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敗者の美学

2017マイアミオープン フェデラーvsキリオスの対戦は全てのセットがタイブレークになる大接戦だった。
敗北したのはキリオスでラケットを叩きつけ、その後フェデラーと握手をし敬意を表していた。

何度も見たこの試合、キリオスを好きになったきっかけの試合だった。

絶対王者フェデラーに当時21歳の悪童キリオスが挑む。

フェデラーは怪我明けとは思えないほど、絶好調でミスショットがほぼ無いとんでもない仕上がり。
対してキリオスもゾーンに入り明鏡止水の境地におけるプレーを見せていた。

互いのウィナーとアンフォーストエラーを比較すると、キリオスは堅実になんとか食らいついているという表現が正しかったのかもしれない。

それでも世界最強の相手に対峙して最高のプレーができる能力を世界に見せつけた試合だったと思う。

ギリギリの精神状態で戦っているのがわかる中、胸を抉られるシーンがある。

ファイナルタイブレークの5-4、フェデラーのショットを観客がアウトコール。動揺したキリオスが堪らずミスショット。
当然、キリオスが観客に怒りをぶちまける。

その後、5-5になり、キリオスの1stサービスがネットに掛かり、歓声と拍手が上がる。。

一人で王者に対峙して、最高のプレーをして、精神をギリギリ保ってこの仕打ち。。。

キリオスは怒りを素直にぶちまける。
一方フェデラーはテニス史上最高の人格者と言われるほど怒りのコントロールが上手い選手だ。
その雰囲気が王者の貫禄として箔をつけ、観客をも味方させる。

一人でキリオスが戦うには状況が悪すぎた。

ジャイアントキリングが見たくて、キリオスを応援してたはずがいつの間にか感情を揺さぶられていた。

最後の勝敗のつき方が酷くても、尊敬している相手には敬意を示す。受け入れないところはとことん対峙する(一千万以上の罰金を払っても)

そんな選手がいても良いじゃないか。
キリオスも30過ぎればいずれ紳士的になってくると思う。
尖って制裁や罵倒を受けながら...
怪我が続き思うようにランキングが上がらず一時停滞しながら...
上昇の余地しか感じない夢の塊としてファンに希望を与えながら...

誰もが世界ランク10入りを信じて疑わない。
スーパースターになる事を信じて応援を続けようと思う。

最後に自分にヤジを飛ばす観客に言い放った最高の言葉を置いておきます。

“You got nothing else for you on a Sunday night? You got nothing else to do on a Sunday night?”

“It’s Sunday night and you’re still out here watching me. What are you doing?


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