たとえば、塵や芥のようなもの。
抹茶を口に含んで考えた。
ここに来たのは、いつぶりのことだったか。
滝の上の駐車場に車を停め、どんどん下ってゆく。あのときは舗装されておらず、野っ原の先を行く背中を追いかけていた。どんな話をしたのかも、覚えているよ。11年も前になるんだね。
欲張りで臆病な私は、それまで馴染んだ何かを捨て新しい何処かへ飛び込んでいくことが大体できない。でも、あの時29歳だった私は、珍しく飛ぶことを決断できた。敢え無く、押し戻されてしまったけれど。
昨日は雲が多かった。
駐車場近くの橋の上から、ふたりで湖を覗いた時の切ないような幸せのような気分は、小さな欠片のようだけど、心に残っていた。
あなたがもし、ここに来ることがあって
橋の上から湖を覗いた時。
少しでもあの日のことを思い出してくれるだろうか。
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