時間も私たちは語り合った。 このハワイをこよなく愛する彼を眺めながら、半ば信じられない不思議な感覚を抱き続けていた。 この太平洋の真ん中に浮かぶようにあるハワイに私はさほどの魅力を感じていない。雪の降らないハワイは私にとっては縁とは程遠いものがあるように思っていた。 そんな私に彼は、喧嘩をすると甘い香りのプルメリアをティッシュの箱の横に置いてくれた。 涙を拭くためにティッシ

        • 14 雪の世界

          私はそれからどんどん記憶を取り戻した。 私は白馬に乗り、草原を走った。 私は白馬に乗り、砂浜を走った。 私は真っ白な雪の中を自由に走った。 私は彼女との時間が大好きだった。 それは最愛の遊びだった。 その記憶はまるでスキーの世界と一緒だった。 そのスピード感。 景色が速いスピードで変わり、起伏溢れるそのスロープを軽やかに滑り降りていく。 その感覚は息の合った、馬とのシンクロニシティー。 私は、競争することに魅力を感じていなかった。 ただただ、私はスキーと

        17  切りとられた翼

          13 一心不乱

           「一心不乱」 「これを聞いて、何か思い当たることはありますか?」彼女はしんみりと私に聞いた。 彼女のその声の質で、何か切ない、つらいような感じがした。 「一心不乱」 私の行動のパターン。。。。。 何か目標を定めたら、横目を逸らすこともなく、突き進む。 それを達成するために。 全く思い出せない。 何を言われても、私の感覚へ何も響かない。 暗闇の洞窟の中にいるようだ。 何の音すらも聞こえない。 シーン。。。。。 再び彼女が話始める。そして彼女は聞いた。

          13 一心不乱

          12 森の中へ

          木漏れ日の光が溢れる森。 ここは常夏の島。マウイ島なのか? 一歩、一歩足を踏み入れてくと、その若い緑の中に私たちは溶け込む。 足を踏み入れていくと、道が開けていく。 はじめは見えなかった道筋も、一歩足を踏み入れる事に次の道順が現れる。 導かれるまま私たちは歩いていく。 一緒に歩いたその道を思い出すことができるだろうか? 「分からない。」 聞こえてくる。 「分からなくても今はいい。」 「分からない今も、通過点だから。」 「今、この森にいることが全て。」

          12 森の中へ

          11 イルージョン 「錯覚」

          今生きてる世界が錯覚で、「真実」はまだ到着していない場所だとしたら。 生きると言う事が、「真実」への探求だとしたら。 今見えている全ては「真実」は全て錯覚だとしたら。 そんな事が可能なのか? 今、見ている世界こそ「真実」ではないのか? 「真実」を探求する為に、私たちが今錯覚を見ている。 「真実」への旅が生きると言うこと? 必要だから、見ているとしたら。 あまりにも切ない、悲しい今はなんの為だろう? あまりにも痛いたい、この今はなんの為だろう? このマグマの

          11 イルージョン 「錯覚」

          10 海での洗礼

          宇宙から地球へ 子宮から海へ。 生まれて、3ヶ月。 レインボーチルドレンの彼女はマウイの海で洗礼を受ける。 この地球への到着の儀式。 父親に抱き上げられ泣いていた彼女も、1、2の3の掛け声で海の中へ一度頭まで潜ると、水中で大きな目を開け水面へと顔出した時には、泣き止んでいた。 一瞬、思い出したようだ。 あっ。ママの子宮の中ではこうだった。 そんな顔をしていた。 その懐かしい感じを思い出すと、彼女はニコニコしていた。 それ以来、彼女は海の中で大きく目を開け、

          10 海での洗礼

          9 妊娠

          マウイへ戻って来ると気が抜けたのか、ひどい疲労で家の中から出れない日々が続いた。 私は、2週間のオリンピックで精魂尽き果てていたのだと思った。 3年頑張ってきたのだから、ゆっくり休んだらいい。。。。。 数週間過ぎたころ、気が付いた。 「妊娠している。」 「女の子を妊娠している。」 だって、マウイに到着して直ぐに声が聞こえたから。 やっと我に返った。 マウイ島の風の声。 「It is girl. 」 「女の子だよ。」 検査薬を買って、テストした。 陽性。

          9 妊娠

          8 自由の羽をとりもどせ

          長い冬を終えて、マウイへ戻ってきた。 その年はカナダでウィンターオリンピックがあった。長いスランプを乗り越えて、あのスーパーウーマンはメダルを2つとった。 私達は世界中の祝福を浴び、歓喜の頂点にいた。 アドレナリンが体全身を駆け抜けたのは、自分がオリンピックの舞台に立った1998年以来だろう。 若かったあの時は極度の緊張で自分の世界は米粒のようだったけれど、このバンクーバーでは、私はカナダの雄大な自然と、ウィンタースポーツを愛する人々、オリンピックを愛する人々のエネル

          8 自由の羽をとりもどせ

          7 WELCOME HOME

          「おかえりなさい!」 「ウェルカムホーム!」 「おかえりなさい、おかえりなさい。」 遠くから、太い、その慎ましい声で、「おかえり。」と言われて、涙が溢れてきた。「ただいま。」私は小さな声で返した。 それは。海面の底がビルのように何層にもなっているかのように思えた。 目の前は、マウイ島の海底となった神殿。 それは、子供を産んで数年経った頃。友人が連れてきてくれた場所はそこがかつてマウイ島の入り口であった場所。 エントランスのゲート その前にたって、目を閉じてみた

          7 WELCOME HOME

          6 魂のリハビリ

          思い出の書き換えと言うリハビリがはじまった。 辛くて、厳しくて、過酷だったスキー選手としての戦い。 そのイメージをひっくり返すアメリカ人女性に出会った。10歳年下のその彼女は飛び抜けた集中力と身体能力を持ち合わせたミラクルなスーパーウーマン。私は、彼女との3年間スキーの旅がまた再び始まったのだ。 再び、マウイからヨーロッパへ飛んだ。懐かしい場所。 何百キロも車を走らせ、オーストリア、スイス、ドイツ、イタリア、フランスのヨーロッパのアルプスを駆け巡った。 ドイツの広い

          6 魂のリハビリ

          5 MAUI島に抱かれて

          氷河のような大きな氷の塊が少しづつ溶けるように、マウイ島での生活は私の身体にまとわりついた大きな鎧を少しづつ剥がしてくれた。 私はいたく傷ついていた。 この肉体も、心も、魂も。 疲れ果てていた。 何度も、何度も立ち上がり、何度も何度もチャレンジしてきた私はこれを最後にしたかったのだろう。 ただ、私はその方法を知ることはなかった。 「一心不乱」 その一つの方法しか私は知らなかったから。。。。。 そんな私をマウイは丁寧に、優しく抱きしめてくれた。 「お疲れさま。

          5 MAUI島に抱かれて

          4 突然、ハワイのマウイ島へ

          15年前、マウイ島へ知人を尋ねた。 勤めていた会社も辞め、今まで繋がっていた糸を挟みでパッチと切られたように、なんの計画も持たず、突然。 「30歳」 ちょうど良い区切りのような気もした。 日本の深い歴史と文化を愛していながら、独特な縦割り社会に窮屈さを感じていた若い頃。 そこで一生を過ごすことに微かな不安と、興味のない私にも気がついていた。 でも、その途切れた糸の先はマウイの風の中で揺れているようにも見えた。 その時は揺れているのも悪くないようにも思えた。 雪

          4 突然、ハワイのマウイ島へ

          3 歌って、踊るレインボーチルドレン

          ハイハイから立ち出し、歩き出した1歳の彼女は周りのお友達と混じってピンクのレオタードを纏いクルクル踊っていた。 ロシアのバレリーナ、Polina Semionovaにビデオに見入り、部屋の端から端までをステージにして踊った。 小さな足でトウシューズを履いた時のように、指を折ってポインテッドトウを見せてくれた。 「そんな風に指を折って痛くない?」と私が聞くと。 彼女は不思議そうな顔そして、「ママ、バレリーナはみんなこうよ。」と言う。 3歳になるとマイケルジャクソンの

          3 歌って、踊るレインボーチルドレン

          2 美しい世界の記憶の持ち主

          マウイ生まれ、マウイ育ちのレインボーチルドレン。  美しい海を眺めながら、「この美しい場所に生まれてきて幸せね。」と彼女に聞くと。 「ママ、本当に幸せ。」と。 「この美しい場所にどうやって来たの?」と聞くと、「ママ、私はイルカと一緒にやって来たのよ。」と 予定日から11日遅れの特別な日に彼女は誕生した。 夜から始まった陣痛は翌日の午後を迎え、私はすっかり疲れ果てていた。 自宅出産でのお産だった私たちは、これ以上時間が長引くと病院へ搬送しなくてはいけなくなる。 助

          2 美しい世界の記憶の持ち主